中村勘九郎らキャストコメントも到着! スペクタクルリーディング『バイオーム』ゲネプロレポート
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●ゲネプロレポート
『バイオーム』のゲネプロの様子
その家の男の子はいつも夜の庭に抜け出し、大きなクロマツの下で待っていた・フクロウの声を聴くために……。
男の子ルイの父に家族を顧みるいとまはなく、心のバランスを欠いた母は怪しげなセラピーに逃避して、息子の問題行動の奥深くにある何かには気づかない。政治家一族の家長としてルイを抑圧する祖父、いわくありげな老家政婦、その息子の庭師、力を持つことに腐心する人間たちのさまざまな思惑がうずまく庭で、黒いクロマツの樹下に、ルイは聴く。
悩み続ける人間たちの恐ろしい声と、それを見下ろす木々や鳥のもう一つの話し声を……。
初日を前に行われた、ゲネプロ(総通し舞台稽古)を見た。「スペクタクルリーディング」という枕詞がつくぐらいなので、ただの朗読劇ではないだろうと想像をしていたが、想像を遥かに超える「スペクタクル」な芝居だった。
形式的なことを言えば、成河が「3週間あるんだったら覚えませんか、などと焚き付けてしまった責任の一端も感じつつ、これは吉と出るか凶と出るか、ドキドキしております」とコメントをしている通り、朗読劇ながら脚本を持たないシーンが多い。勘九郎以外は人間と植物の二役を演じているのだが、キャストが人間を演じるときのほとんど、特に後半は脚本を持っていない印象だ。ゲネプロでこうだから、千穐楽を迎える頃には皆脚本を持っていないのではないか。リーディングにならないんじゃないかと勝手に心配してしまうほどだ。
『バイオーム』のゲネプロの様子
『バイオーム』のゲネプロの様子
舞台は、とある政治家一家の庭。そこで繰り広げられるのは人間の愛憎劇だけではなく、そこでじっとその様子を見守る木々と植物たちのストーリー。その両者が平行線で進むのかと思いきや、実は複雑に絡み合う。とても一度ではすべてを理解しきれないと思うが、その複雑さもまたいい。
演出も華美になりすぎず、役者とストーリーを引き立たせ、想像力を刺激する。勘九郎が醸し出すピュアさ、古川の色気とどこか優柔不断な感じ、花總の美しさすら感じる狂気、成河の知性と向上心、野添の威厳とコミカルさ、安藤の生活感、麻実の母性とすごみ……。宛て書きなのかなと思うほど、それぞれの俳優と役がマッチしていたことも併せて書いておきたい。
上演時間は、1幕90分、休憩20分、2幕65分の予定。「観ないと分からない」芝居はたくさんあるが、特にこの芝居はそうだと思う。ぜひ『バイオーム』の世界観を体感してほしい。
『バイオーム』のゲネプロの様子
『バイオーム』のゲネプロの様子
『バイオーム』のゲネプロの様子
取材・文・撮影=五月女菜穂
公演情報
スペクタクルリーディング『バイオーム』
会場:東京建物Brillia HALL
演出:一色隆司
<ルイ・ケイ役> 中村勘九郎
<怜子・クロマツの芽役> 花總まり
<野口・一重の薔薇役> 古川雄大
<克人・クロマツの盆栽役> 野添義弘
<ともえ・竜胆役> 安藤聖
<学・セコイア役> 成河
<ふき・クロマツ役> 麻実れい
※学生席の販売はネット会員・オンライン
※未就学児童のご入場はご遠慮ください。
・<英語字幕なし>配信視聴券:4,500 円(税込)
・<英語字幕あり>配信視聴券:4,500 円(税込)
・<英語字幕なし>配信視聴券(公演パンフレット郵送サービス付き):6,000 円(税込)※送料別途必要。
※「公演パンフレット郵送サービス付き」は<国内・英語字幕なし>のみのお取り扱いとなります。
※「公演パンフレット郵送サービス付き」につきまして数量限定での販売となりますので、予定枚数に達し次第、受付を終了いたします。また、お届けは、配信
企画・制作:梅田芸術劇場
主催:梅田芸術劇場
制作協力:NHKエンタープライズ
Twitterアカウント:BIOME_UMEGEI