天野天街が語る野外劇『トオトオデン』~本公演延期中の少年王者舘がストレンジシード静岡2022に登場

2022.4.28
インタビュー
舞台

少年王者舘『トオトオデン』出演者。前列左から・岩本苑子、水柊 後列左から・近藤樺楊、小林夢二、月宵水、宮璃アリ

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静岡の街や駿府城公園を舞台に、演劇、ダンス、ストリートパフォーマンスなどが同時多発的に各所で繰り広げられる【ストレンジシード静岡】。今年も2022年5月3日(火・祝)~5日(木・祝)の3日間に渡って開催が予定され、今回のメイン団体として名古屋の劇団 少年王者舘 が4年ぶりに登場。「静岡市民文化会館」の石舞台(野外ステージ)に於いて、天野天街構成による『トオトオデン』を発表する(3日間とも18時~の各1回公演)。

【ストレンジシード静岡2022】チラシ表


2016年に、SPAC(静岡県舞台芸術センター)主催「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の関連企画として誕生した【ストレンジシード静岡】は、全国各地から集結した多彩なジャンルのパフォーミングアーツを、静岡の街の魅力と共に堪能することができる、ストリートシアターフェスティバルだ。初回より毎年GW期間中に開催され(2020年は9月に延期)、少年王者舘はこれまで2017年と2018年に参加。夕沈、中村榮美子、山本亜手子、雪港の4人組ユニットによるダンス作品『アサガオデン』を、駿府城公園の芝生広場で披露した。

【ストレンジシード静岡2018】参加作品『アサガオデン〜カタン・コトン〜』上演風景/駿府城公園 芝生広場


その後、2019年12月にはこの作品を基にした、ダンス&落語の異色コラボによる『アサガオデン(劇場版)』を東京「ザ・スズナリ」で上演。その際には、今回も音楽を担当するチェロ奏者の坂本弘道が生演奏を行った。

少年王者舘は当初、2020年8月に新作本公演『むげん(仮)』の東名阪三都市ツアーを行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みて延期に(上演時期未定)。今回は上記『アサガオデン(劇場版)』以来、約2年半ぶりの公演となる。

そんな本作『トオトオデン』は、上演時間約20分の小品ながら、音楽は『アサガオデン(劇場版)』に続いて坂本弘道が生演奏で参加、さらに舞台美術は、王者舘作品への本格的な参加は初となる、関西で活動する美術家・江崎武志が担当するなど、希少性の高い公演になっている。タイトルの『トオトオデン』は、会場となる静岡市より少し西に位置する現在の遠州を指す呼称「遠江(とおとおみ)」に“遠い”のイメージを重ね合わせ、当地の名物である「おでん」をプラスした名称、ということだ。

岩本苑子、小林夢二、近藤樺楊、月宵水、水柊、宮璃アリ、山本亜手子、夕沈、る 、の9名の劇団員が出演する『トオトオデン』は、果たしてどんな作品になるのか、構成・演出を担当する天野天街に話を聞いた。

〈少年王者舘〉主宰で、『トオトオデン』の構成・演出を手掛ける天野天街


 

── 【ストレンジシード静岡】へのご参加は3度目になりますが、上演時間約20分の野外公演ということで、今回の作品の構想はどのように考えられたのでしょうか。

劇団員のみんなにアイデアを募集したら、山本亜手子が「玉を浮かせたい」と。でかい気球とか使うのは予算的に無理だけど、せっかく空が空いてるんだから上の方も少しは使いたいなと。ま、兎に角、玉がたくさん出てくるものにしようかな、と。

限られた時間で何をやるか…と考えてて「玉がいっぱい出てくる風景」から、泉鏡花の「草迷宮」を思い出した。手毬唄が出てくる話だったっけと、ブワーッと飛ばし読みで読み返してみました。テンテンテンマリテンテマリ…と唄を聴いてる裡に、どこか見知らぬ街に行っちゃった、みたいな、向こうの街の子が、何かの間違いでこっちの街の子になっちゃった、みたいな、アッチとコッチが紛らわしくなってしまったコドモ達が彷徨う景色。その世界を俯瞰する“人さらい”(月宵水が昔から演じている黒マント姿の役どころ)もわかりやすく出してみる、みたいな感じですね。

 「草迷宮」もそういう話で(江戸時代の妖怪物語「稲生物怪録」を題材にした小説。ちなみに天野は「稲生…」を基にした糸あやつり人形芝居『平太郎化物日記』の脚本・演出も2004年以降手掛けている)、「人の瞬きを住処とする」魔物が最後に出てくる。そんな、何処かに連れ去る「人さらい」のイメージと、いきなり爆弾が落ちてきて「一瞬にして何処かに行っちゃった」みたいなイメージを重ねたり。ただ、大袈裟なものではなく、20分の間そんな匂いがちょっと漂えば、と。

『トオトオデン』稽古風景より


 

── 今回の舞台美術は、関西で活動する美術家の江崎武志さんが担当されますね。

『アサガオデン』(2017年、2018年)をやったのは芝生広場だったから、木とか茂みとかあったりして、それを生かして創ってきたんだけど、今回は野外といっても[石舞台]という何も無い殺風景な場所だから、風景を利用したり出来ないんです。間口が20m以上ある広い空間をどう埋めるか? いつもこういう時の美術は田岡(一遠)さんと組んでますけど、「新国立劇場」でやった『1001(イチゼロゼロイチ)』(2019年)の時にお世話になった江崎君のことを思い出して(江崎の作品「稼働する蒸気機関車の車輪」を登場させた)、「こういう時にこそ江崎君と一緒に出来たらいいな」と連絡してみたんです。『1001』のあと、江崎君が大阪でやった作品展「二時五十九分ノ途中下車」も観に行ったりして、そこでも改めて機関車とか時計のオブジェとかいろいろ見て、江崎君となら面白いことが出来るな、これからもいろいろやりたいな、と思って。

それで、特にコチラからはイメージを出さずに「江崎君、何かいいアイデアない?」って聞いたら、「屋台とかどうですか?」と返ってきたから「いいねぇ屋台」というところから始まって、クジ引きのガラガラ(福引抽選器)とか、仕掛けのある時計のオブジェとか、いろいろアイデア出してもらって造ってもらうことになりました。造形力やアイデアも含めて、素晴らしい人と一緒に出来て、とても嬉しいです。

『トオトオデン』稽古風景より


 

── 音楽は、『アサガオデン(劇場版)』に引き続き、古くから王者舘と関わりの深い坂本弘道さんがご担当されますね。

坂本君とは何度も組んでる盟友ですが、意外と野外では一緒にやったことがないので、とても楽しみです。

── 稽古を拝見して聴かせていただきましたが、ちょっと怖い感じもあるドラマティックな、とても素敵な曲でした。

坂本君が生で演奏してくれるのは、とても大きいです。あれを野外で生で聴いたら、ものすごくシビレますよね。音に関しては他にも、野外で聴くと気持ち良い「ナニカ」を使ったりします。そういうことができるのも、屋外で上演する醍醐味ですね。


尚、先日当サイトでもご紹介したとおり、少年王者舘では2022年3月に「創立40周年記念 劇団員募集オーディション」を東京・大阪・名古屋で実施。その結果、この4月より下記14名が入団の運びとなった。

【少年王者舘 新劇団員】
飯塚勝之、今井美帆、岡本野良、後藤美智子、佐伯さち子、坂井可南子、五月女桜子、田口田一大助、南條琴美、新部聖子、ひらのみやこ、森春介、山下風、渡邊菜央

今回の『トオトオデン』に彼ら新人組は参加せず、劇団公演でのお目見えは少し先になるが、「今のところ新人公演などの予定はありませんが、外部作品の演出を依頼された時や、ワークショップ等を行う時には積極的に誘ったりしようと思ってます」と、天野。王者舘メンバーとして何らかの作品でお目に掛かる日を、今から楽しみに待ちたい。

GW期間中の3日間、少年王者舘の他にも多彩な表現に触れられる【ストレンジシード静岡2022】のプログラムや全容については、下記公式サイトのご参照を。心地よい春の一日、全日晴天を願いつつ、静岡の街へ足を運んでみよう。

【ストレンジシード静岡2022】チラシ裏

取材・文=望月勝美

公演情報

ストリートシアターフェス ストンレジシード静岡2022
少年王者舘『トオトオデン』
 
■構成・演出:天野天街
■音楽・坂本弘道
■ベル・コーラス編曲:雪港
■舞台美術:江崎武志(木鳥works) 
■振付:夕沈
■出演:岩本苑子、小林夢二、近藤樺楊、月宵水、水柊、宮璃アリ、山本亜手子、夕沈、る

■日時:2022年5月3日(火・祝)18:00、4日(水・祝)18:00、5日(木・祝)18:00 ※事前にWEB(下記公式サイト参照)または当日会場にて(各日17:30~)来場者登録が必要
■会場:静岡市民文化会館エリア[石舞台](静岡市葵区駿府町2-90)
■料金:無料(投げ銭歓迎)
■アクセス:JR「静岡」駅北口から徒歩約20分
■問い合わせ:少年王者舘 shounen@oujakan.jp
■公式サイト:
少年王者舘 http://www.oujakan.jp
 ストレンジシード静岡2022 https://www.strangeseed.info
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