『美少女戦士セーラームーン ミュージアム』レポート 貴重な原画や描き下ろし新作、関連資料を展示

2022.7.12
レポート
アート

『美少女戦士セーラームーン ミュージアム』 (C) Naoko Takeuchi

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武内直子原作の少女漫画『美少女戦士セーラームーン』の大規模展覧会『美少女戦士セーラームーン ミュージアム』が、2022年7月1日(金)から12月30日(金)まで、東京・六本木ミュージアムにて開催されている。

『美少女戦士セーラームーン』は、月刊誌『なかよし』(講談社刊)にて1991年から連載を開始した少女漫画。アニメ化やミュージカル化など、日本だけでなく国外でも人気を博し、社会現象とも言える大ブームを起こしたことを記憶している方々もいるのではないだろうか。かくいう筆者も『なかよし』での連載時からどっぷりハマった世代であり、30年が経った現在でも色褪せることないセーラームーンの魅力に今もなお惹きつけられている。セーラームーンの世界に没入できる展覧会『美少女戦士セーラームーン ミュージアム』は、30周年を記念して開催されるもの。ここでは6月30日(木)に行われた内覧会の模様をレポートしよう。

※展示内容に触れているため、ネタバレを避けたい方はご注意ください。
※本記事に掲載している情報は、取材時時点のものとなります。最新情報は公式サイトで確認をお願いいたします。

会場入口から新作描き下ろし作品の展示、圧倒的な情報量

会場となる六本木ミュージアムへは、六本木駅もしくは麻布十番駅から歩いて向かう。作品の舞台である「麻布十番」からほど近い距離で開催されるということもあって、それだけでなんとも言えない感動を覚える。会場から向かう足取りもなんだか軽い……と言いたいところだが、駅から少し歩くので、夏会期に参加される方は熱中症にご注意を!

内覧会では『美少女戦士セーラームーン』原作編集担当であり、おさBUの愛称でも親しまれている小佐野文雄氏によるギャラリーツアーが行われた。「2016年に開催した『セーラームーン展』では、グッズをもう少しきちっと整理し、原画ももっとたくさんお見せできたら……と反省点がございました。今回は全ての面で前回より進化させ、特に原画は前回は30点でしたが今回は180点ほど(各期間60点ずつ)展示する予定です。原画は古くなって退色したりと劣化しておりますので、今回の発表が最後になるかもしれません。じっくり堪能していただければと思います」と、前回の展覧会から大幅にパワーアップしている旨の説明があった。

ミュージアム外観

さて、会場に到着して早速目に入ってくるのは、ミュージアムの壁にドーンと貼り出されたセーラー10戦士のイラスト。そして、会場入口のガラス張りの先に見える、赤いマントをつけたセーラームーンだ。「新作の描き下ろし作品は各会期に1点ずつ発表していこうと考えていたのですが、最初から全部見ていただきたいというのが先生のご意向でしたので、一気に発表しました。まずは外のセーラー10戦士、続いてこのマントを付けたセーラームーン、そして、奥の原画展示エリアにもセーラームーンが展示されています」と解説。勿体ぶって包み隠すことなく、最初からいきなり新作が拝めるなんて! その想いに胸が熱くなってしまう。

セーラームーンがマントを付けている!

展示エリアへのエントランスには「時空の扉」をイメージしたストリングカーテンが吊り下がっていた。これは、ここからセーラームーンの世界へと入り込むことを意味しているそう。

「時空の扉」

この扉を抜けた先には没入型シアター<セーラー・プリズム・シアター>が広がり、4.5×8メートルもの大きなスクリーンでは、セーラー戦士たちが次々に映し出されていく。目の前に置かれたセーラー戦士のアイテムは本展のためにリアルに再現されたそうで「スティックやロッドは実寸大を計算して制作したものです。ただ、(水野)亜美ちゃんのスターパワースティックはひと回りくらい大きくしている」とのこと。サイズ感も含めてじっくり堪能してほしい。

没入型シアター<セーラー・プリズム・シアター>

続いてのエリアはホログラム原画展示<セーラーガーディアンズ・ヒストリー>だ。原作の第1期から第5期の名場面・名台詞がキラキラときらびやかに輝くホログラムで展示。一定時間経つと天井のミラーボールが回り出し、そこから発する光がエリア全体をより一層輝かせる。小佐野氏からは「ミラーボールからは戦士のカラーが光るので、その点も喜んでいただけるのではないかと思います」とプチエピソードも披露された。

ホログラム原画展示<セーラーガーディアンズ・ヒストリー>

ホログラム原画展示<セーラーガーディアンズ・ヒストリー>

30年を振り返る展示の数々で、当時の記憶が蘇る

ホログラム展示を抜けた先には、カラフルな色合いが目に留まるコレクション展示エリア。アニメシリーズの設定資料や絵コンテの展示から、これまでに商品化されたグッズ、ミュージカルで着用された衣裳などがずらりと並ぶ圧巻のエリアだ。

アニメシリーズは『美少女戦士セーラームーン』から『美少女戦士セーラームーンR』『美少女戦士セーラームーンS』……、そして2023年初夏公開予定の劇場版『美少女戦士セーラームーンCosmos』までを網羅している。

歴代のアニメーション作品に関する資料がずらりと並ぶ

アニメーション資料の展示

アニメーション資料の展示

アニメ化にあたり覚えているエピソードとして、小佐野氏は「ルナは黒猫なのですが、アニメでは紺色になっています。なぜかというと、黒猫がアニメの中を動き回るとなんだか見えないから他の色を付けなきゃならないって。『アニメで使える色は何色あるんですか?』と聞いたら、170色から選ぶようにと言われました。セーラームーンはカラフルな作品であり、武内先生の設定はとても細かかったので、当時は妥協した点もありました」と懐かしそうに話す。ちなみに現在はどれくらい使えるのかと東映アニメーションの担当者に聞いたところ “無限” だと回答があったそうで「この30年でアニメの世界もすごく進化したんだなあと思いました」とアニメーション技術の成長をも語ってくれた。

おもちゃなどのグッズが並ぶエリアは明るいピンクカラーで、その色がどこか懐かしい。それもそのはず、この部屋はバンダイから発売された最初のおもちゃのデザインをもとに制作された部屋だという。

部屋のピンクカラーがなぜか懐かしい気分にさせる……

なりきりアイテム&玩具の展示。自分が遊んでいた商品を見つけるのも楽しい

「スティックやロッドなどの “なりきりアイテム” はとても人気がございまして、アニメヒットの原動力にもなりました。展示されている商品は、発売順に下から順に網羅しています」と小佐野氏が説明する目線の先に、この部屋のルーツともなった “最初のおもちゃ” が飾られていた。「だんだんと洗練されてより正確な形になっていますが、昔のものもピカピカしていて、今から30年前にこんなにも素晴らしいものが作られていたんだなあと思います」

このエリアのモチーフになったという “なりきりアイテム” がこちら

他にもぬいぐるみや人形、カードダスなどといった懐かしいものから、ウエディングドレス、現在も発売されている文房具やコスメの展示も。自分も持っていたな、これ欲しかったな、あれは友達が持っていたな……と気分は一気に青春時代に。今でも色褪せないグッズの数々に、当時の自分の思い出も蘇ってくるようだ。

ドール&フィギュア ぬいぐるみの展示

「『セーラームーン』といえば、原作の漫画、アニメーション、そしてもう一つ大事な要素がミュージカルでございます」と案内されたエリアには、バンダイミュージカルオフィス、ネルケプランニングによって製作されたミュージカルの衣裳が整列していた。1990年代から現在まで上演された作品は多数にのぼるが、そこで展示されている衣裳は実際にミュージカルで使用されたという貴重なもの。それぞれが少しずつ異なっていて、細部への作り込みまでじっくり堪能できる。

ミュージカル衣裳の展示

ミュージカル衣裳の展示

ミュージカル衣裳の展示

原作展示エリアは、作者のこだわりが詰まった場所

そして、最大の見どころともいえる原画展示エリア<セーラー・クリスタル・ギャラリー>へ。……と、その前に『なかよし』で掲載された各トビラが壁一面に集結しているのも圧巻だ。

当時愛読していた『なかよし』がここに!

「トビラのキャッチコピーは私が書いていたんですけど、今見るとすごくダサくて。その頃から女性部員にもダサいと言われていたのですが、今見てもセンスがないなと。これは恥をさらしている感じですごく見苦しいですし、こんな文字を読ませてしまって皆さん申し訳ありませんでした」と自虐的に解説した小佐野氏。しかし一方で、あの時代、このキャッチコピーを読んでワクワクしていた我々読者側がいたことも間違いないだろう。

あなたは何冊(号)覚えていますか?

さて、改めて原画展示エリアを紹介しよう。ここでは今回初めて展示される原画を含めて60点ずつ3会期にわけ、全部で180点が展示される。「ここで展示されているのは連載の第一回、1992年から1993年の2年間、第1期と第2期から30点ずつ合計60点。武内先生自身が選んでくださった原画です。ほとんど展示されてこなかった作品も多数入っていますし、展示空間も先生のこだわりが詰まっています」(小佐野氏)

原画展示<セーラー・クリスタル・ギャラリー>(写真=オフィシャル提供)

「担当者の私が言うのもなんですが、武内先生は抜群の才能やセンスをお持ちで、特に色彩感覚は素晴らしいと思います。今は先生もデジタルで描かれるようになりましたが、水彩で描いていたアナログ時代の色彩というのはとても独特な色づかいをしていて、今でもかっこいい、美しいなと思う作品が非常に多くあります。それを今回多くの方に最大点数見ていただけるというのは、とても良いことだと思います」

原画展示<セーラー・クリスタル・ギャラリー>(写真=オフィシャル提供)

なお、冒頭の小佐野氏の説明でもあったとおり、過去最大規模で原画を展示しているのはもちろん、退色などの理由から今回が最後の展示になるかもしれないとのこと。貴重な機会であることは言うまでもない。

展示風景

そしていよいよ最後に大きな3作が並ぶ。「右手の絵は1990年代の第5期の作品を、背景をまた新たに21世紀風に書き直したものになります。左手はネタバラシと言いますか、エントランスの看板になった絵です。細かいところまで見ていただくために、絵の構成を変えました。そして中央はこの展覧会のキービジュアルになるもので、この前で写真を撮っていただいて、没入していただければと思います」と小佐野氏が締める。ここで世界観に浸ったあとは、左手に再び見える「時空の扉」から、現在へと戻っていくのだ……。

本展のために背景を新たに描き直したという

ミュージアム外観にも展示されていたセーラー10戦士(新作描き下ろし)

メインビジュアルとしても使われている新作。左手には「時空の扉」が……

特設ショップ&カフェでもセーラームーンの世界観を表現

展示エリアの先にあるのは、ミュージアムオリジナルグッズを取り揃えた特設ショップや、オリジナルメニューを提供するミュージアムカフェだ。

ミュージアムショップ

ミュージアムショップ

ショップの内装は、アートディレクター・五十嵐LINDA渉が「WINDOW SHOPPING」をコンセプトにデザインを手がけたそうで、130種以上のオリジナルグッズが並ぶ。このミュージアムショップでしか購入できないグッズもあるので、見逃さないようにチェックしよう。

アクリルフィギュア コレクション(ブラインド)全10種 税込価格:1,540円

缶バッジコレクション(ブラインド)全10種 税込価格:440円

ミュージアムカフェでは、セーラー戦士や作中に登場するアイテムやセリフなどをモチーフにした本展ならではのオリジナルメニューを味わうことができる。なお、会期によって異なるメニューが提供される予定とのこと。

ミュージアム カフェ

『美少女戦士セーラームーン ミュージアム』は、2022年7月1日(金)から12月30日(金)まで、東京・六本木ミュージアムにて開催。期間を3期に分け、展示する原画が入れ替わる予定なので、詳細は公式サイトで確認しよう。前売り券は、イープラスにて発売中。当日券はイープラスまたはミュージアムの窓口で、館内の滞留人数に余裕がある場合のみ販売。


(C) Naoko Takeuchi
文・撮影=SPICE編集部 写真(一部)=オフィシャル提供

展覧会情報

美少女戦士セーラームーン ミュージアム
会期:2022年7月1日(金)~2022年12月30日(金)
・Vol.1 7月1日(金)~9月4日(日)
・Vol.2 9月10日(土)~11月6日(日)
・Vol.3 11月12日(土)~12月30日(金)
休館日:9月5日(月)~9日(金)、11月7日(月)~11日(金)
時間:10:00~18:00(最終入場 17:30)
場所:六本木ミュージアム(東京都港区六本木 5-6-20)
主催:「美少女戦士セーラームーン ミュージアム」製作委員会(ソニー・クリエイティブプロダクツ、中山マネジメント)
企画協力:講談社、東映アニメーション
展示協力:KAST、ショウエイ、YAMACHANG(REALROCKDESIGN)
後援:麻布十番商店街振興組合
料金:
<前売>一般 2,000 円、中学・高校生 1,200 円、小学生 600 円
<当日>一般 2,200 円、中学、高校生 1,400 円、小学生 800 円
※金額はすべて税込み
※日時指定制。前売券はイープラスにて販売。当日券はイープラスまたはミュージアムの窓口にて館内の滞留人数に余裕がある場合のみ販売します。