Ryu Matsuyama×LIVE HOUSE FEVER“hands”、NakamuraEmiを迎えての第一夜は喜びと幸せに包まれた空間に

2022.6.8
レポート
音楽

Ryu Matsuyama

そして、いよいよ主催のRyu Matsuyamaが登場。オープニングの「Return to Dust」はRyu(Vo&Pf)の弾き語りから始まって、やさしいピアノとオートチューンをかけたボーカルが耳を惹く中、ドレッドヘアーがトレードマークのJackson(Dr&Cho)の音が入ったタイミングで照明が幻想的に輝き出す。同じく心地よいミッドナンバー「all at home」(結成当初に作ったかなり古い曲とのこと)へ流れるように繋ぐと、じわじわと盛り上がりを見せるバンドのアンサンブルと声の支配力。自然体で奏でる歌やメロディを起点として、壮大なサウンドスケープを丁寧に編んでいく。このライブ運びがとても彼ららしい。

「Boy」になれば、サウンドに疾走感が加わる。それまでシンセベースを弾いていたTsuru(Ba&Cho)も5弦ベースを携え、よりエモーショナルなプレイを繰り広げるなど、強度がグッと増す鉄壁のトライアングル。最新EP『And look back』からの「Deep, blue」では、“But I always will be/Will be there/Will be there”(訳詞:大丈夫 僕はずっと/いつもそこにいる/そこにいるからね)と歌われる切ないファルセットが胸を打つ。その神秘的なトーンに、3人が作り出す深遠なグルーヴに、オーディエンスも気持ちよく身体を揺らす。

Tsuru

「Ryu Matsuyamaと新代田FEVERの3ヵ月連続企画。その第1回、NakamuraEmiさんとの対バンです。今日は来ていただいてありがとうございます!」とRyuが挨拶したあとは、公演タイトルにもなった新曲「hands」を披露。「ホームグラウンドのFEVERで、仲間たちと手を組んでいろいろやっていきたい」――そんな想いを込めた同曲のどっしりと安心感のあるリズム、さらにハイトーンに上がったファルセット、そして“特別な君と 特別な時間を過ごしていきたい”という日本語詞が、誰もが人知れぬ苦労を抱えている現在の状況とマッチして温かくタイムリーに響いた。

生きている意味を問う「愛して、愛され」もまた然り。このあたりは、Ryu MatsuyamaとNakamuraEmiの楽曲に共通するメッセージ、両者の親和性の高さが色濃く表れたような時間となった。一方で、ピアノが軽やかに跳ねる「Heartbeat」、希望に満ちたアンセム「Go Through, Grow Through」では、明るくポップなサウンドを全面に出し、美しいメロディとともにパワフルな生命力もまざまざと感じさせてくれる。

「今日は以前Ryu Matsuyamaのドラムを叩いてもらっていた大塚(雄士)さんが観に来ていて、実はNakamuraEmiちゃんのサポートもやっていたりしてね。そういう繋がりを含めて、対バンの1発目はEmiちゃんしかいないと思いました。出ていただけて本当にありがたいです」と共演の経緯を語るRyu。また、MOND And PLANTSをはじめ、カメラマンや整体のスタッフ、新代田FEVER……仲間の大切さについて言及し、「素晴らしい方々に囲まれています」と感謝を告げる場面も。

Jackson

「僕とTsuruちゃんがRyu Matsuyamaを組んで、もう10年みたいです」「このお面(おつら)を10年も見ているとはね(笑)」とRyuとTsuruが言葉を交わすなどゴキゲンなトークは続き、Jacksonも「ひさびさのライブでこんなにたくさんの人たちが観てくださって、バックヤードでワイワイと話をしたりとか。いろんなことがまた楽しみになってきて、嬉しすぎて叫びたい気持ちです!」と喜びを爆発させた。

新型コロナウイルスの影響もあって、今年まだ4回目の公演だというRyu Matsuyamaだったが、「昔の曲もやれたり、想いがたっぷり詰まったライブになりました」と手ごたえを覗かせた3人。同期で華やかなブラスサウンドを取り入れ、3ピースとは思えないダイナミズムや祝祭感で圧倒した「No.One」「From the Ground」と、本編最後までホームの空気を纏ったナチュラルなパフォーマンスをやり抜き、耳の肥えたオーディエンスを大いに魅了してみせた。彼らのステージを袖でずっと見守っていたNakamuraEmiが、ものすごく嬉しそうな表情を浮かべていたのも忘れられない。

アンコールでも「これも仲間たちに救われたからこその曲」という「Friend」を届け、お客さんがいるライブハウスでの演奏をピュアに楽しんだRyu Matsuyama。かくして『hands』の記念すべき第1回は、大盛況のうちに終了となった。

Ryu

Ryu Matsuyama×新代田FEVERによるツーマンライブイベント『hands』の第2回は、6月19日(日)にBialystocksを迎えて開催される。第3回となる7月18日(月・祝)には、Polarisと対バンを行なう予定だ。こちらもぜひ足を運んでみてほしい。

なお、ライブ中に「明日の朝8時にいい発表があります」とアナウンスされたとおり、ドラマ『オールドファッションカップケーキ』の主題歌をRyu Matsuyamaが担当することも決定。プロデューサーとしてmabanuaが参加した新曲「blue blur feat. mabanua」は、6月10日に配信リリースとなる。


取材・文=田山雄士 撮影=Takeyoshi Maruyama

セットリスト

Ryu Matsuyama×LIVE HOUSE FEVER“hands”
2022.5.22 新代田FEVER
〈NakamuraEmi〉
01.雨のように泣いてやれ
02.大人の言うことを聞け
03.かかってこいよ
04.スケボーマン
05.波を待つのさ
06.一服
07.YAMABIKO
08.投げキッス
 
〈Ryu Matsuyama〉
01.Return to Dust
02.all at home
03.Boy
04.Deep, blue
05.hands
06.愛して、愛され
07.Heartbeat
08.Go Through, Grow Through
09.No.One
10.From the Ground
En01.Friend

リリース情報

New Digital Single「blue blur feat. mabanua」
2022年6月10日(金)Release

ライブ情報

Ryu Matsuyama × LIVE HOUSE FEVER  “hands”
6月19日(日) Ryu Matsuyama × Bialystocks
会場:新代田FEVER
17:00 OPEN / 17:30 START
代 4,000円+1D
 
7月18日(月祝) Ryu Matsuyama × Polaris
会場:新代田FEVER
17:00 OPEN / 17:30 START
代 4,000円+1D
  • イープラス
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