初進出「武蔵野の森総合スポーツプラザ」2連戦 第2日=4・17「RIZIN.35」は三大タイトルマッチ!
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東京オリンピック2020の会場ともなった「武蔵野の森総合スポーツプラザ」(調布市)で4月16日(土)、17日(日)と連日で大会を開催するRIZIN。ケージ(金網)を用いる前日の「TRIGGER 3rd」に続き、17日の「湘南美容クリニック presents RIZIN.35」では因縁渦巻く3試合の再戦が王座を懸けた三大タイトルマッチとして行われる。
王者サトシ、唯一破れたケースに因縁のリベンジ戦
▼ライト級タイトルマッチ
RIZIN MMAルール:5分 3R(71.0kg)
ホベルト・サトシ・ソウザ vs. ジョニー・ケース
昨年6月、東京ドームで実現したRIZIN無敗のトフィック・ムサエフ戦。初代ライト級王座が懸かった試合で、サトシはタックルをこらえられると素早く引き込みに変化し三角絞め。逃れんとしたムサエフだが、サトシは対応、足のロックを堅固にして逃がさず、わずか1分12秒での一本勝ち。RIZIN王者に輝いた。
サトシは初防衛に臨んだ大晦日でも矢地祐介が講じた対策を上回り、腕ひしぎ三角固めで2R一本勝ち。徐々に絶対王者の風格を漂わせている。だが、真にその座を確たるものとするため避けて通れないのが今回の一戦。ここまで14戦して13勝、4つのKO、9つの一本勝ちと100%のフィニッシュ率を誇るサトシだが、唯一破れているのが19年10月のジョニー・ケース戦。一度は寝技に引き込むもしのいで立たれ、タックルに合わせたアッパーを目付近に浴び、自らタップして破れた。
サトシが唯一破れた試合は同時に弱さをさらしてしまった試合であり、王座防衛はもちろん前回被った汚名の返上をはかりたい。
ケースは19年大晦日、TKO負けしたムサエフ戦を最後にMMAの試合は行っていないが、しかしかわりにボクシングの試合で3連続KO勝利を上げている。今回の試合も前回短期決着しているためか、「ソウザには俺のベルトを預けているだけだ。4月はあのベルトは本来あるべき場所に戻る」と不安を見せない。
ムサエフ戦では開始すぐに組みつきグラウンドへ持ち込みとらえたサトシだが、前戦同様取り逃してしまえば、殺傷力を増すケースの拳に再びつかまる可能性もある。サトシにとってベルトはもちろんプライドを懸けた大勝負。一本を極め、前回の借りを返すことはできるか。
牛久防衛か、斎藤リベンジの奪還か
▼フェザー級タイトルマッチ
RIZIN MMAルール:5分3R(66.0kg)
牛久絢太郎 vs. 斎藤裕
「美しき復讐か、残酷な返り討ちか。」
そんなキャッチコピーを銘打たれた一戦が実現する。
牛久は昨年10月、「RIZIN.31」で初参戦。メインを託された斎藤裕が保持するベルトの防衛戦を臨んだことで、牛久がその相手に抜擢を受けた。いきなりの王座挑戦に批判や疑問の声が上がったが、牛久は“奥の手”とも言うべき飛びヒザを2Rに炸裂させ、斎藤の右目上をカットし負傷TKO勝ち。マイクを持った牛久は「どんな下馬評も絶対自分を信じれば覆すことができる」と思いの丈を訴えた。
思いがけぬ躓きでベルトを失った斎藤だが、傷も十分に癒えぬまま大晦日に連続参戦。朝倉未来のリベンジを受けて立ち、破れたが緊張感ある勝負を最後まで展開し、その実力を改めて示した。前回飛びヒザで負った傷は深く、試合がストップされたことには納得している斎藤だが、ダメージや“効かされた”実感はなかったため、割り切れない思いは残った。今回は斎藤の中で昨年10月に止まってしまった時計を再び進めるための一戦となる。
迎え撃つ牛久は同時に保持するDEEPのベルトを昨年12月に防衛。多くを語るタイプではないが、「前回は『たまたま』っていう声が多かったので、ちゃんと実力を次の試合で見せます」と、今回の試合で自分の真の力が査定されることを理解している。
斎藤がRIZINフェザー級の時間を元に戻すか、あるいは牛久が先に進めるのか。立場を変えた両者が6ヵ月ぶりに相まみえる。
女王・浜崎過ちを正すか、超新星・伊澤が戴冠か
▼女子スーパーアトム級タイトルマッチ
RIZIN MMAルール:5分 3R(49.0kg)
浜崎朱加 vs. 伊澤星花
善戦するにせよまだ及ばないはず――そんな戦前予想を軽々と乗り越え、初参戦の伊澤星花は浜崎朱加を撃破し衝撃を残した。
「女子格闘技界の超新星・伊澤星花です」
自ら堂々と言ってのける伊澤は、レスリングで全国中学選手権優勝、柔道でインターハイ3位、女子相撲選手権も準優勝というハイパー組み技ファイター。大学では柔道部に所属し、もう少し柔道を続けんと大学院に進んだが、コロナ禍で柔道の試合が軒並み中止となり、かわりに総合格闘技を始めたことから予想だにしない道が開けていった。
MMAデビューは2020年10月で、まだここまで1年半しか経ていない。競技開始当初は最も実力が伸びる時期だが、遂には日本トップファイターの浜崎をも飲み込んでしまった。前戦となる大晦日では、1Rグラウンドで放った伊澤の蹴り上げが浜崎をとらえ、このダメージを逃がさず伊澤は2Rにマウントからの連打に持ち込みTKOで勝利した。
2009年のデビューから15年には米Invictaで王者となり世界を制した浜崎だが、日本人相手に黒星を喫したのは伊澤戦が初。だが蹴り上げのダメージが試合を大きく左右した感もあり、浜崎が警戒・対策を講じて臨む第2戦は前回見られなかった展開となるに違いない。
浜崎が地力を発揮し女王の強さを示すのか、あるいは伊澤の超新星たる輝きはそれすらも超越するのか。女子格闘技史で必ずや後に語れる一戦となるだろう。
浅倉カンナ試練の一戦、レジェンド高阪引退試合は極真最強の男を迎え撃つ
▼RIZIN MMAルール:5分 3R(49.0kg)
浅倉カンナ vs. SARAMI
▼RIZIN MMAルール:5分 3R(120.0kg)
髙阪剛 vs. 上田幹雄
▼RIZIN MMAルール:5分 3R(61.0kg)
元谷友貴 vs. アラン“ヒロ”ヤマニハ
また2連敗からの復活を期する浅倉カンナは第2代修斗女子世界スーパーアトム級王者SARAMIと対戦する試練の一戦。女子スーパーアトム級は今年トーナメント開催も囁かれており、その行方を占う対戦となる。
そしてレジェンドファイター髙阪剛が引退試合。極真空手世界大会を制し、「極真で一番強い男」と評される上田幹雄MMAデビュー戦の相手を務める。高阪がMMAの厳しさを示して退くか、上田がヘビー級に新たな可能性を開くのか。
そして昨年バンタム級GPベスト8でともに散った元谷とヤマニハによるバンタム級サバイバルマッチも行われる。
(文:長谷川亮)