ASH DA HERO ソロからバンドへと進化した5人に訊く、メジャー1stフルアルバム『Genesis』制作秘話と未来像
-
ポスト -
シェア - 送る
――曲作りについても聞きたいのですが、ASHさんはバンド形態になって、自分から出てくる発想の変化は感じますか?
ASH:それはもう、すごく感じています。自分一人の世界で想像できることっていうのは、無限であり有限であると思ってて。5人の頭の中にあるイメージをテーブルの上にバッと出した時、混ざっても美しいし、混ざらなくても美しいのがバンドなんです。バンドごとに色んな形があると思うんですけど、僕は「俺が引っ張っていくぞ!」というより、ポンッとみんなで出し合って、「いいね、それ!」って進めていくやり方が、この5人には向いてる気がしていて。それぞれの色が違って、混ざり合う部分もあれば、全く混ざり合わない部分があるけど、ロックンロールって基本的に不協和音の美しさを尖らせたアートだと思うので。「この色とこの色を混ぜ合わせたら、相性的に良くないよ」と言われたとしても、それが新たな想像を生むし、僕らにはそのやり方が合ってる気がするので。個人としては発想とかイデオロギーとか、そういったものを日々アップデートして、鋭く尖らせていきたいと思ってるけど、バンドとしてというところとではまた違ったりして。自分の視点ってところで、主観と俯瞰がより鮮明になってきたんです。
――それってASHさんの音楽制作において、根本的なところで変化してますよね?
ASH:根本的なところで変化したとも言えるし、根本の部分に付加されたというか。オプションが付いて、ブーストがかかった感覚でもあるんです。
――ソロの時は完成形まで、一人で作り上げなきゃいけなかったけれど、いまはそうじゃなくて。みんなの力を合わせて作り上げることができるわけですよね?
ASH:そうですね。だから一人の時は、「こういう形にするためには、なにが必要か?」って、逆算的に考えて行動していたんですが。いまは足し算、掛け算、もしくは×Xみたいなことがすごく多くて。Xを掛けた時の答えは誰も知らないんだけど、「やり過ぎたとしても、それはそれで面白いでしょ?」みたいな感じで進められるのが、すごく良いんです。
――ソロで逆算的に考えてた時は完成像が大きくズレることは無かったと思いますが、バンドだとポンッと投げたものが、全く想像しない形に仕上がることもあり得ますよね。
ASH:そこが一人でやってた頃と全く違うところで、良い意味で委ねられるところもたくさんあるし、「ここはお願いするから、ここは任せて!」みたいなところもたくさんあって。そこには言葉とかではない信頼関係があります。
――ではいま、改めてバンドでやることの面白さや力強さも実感している?
ASH:実感して咀嚼して、すでに体の一部になってます。この取材を受けてる今日が7月半ばですが、5人揃ってがん首並べたのが、ジャスト1年前なんです。そこで「やりますか!」つって、1週間後くらいに「Merry Go Round」の1stデモが上がってきて。
――そこからわずか1年でアルバムが完成して、初の全国ツアーも控えていて。バンドが体の一部になってると断言できるに至ったというのが、濃厚で充実した1年だったことを証明していますね。
ASH:そうですね。こうして話してても、自分で「もう1年経ったか!」って思うくらい、すごく早く感じるので、それだけ濃密濃厚だったと思うし。ここからもこの勢いで、ぶっ壊れるまでみんなで暴走してったら面白いんじゃないですか? 合理的で守ってばっかりの時代だから、壊れるくらいの勢いで前のめりに転がって行く方が面白いでしょ?って。俺らロックバンドがセーフティなこと言っててもしょうがないですからね。
――最高です! 9月からは全国ツアーも控えていますが、アルバムはライブを想像しながら制作した部分もあったんですか?
ASH:ライブがなかなかできない状況が続いてて、それがすごいイヤだったし悔しかったし、同じ思いの人がたくさんいると思って。だからこそ、コール&レスポンスができるようなフックは意識的に作ったところはあります。
Narukaze:僕は好みとして、ライブが見えないロックアルバムってあまり好きではないし。レコーディングにはレコーディングの面白さがあるんだけど、僕らはライブを軸としたバンドだと思うので。「このビートだと、ちょっと乗れないな」とか、「ライブだとこうした方が良いな」と判断することも多いし、常にライブを意識してると思います。
ASH:確かに。新曲ができて「ライブで演ってみよう」ってなった時、「レコーディングの時はどっちにする?」みたいな話をしてたよね? 「ライブでやって手触りの良かった方と、デモで作ってた方とどっちにしようか?」って。今回、曲を作りながら、ライブもできてたのがすごく良くて。余計にライブを意識したレコーディングになったと思います。
――レコーディングって、具体的にはいつ頃だったんですか?
ASH:5月から6月ですね。だから、自分たち主催の『GACHINKO』っていう豪華なバンドが集まってくれた対バンイベントが2月から3ヵ月連続であって。ライブが終わってチンチンの状態で「録るか!」って、レコーディングに入れて。ライブを想像してもらえるのは、「まだレコーディング前だけど、ライブでやっちゃおう!」って曲も入ってるので。レコーディングの時にライブの熱量とか、ライブっぽさが真空パックされたからだと思います。レコーディングで特にライブ感が強かったのは、WANIさんじゃないですか?
WANI:そうだね。レコーディングスタジオというより、「俺はいまライブハウスで録ってる」くらいの気持ちだったから(笑)。レコーディングは俺とSatoくんで一緒に録ってたんですけど、そこにASHが混ざって、目の前でマイクなしで歌ってくれて。僕もすごいテンションが上がったので良かったんですけど、ASHが勢いあまって、「オンベース、Sato!」って叫んじゃって。
ASH:そうそう(笑)。超良いテイクが録れてる時、俺がテンション上がって叫んじゃって。プレイバックして、「いいねいいね」って聴いてたら、ベースソロに入る前に遠くの方から、「オンベース、Sato!」って聴こえてきて。エンジニアさんが「なんかいるね」って(笑)。
――あはは。スタジオライブ状態で、レコーディングしてること忘れちゃったんだ(笑)。
WANI:そんな感じで録れたので、音源でもその勢いは伝わると思います。
――では、9月から始まる全国ツアーについてもお話を聞きたいのですが。まず、10月29日のツアーファイナル、Zepp Divercity公演の
ASH:はい。ツアーも楽しみですけど、この生配信イベントも楽しみですね。この配信でしかお見せできないASH DA HEROのトークや、ミニライブなど、インタビューを読んで下さったみなさんも、文字上では伝わらない5人揃った時の雰囲気だったり、空気感だったり、この日にしか見られないとにかくスペシャルな生配信になると思うので楽しみにして下さい。
――では最後に全国ツアーに向けて、それぞれ意気込みを聞かせて下さい!
Sato:バンドの1stツアーということで、自分の中に比較対象が無いから、すごくワクワクしています。アルバムができて、みんなしっかり聴き込んでくれて、ライブに足を運んでくれると思うのですが。バンドとして初めて訪れる場所ばかりなので、その初めてをみんなと生で味わえるのを楽しみにしています。あと、コロナ禍でなかなかライブに行けなくて、生音を浴びるのは久しぶりって人も多いと思うんですけど。会場にさえ来てくれれば、「あとは俺たちに任せておけ!」って感じなので。最高のロックンロールでアゲましょう!
Dhalsim:個人的に言ったら、ちゃんとツアーするのなんて何年ぶりなので、めっちゃ楽しみですし。僕もコロナ禍になってライブを観に行くこともなくて。1年ぶりくらいに久しぶりにライブに行って、生で爆音を聴いた時、「やっぱ生ってすごい良いな」と思ったので。みんなにもそれを味わって欲しいし、音源とは違う『Genesis』の楽曲たちの生の迫力を感じてもらえるツアーになればいいなと思います。
WANI:ライブに来て全身を使って、爆音を浴びてもらえば、きっと元気や活力が湧いてくると思うので。俺たちは来てくれる人が思い切り楽しんで、元気になれるように、全力でやりたいと思ってます。あとは何より、この5人でツアーを回れるのが純粋に楽しみですね。どんな感じになるのか? もしかしたら、すごい仲悪くなるのか?(笑)
ASH:めっちゃケンカしたりしてね。それはそれで面白い!(笑)
WANI:5人でツアーを回って色んな経験して、ファイナルではその集大成を見せたいです。
Narukaze:僕はリリースツアーって、1本きりのライブじゃ作り上げられない、僕らとみんなで一緒に曲を作り上げるということができる機会だと思ってて。まだライブであまりやってない曲を、「こういうノリ方をするんだよ」ってこちらから提示したり、「そういうノリ方もあるんだ」って逆に教えられたりしながら、一緒に作り上げていけたら良いなと思います。音楽を作るだけなら5人だけでできるけど、それを共有し合えるのがライブだし、もっと良いものにできるのがツアーだと思ってるので、すごく楽しみにしています。
ASH:そうですね。『Genesis』が完成したんですが、これはあくまでも僕らが作りましたというもので。今度はこれを受け取ってくれたみなさんがどう色付けしてくれるか? どう反応してくれるか? ってところで、本当の意味で『Genesis』っていうアルバムが始まると思うし、ASH DA HEROっていうバンドが始まると思ってて。ASH DA HEROっていうロックバンドの1stアルバムの始まりの火蓋を切ってくれるのは、リスナー、オーディエンスのあなたです。みんなが火蓋さえ切ってくれたならば、僕らは狼煙を上げてどんどん突き進んで行くので。不確定要素の多い時代だけど、言うこと聞くところは聞いて、ベロ出すところはベロ出して。面白くない世の中を笑いながら面白おかしく突き進んで行こうぜ! って思ってるので。そんな姿勢をツアーで示して、ツアーファイナルのZepp Diver Cityで、みんなで大笑いできる未来を作りたいなと思ってるし。ツアーファイナルを僕らとファンのみんなのGenesisにしたいし、ASH DA HEROの物語の本当のスタートにしたいと思ってるので。新たな始まりをぜひ、その目で確認してもらいたいと思います!
取材・文=フジジュン 撮影=大橋祐希
撮影協力=イープラススタジオ
リリース情報
2022年8月31日発売
【初回生産限定盤】
価格:5,500円(税込) / 5,000円(税抜)
品番:LAPS-35014
仕様:CD+Blu-ray、豪華ブックレット付属
【通常盤】
価格:3,900円(税込) / 3,545円(税抜)
品番:LAPS-5014
仕様:CD
<CD収録曲>
01.Genesis
02.New Revolution
03.Merry Go Round
04.Dead or Alive
05.Avengers
06.エゴイスト
07.Rain on the roof
08.レーゾンデートル
09.Just do it
10.WARAWARA
11.Remember
12.世界をぶん殴れ
ライブ情報
9月3日(土)千葉|千葉LOOK
9月11日(日)埼玉|HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
9月17日(土)神奈川|F.A.D YOKOHAMA
10月1日(土)愛知|名古屋ダイアモンドホール
10月2日(日)静岡|LIVE ROXY SHIZUOKA
10月15日(土)広島|セカンド・クラッチ
10月16日(日)大阪|BIGCAT
10月22日(土)宮城|仙台CLUB JUNK BOX
10月29日(土)東京|Zepp DiverCity(TOKYO)
イベント情報
2022年9月24日(土)よる生配信
※期間限定のアーカイブ配信あり
<視聴対象>
10月29日(土)Zepp DiverCity(TOKYO)で開催される『ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 "Genesis"』ツアーファイナル公演の