「野村義男のおなか(ま)いっぱい おかわりコラム」おかわり29杯目は、世界で活躍する和楽器バンドの核を担うギタリスト・町屋が登場

2022.6.15
コラム
音楽

野村義男 / 町屋

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ギターをこよなく愛するギタリスト・野村義男が、沢山の仲間を呼んでおなかいっぱいの内容でお送りする対談形式のコラム。おかわり29杯目は、国内のみならず海外でも高い人気を誇る和楽器バンドから、バンドの核を担うギタリスト町屋が登場。

野村:本日のゲストは和楽器バンドのギター・ボーカル、町屋さんでございます!宜しくお願いします!

町屋:お久しぶりでございます、宜しくお願い致します!

野村:お久しぶりでございます。何年ぶり?10……。

町屋: 10年は経ってないんじゃないですかね?

野村:最後に会ったのはギターあげた時?

町屋:あー、そうですね!あれは多分9年前ですね。

野村:その前ぐらいは、よく一緒に飲んだりなんかしてまして。

町屋:はい、暴飲暴食を繰り返してましたね(笑)。

野村:だね(笑)。あの頃はまだ和楽器バンドじゃなかったっけ?

町屋:はい、まだ和楽器バンドがデビュー前の状態でしたね。

野村:だからあの後に和楽器バンドが話題になって、えーっいる!みたいなさ。まあ、弾けないものはないってくらいの天才ギタリストでございますから、それも当然なんですけれども。

町屋:いやいや(笑)。

野村:それでも凄いことやってるなーって思いましたよ。

町屋:僕もまさかこんなことになるなんて当時は思ってなかったです。

町屋

野村:何と言っても、コロナ禍になる前は相当外国での演奏が多かったんじゃないかと思うんですが、実際どこの国に行きましたか?

町屋:最初に行ったのがフランスだったかな。それで1番多かったのはアメリカですね、西海岸ツアーとかも回ったので。その他は定期的に行ってた台湾とか、中国もちょいちょい行ってました。

野村:この国が1番ウケが良いとかありました?

町屋:国によってリアクションって違うんですけど、歓声が大きいのは台湾ですね。

野村:そうなんだ。

町屋:で、我々の強みなところとしてはやっぱりバラードとかで和楽器の音がすごく聞こえるように作ってあるので、バラードで歓声が上がりますね。

野村:すっごい嬉しいよね、それ。

町屋:日本人ってバラードはすごく静かに聞くじゃないですか? でも、アメリカとかは特にそうなんですけど、海外公演だと琴とか三味線、尺八とかのソロになると「うおおおー!」っていう歓声が聞こえてきて、そういうノリなんだと思ったのは印象に残ってますね。

野村:ギターソロよりもそういう楽器の方がなんだこの楽器?みたいに思って盛り上がるのかな。

町屋:バラードの場合はそうですね。ただ、ロックチューンに関してはやっぱりギターソロが盛り上がりますね。

野村:あ、そこはそうなんだ。

町屋:だから最初はものすごくプレッシャーだったんですよ、本場でエレキギターを弾くっていうのが。当時はそんな自信もなかったですし、果たして受け入れられるのかとか、ぶっちゃけ“怖い“っていう意識の方が強くて。

野村:まあそうだよね、アメリカのものだし。

町屋:特にニューヨークですよね、カルチャーがすごく根付いてるところなんで。だからニューヨークって俺のギターいけるのかな?とか思ってたら、予想外に盛り上がってくれたので。

野村:あの歓声さ、ちょっと震えとかこない? 外国でのそういうのって忘れられないよね。

町屋:覚えてます、覚えてます。イヤモニ結構かき消されるくらいの歓声なったりとか、帰ってきてものすごく自分にとって自信になりました。あとは、英語とかフランス語とか高校生レベルで行ったんですけど、ちゃんとコミュニケーションが取れたらもっと色々できるだろうなって思って、帰ってきてからものすごく勉強しましたね。

野村:素敵、そういう経験ってあまり出来ないからね。

町屋:はい、自分の人生においては大きなプラスになりましたね。

野村義男

野村:最近はどんな変態ギター使ってるんですか?

町屋:最近ですか?(笑)ネックがちょっと短くなったんですけど、今は低い方に2フレット伸ばしてて、それで7弦になったので7弦の開放がAで、6弦の開放がDになってます。

野村:え、それどういうこと? 6弦と7弦の2本が1音下げなの?

町屋:あ、全部です。言っちゃえば普通のギターなんですけど、マイナス2フレット分スケールが長いって話です。

野村:あ、そういうことね。長いよ〜、普通のギターとかもう弾けないでしょ?

町屋:いや、普通のギターを弾いてる時間の方が長いですね(笑)。それを使う必要がない限りは普通のギター使ってます。

野村:僕の友達でなんか特徴あるギター弾いてる人が、チューニング問題もあるしもう普通のギターが弾けないって言ってたけど。

町屋:僕は単純に2フレット分長いって話で1音下げなので、2カポすれば普通のレギュラーで使えるんですよ。だからレギュラーチューニングのギターは普通に使えますし、何より低い音が必要になった時に持ち替えがなくて済むようになってるので楽です。

野村:いや、相変わらず変態だね(笑)。

町屋:あとは最近ジャズばっかり弾いてるんで、セミホロウになりましたね。

野村:そうなの!?そのセミホロウは何使ってるんですか?

町屋:僕のシグネイチャーがセミホロウなんです(笑)。

野村:やっぱボディは空いてた方が鳴りは良い感じ?

町屋:7弦とか低い音が意外と詰まらず、穴から自然にファって抜けてくるんで。結構いい感じです。

野村:そもそも7弦でセミホロウなんていうギターなんて見たことないかも。

町屋:あんまりないですね。最近音が硬いのがちょっとしんどいのと、結局津軽三味線とかお琴とか和楽器って撥弦楽器なので、アタックが強いじゃないですか。

野村:うんうん。

町屋:そうなるとギターはアタックのパンチ力っていうよりも、コード感支える楽器に回らなきゃアンサンブルが成り立ちづらくて。なので、トーンが5とか6とかで絞って演奏してます。

野村:それはやっぱやっぱ和楽器と一緒に演奏するバンドならではだよね。演奏の中で音の壁になって支えなきゃいけないっていう。

町屋:そうなんです。

野村:面白いなぁ。実際普通のロックとかは聴くの?

町屋:普通のロックも聴きますね。僕なんかジャッキジャキのクランチとか大好きなんで、こういうギター弾きたいなぁ、とかは思ってますよ(笑)。

野村:和楽器バンドのアイディアとしては、そういうのって役に立ってるの?

町屋:和楽器とバンドのあくまで掛け算みたいなテーマはあるので、和楽器に擦り寄るだけではなくて、軽音隊がメインになって、そこに別の要素として和楽器が乗っかってくるっていう楽曲もあります。そういう場合は、もう普通にロックの曲として作った上で、和楽器をどうアンサンブルで作っていくかっていう風にアレンジしてますね。

野村:すごいな。なんか全然わかんない世界だもん。