タイポップス特集第2弾、レーベルの日本進出に『タイフェスティバル』など身近になりつつあるT-POPーー『レオレオ、タイタメ』Vol.11
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2022年に入ってから、日本でタイポップスのニースを本格的に見かけるようになってきた。その中でも見逃せない2つの大きな話題がある。ひとつはタイ屈指のヒップホップレーベル「High Cloud Entertainment」が日本進出したこと。もうひとつは現在開催中の『タイフェスティバル2022』の今年のテーマが「T-POP」で、コンサートを無料配信すること。そこで今回はこの2大ニュースを中心にタイのエンタメ、略してタイタメを紹介する連載『レオレオ、タイタメ』で、タイポップスを昨年8月ぶりに再びピックアップ。いま話題のカオニャオマムアンが食べられるレストランも紹介する。さらに『タイフェスティバル』に出演するアーティストから、SPICE用に寄せてもらったコメントも2ページ目に掲載! 完全撮り下ろしコメントのため、ファンは必見だ。
●タイレーベルの日本進出●
「CHET Asiaがタイ音楽レーベルHigh Cloud Entertainment(以下、HCE)の日本独占エージェントを開始」。3月4日(金)にこのニュースが飛び込んできて、思わず声が出るほど驚愕した。
4EVE
HCEは、ラッパーのエフ・ヒーローが立ち上げたタイ屈指のヒップホップレーベルだ。創立者のエフ・ヒーローは、日本ではCHET Groupがエージェントとなっている7人組4EVEを生み出したオーディション番組『4EVE Girl Group Star』で審査員を務めるなど、タイの新人アーティストを発掘するプロデューサーとしても躍進。
プレーワー(左)とアイス・パリス
レーベルには、歌手で俳優のアイス・パリスとのコラボ曲「My Ambulance」でYouTubeでの総再生数2.4億回超を達成したプレーワーや、ブーム・ブーム・キャッシュ(BOOM BOOM CASH)などの若手アーティストが多数在籍する。
ガルフ・カナーウット(左)とエフ・ヒーロー
さらにエフ・ヒーローは、ガルフ・カナーウットとの「WHY YOU SO SERIOUS」や、YouTube再生回数1,900万を超えた俳優ブライト・ワチラウィットとの「Sad Movie」など、日本でも人気のあるスターとのコラボが多いことで、タイタメファンにも広く知られている。
エフ・ヒーロー(左)とブライト・ワチラウィット
そんな同レーベルとエージェント契約を結んだのは、10年以上タイタメ界に精通するCHET Group。同社のCCO兼共同創業者の新鞍トシヤへ今回にかける思いを聞いた。
「HCEはタイ国内のコラボ能力に加えて、国外のトップアーティストとのフィーチャリングや楽曲参加も多く、非常にクリエイティブな楽曲、映像制作の能力も有しています。また韓国、ベトナム、カンボジア、インドネシアなどのアジアンポップスターとのコラボも実現しています。今後、アジア人が一体となり同じ作品を一緒に楽しむ時代が来るとしたら、このように言語や国籍の壁を超えて一緒に作品を作ることができる能力はとても重要となります。CHETは世界中にアーティストを増やしたいという思いがあり、同レーベルの実績と相性が抜群でした」
ミリ(左)とチャンビン(右)、エフ・ヒーロー
さらに今後の展望についてもこう語る。
「2022年4月、『コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル』にミリが出演し、エフ・ヒーローとK-popアーティストStray Kidsのチャンビンとのコラボ楽曲「Mirror Mirror」を歌唱しました。その他にも、映画『クレイジー・リッチ!』やBTS、88rising(宇多田ヒカルも参加する、アジアカルチャーを世界に発信するプラットフォーム)など、アジアアーティストとコンテンツがグローバルに受け入れられる時代に入っています。特にタイは韓国音楽グループに参画するなどして、グローバルなアーティストが昨今増えています。CHETではHCEと共にタイのアーティスト発掘、育成や日本アーティストとのコラボレーションを通じて、ネクストアジアスターの発掘やIPの世界展開を実現させたいと思います」
ちなみに現在、エフ・ヒーローは自身のInstagramで来日していることを報告している。日本との関わりが深くなりつつあるこのタイミングでの来日に、何か大きな話題が隠されていないか楽しみで仕方がない。
●『タイフェスティバル』タイ音楽番組とコラボコンサートを無料配信●
『タイフェスティバル2022』メインポスター 提供:在東京タイ王国大使館
もうひとつの大きなトピックスは、5月15日(日)に在東京タイ王国大使館『タイフェスティバル2022』主催のコンサートが開催されること。同コンサートは、タイの音楽番組『T-Pop Stage Show』と協力して制作する「T-Pop Stage Show:タイフェスティバル in Japan 2022 スペシャルエピソード」として、FacebookやYouTubeで無料配信される。全8組が出演するが、そのうちまだ『レオタイ』でピックアップできていなかったアーティスト3組を紹介する。
■イン・ワラントン
イン・ワラントン
まずは「シンセポップの女王」と呼ばれるイン・ワラントン。透き通る歌声と80年代の香りがするシンセポップが唯一無二の心地よさを生み、性別や年代に関係なくファンの心を掴んで毎回ヒットチャートに名を連ねている。『ジュークス・タイランド・ミュージック・アワード』など、国内の多くの賞を受賞。また海外では、『Mnet アジアミュージックアウォーズ』に輝くなど、国際的な舞台でも活躍。さらにSpotifyが国際女性デーを記念して立ち上げた「EQUALプロジェクト」では、世界中から選ばれた影響力のある女性35人のうちの1人として、タイムズスクエアにある大型ビジョンで紹介されるなど注目を受けている。筆者もタイポップスにハマった当初、聴き続けたアーティストのうちのひとりで、初めて聴いたときから耳馴染みのよい曲調にうっとりしている。
■4MIX
4MIXとイーン・パピチャヤー(真ん中)
続いてはラテンアメリカでも人気を誇る4MIX。4MIXは、タイ俳優トップタップ・ジラキットがミュージックビデオに出演しているイーン・パピチャヤーの「หมั่นเขี้ยว(Colmillos Puntiagudos)」でフィーチャリングしていたことでも知られている。多様な生き方を認める時代らしくLGBTQをコンセプトにしたバンドで、個性的なメンバーが調和し独特な世界観を生み出している。ミュージックビデオは、キャッチーでカッコ良い曲調とそれに合う音域の広さとラップ、爽快な歌詞とキレキレのダンスという、オールラウンダーっぷりが最大限に活かされていて、見れば見るほどクセになる。デビューが2021年ということで、これからの活躍が楽しみなひと組だ。
■ベル・ワリッサラ
ベル・ワリッサラ
さらに2020年にデビューした、可愛らしい声と伸びやかな歌声が魅力的なベル・ワリッサラも外せない。30万人のフォロワーを持つユーチューバーで、インフルエンサーや俳優としても活躍しているベルは、デビュー曲「アオ・パッカー・マー・ウォン(เอาปากกามาวง/このペンで〇をつけて)」がダンスとともにSNSで話題となり、YouTube再生回数3,000万回を突破。2021〜2022年で最もヒットした楽曲の1つとなり、『TOTYミュージック・アウォーズ』の「ベスト・フィメール・オブ・ザ・イヤー2021」も獲得した。またベルのYouTubeには他のアーティストのカバー動画がたくさんアップロードされており、遡って聴くだけで流行りのタイポップスを知れるため、タイポップスの入り口としても強く勧めたい。
左からウィン・メータウィン、ナニ・ヒランクリット、ブライト・ワチラウィット、ディウ・ジラワット
当日はこの3組のほか、『レオタイ』ですでに紹介している、STAMPとフィーチャリングゲストとしてSKY-HI、T-POPランキングトップ常連バンドのティリー・バーズ(Tilly Birds)、エフ・ヒーローらが審査員を務めたオーディション番組発の7人組ガールズグループ4EVE、アイス・パリス、『F4 Thailand』で共演したブライト・ワチラウィットとディウ・ジラワット、ウィン・メータウィン、ナニ・ヒランクリットの5組も登場する。
さらに『タイフェスティバル』としては珍しく、日本人アーティストのBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEとPSYCHIC FEVERも、LDH JAPANとタイ音楽レーベルHigh Cloud Entertainmentがパートナーシップを締結したことをキッカケに出演する。
昨年はタイドラマをテーマに、タイ俳優によるファンミーティングを開催した同イベント。盛況のうちに終わった昨年に続き、今年はタイドラマブームとの親和性が高く、言語の壁を乗り越えられるタイポップスをテーマとして掲げている。詳細は大使館にて開催されたPRイベントをレポートしているので読んでもらいたい。
レポート記事→こちらから
今回、SPICEでは大使館全面協力のもと、全7組の出演アーティストからコメントをもらうことに成功。本文の最後に、原文のまま掲載するのでお見逃しなく。
◇『タイフェスティバル』特別メニューを提供するレストラン◇
『タイフェスティバル2022』では、コンサートだけでなく5月のまるまる1ヶ月間、「ご近所タイフード」と「ご近所タイマーケット」キャンペーンも実施する。「ご近所タイフード」キャンペーンでは、7都府県60店舗以上のタイ政府認定タイセレクトのタイ料理レストランと協力して、期間中に特別メニューを展開する。会計2,000円ごとに、タイ・エアアジアXの東京ーバンコク便ペア
イベント公式ラインと友だちになると無料で提供してもらえるブルーソーダ
タイ料理、ワインバー、居酒屋
東京都港区東新橋1-8-2 カレッタ汐留 B2F
050-5589-3886
<月~土>
ランチタイム 11:00〜14:00(LO 13:30)、ティータイム 15:00〜17:00、ディナータイム 17:00〜23:00(LO 22:00)
<日祝>
11:00〜22:00(LO 21:30)
ガイヤーン
タイ国商務省の厳しい審査に合格したタイレストランにのみ与えられる「タイ・セレクト」に認定されている同店。タイ料理屋には珍しく、ひとりでも選びやすいセットが用意されている。メインはガパオ、グリーンカレー、パッタイ、カオマンガイの4種類から、サイドメニューはタイ風焼き鳥(ガイヤーン)と海鮮春巻きサラダの2種類から好きなものを選べ、これにトムヤムクンと生春巻き、ココナッツアイスがついてくるという贅沢なセットだ。今回はパッタイとガイヤーンを選び、『タイフェスティバル』公式LINEに友だち登録すると無料でもらえるブルーソーダとあわせて注文した。
パッタイ
味はタイ・セレクト認定店だけあって、すべてが繊細かつこってりめの味で、地元にあったら自分へのご褒美で通いたくなるほど好みの味。パッタイもモチモチしていてソースがよく絡み、セットで頼むと大概物足りなく感じてしまう大食いの筆者でも満腹になるボリューム感だった。
カオニャオマムアン
さらに今回の目当てであるコラボメニュー、カオニャオマムアンも注文。カオニャオマムアンとは「カオニャオ(もち米)」と「マムアン(マンゴー)」が一緒になったデザートで、タイの定番メニューなのだという。お腹がいっぱいで既に苦しかったが、どうしても今食べたい理由があった。というのも、『コーチェラ』のステージでミリが食べながら退散していったデザートこそが、カオニャオマムアンだからだ。
『コーチェラ』でカオニャオマムアンを食べるミリ
もち米とマンゴーを組み合わせてどんな味になるのか想像もつかなかったので、まずはマンゴーのみを食べてみた。結果から言うと美味しすぎた。臭みがなくて甘く、口の中でほどけて、人生で一番おいしいマンゴーに出会えたと断言できる。次にココナッツミルクがかかったもち米と一緒に食べてみた。美味しい。しょっぱく味付けされていて、マンゴーの甘さが引き立つ。どれだけお腹がいっぱいでも完食できたほどの美味だったので、ぜひ期間中に足を運んで食べてみてほしい。
◇ひとことタイ語講座◇
มะม่วง(マムアン、mámûaŋ)=マンゴー
『タイフェスティバル2022』コンサート出演者からのコメントは次のページ