SIX LOUNGE × Age Factory × the dadadadys 4年ぶり『LMX』で実現した"バチバチの対バン"
-
ポスト -
シェア - 送る
SIX LOUNGE 撮影=夏目圭一郎(SPINFROG)
『Livemasters Inc. presents LMX 2022』 2022.7.18 Zepp DiverCity(TOKYO)
ライブ制作/プロモーターのライブマスターズ主催によるイベントとして、2018年以来4年ぶりに『Livemasters Inc. presents LMX 2022』がZepp DiverCityで開催を迎えた。出演アーティストは、SIX LOUNGE、Age Factory、the dadadadysという、熱くなるなという方が土台無理なライブの猛者3組。SIX LOUNGEのヤマグチユウモリ(Vo/G)曰く「バチバチの対バン」である。月曜祝日のライブハウスを焦げ付かせた約3時間の模様を、レポートしたい。
the dadadadys
リンダ・スコットによるスタンダード名唱「星に語れば」をSEに登場したトップバッターは、2022年初頭に改名して心機一転の再出発、現在は4人組バンドとして活躍するthe dadadadysである。小池貞利(Vo/Gt)、佐藤健一郎(Ba)、yucco(Dr)、山岡錬(Gt)の正規メンバーに、サポートとして熊谷太起(Gt・Helsinki Lambda Club / Group2 etc.)が加わった5ピース編成。耳を劈くド迫力の音出しから、ライブがスタートする。小池の巻き舌シャウトを合図にするように、ビートとリフがつんのめりながら転がる「超々超絶絶頂絶好最高潮」を切り出していった。tetoからの改名後初のミニアルバム『Do Wah dadadady』のオープナーを飾っていた楽曲だけあって、恐るべき瞬発力のスタートダッシュを見せてくれる。山岡によるひしゃげた爆音の間奏も強烈だ。
the dadadadys
the dadadadys
最新ミニアルバムからの楽曲が続いて「ROSSOMAN」へ。会場ごとフルスロットルに持ち込むような勢いと熱量で、ビートスイッチを加えながらひた走る。ただリズムが切り替わるだけではなく、メンバーが互いに鬩ぎ合うthe dadadadysの演奏が、極めてスリリングな性急さをもたらしてくれるのだ。この日のフロアは座席制になっていたのだけれども、オーディエンスは早々に総立ちとなって黒く波打っている。「あの太陽の野郎に汗をかかされるのが癪だから、俺は自分から踊ってツイストして、自分で汗をかくって決めました!」という小池の言葉で、今度はご機嫌なスウィンギン・ロックンロール「しぇけなべいべー」を放っていった。
the dadadadys
the dadadadys
「レッツ音楽!」という掛け声で小池が一時ステージから捌け、4人によるファンキーなジャムセッションが始まるのだが、こんなときのバンド演奏はすこぶるタイトである。しかし、小池という感情表現のダイナモが加わると、the dadadadysは再び危ういコンビネーションの魅力を放ち始める。バンドの魅力とは、必ずしも正確無比な演奏にあるのではない、そんなロック表現の深みを教えてくれるようだ。「PUXXY WOMAN」においても、人間同士のスリリングな鬩ぎ合いが浮かび上がってくる。猛スピードでぶっ放される「とめられない」の後には、「屋上から飛び降りた、僕に手紙をくれた女の子と、その気持ちがわかるすべての人間に贈ります」という言葉を添え、こちらもteto時代からのレパートリーである「遊泳地」へ。照明演出もさることながら、トリプルギターによるそのブライトな音像は、ある種の祈りのように眩い光を呼び込んでいた。ステージを締め括る「恋」まで、限られた持ち時間の中でも完全燃焼してみせる大熱演であった。
Age Factory
転換を経ての2組目には、目下全国ライブツアー中のAge Factoryがオンステージ。清水英介(Vo/Gt)、西口直人(Ba/Cho)、増子央人(Dr/Cho)、サポートメンバーに有村浩希(Gt)という4ピースで、清水がギターを奏でながら「OVER」を歌い出す。ハスキーな男の色気に満ちた歌声と、骨太な後ノリ感でグルーヴしてゆくバンドサウンドが、先ほどまでとはまた異なる趣の一体感を生み出していった。青白く明滅するライティングに、シルエットを浮かび上がらせてパフォーマンスする姿がかっこいい。昨年リリースしたアルバム『Pure Blue』の曲順どおりに、続いては大ぶりなビートにエモーショナルなメロディの歌が浮かぶ「SKY」へと持ち込んでいった。
Age Factory
感染症対策が講じられた会場に向けて挨拶しながら、「ルールはあるけど、頭の中は自由なんで」と語る清水。ドラマティックに展開してゆく「Dance all night my friends」では、楽曲の力で心の距離をグッと詰めて語りかけてくるようだ。この後にはアルバム『EVERYNIGHT』の収録曲が続き、変則的なグルーヴでオーディエンスを飲み込み大きく波打たせる「HIGH WAY BEACH」や、静と動のコントラストでダイナミズムを描き出す「Everynight」を披露。刺激的で美しい音響と歌心がガッチリと手を取り合うAge Factoryのパフォーマンスには、心象と情景を強烈に喚起する力がある。ライブ会場ごと、音の風景に包まれるようだ。
Age Factory
Age Factory
フレーズの隙間から歌の情緒が立ち上り、哀愁を引き摺りながら奏でられる「Light off」もまた、ライブの中盤にどっしりとした歌の手応えを残していった。ことさら強く煽り立てるわけでもないけれど、アンセミックに鳴り響く「Merry go round」の中でオーディエンスはいつしか一様に腕を振り翳し、音の風景に染まって躍動感を描き出してくれる。「今日は、(対バン相手が)the dadadadysとSIX LOUNGEなんで、Age Factoryは歌モードでやってますけれども、楽しんでますか?」と問いかける清水だが、何よりも彼ら自身が、今回のライブイベントを真剣に楽しんでいることが分かる。
Age Factory
バンド初の映画主題歌として書き下ろされた「First day song」を歌うとき、清水は「大切な曲」と紹介していた。まさに、触れる者とじっくり対話を繰り広げるような1曲だ。そして「1994」の後、「次は夕焼けの曲なんだけど、俺たちが連れて行くんじゃなくて、俺たちを連れて行ってくれ!」と呼びかけ、高らかなコーラスとともに飛び込んでゆく「TONBO」は、Age Factoryによる音の風景の真骨頂。トドメの一撃とばかりに放たれる「Feel like shit today」まで、片時も目を離すことのできないパフォーマンスであった。
SIX LOUNGE
そして、出演3組のアンカーを務めるのは、「雨にぬれても」をSEに姿を見せたSIX LOUNGEである。ヤマグチユウモリ(Gt/Vo)、ナガマツシンタロウ(Dr)、イワオリク(Ba)のトリオが位置につくや否や、勿体ぶることもなくアクセルを踏み込み、「ナイトタイマー」を皮切りにタイトで鋭いロックンロールの時間が始まる。開演からものの数秒、ヤマグチの狂おしい節回しは早くもフルスロットルだ。間髪入れず、湧き上がるフロアに挑発的なナンバー「DO DO IN THE BOOM BOOM」を畳み掛け、イワオもぐいぐいとスウィングするベースラインで追い込みをかけるのだが、ヤマグチはまだまだ満足できないといった様子で「おいZepp!! 目ぇ覚ませよ!!」と煽り立てるのだった。
SIX LOUNGE
ひときわ重いビートと野太いサウンドに塗り固められた「LULU」、さらにはライティングごとレッドゾーンに振り切れる「ピアシング」とパフォーマンスを続ける中、ナガマツは高速乱舞するビートのブレイクで魅せる。開演からひたすら右肩上がりの興奮を胸に、オーディエンスも歓声を抑え込むのが大変、といった様相である。ギターリフが踊りまくる「トゥ!トゥ!トゥ!」からパンカビリー風の爆走「スピード」にかけては、熱いコーラスにまみれて賑々しさを増していった。SIX LOUGEのレパートリーの中でも即効性が高くアップリフティングなロックナンバーを、遠慮なく並べ立てたセットリストだ。息つく暇もない、とはこのことである。
SIX LOUNGE
そして「僕を撃て」以降は、ロックンロールのスリルによってこじ開けたオーディエンスの感受性に、ビッグメロディをこれでもかと注ぎ込んでゆく時間帯だ。出演バンド3組の中でも、3人編成であるSIX LOUNGEの音数は少ない。にもかかわらず、密度の高いサウンドとその機動力をもって、ライブ会場を自由自在に翻弄し、完全に掌握してしまう。数字だけでは測りきれない熱狂も、ロックのおもしろさである。汗まみれの笑顔を覗かせるヤマグチはあらためて、「こんなアブラギッシュなイベントをありがとうございます!」と、主催のライブマスターズに感謝の思いを伝えていた。終盤は、一期一会のライブを祝福するような轟音のスウィートメロディ「メリールー」や「カナリア」といった新旧の名曲を固め撃ち。「ふたりでこのまま」が本編をロマンチックに締め括るさまには、ずるいぞSIX LOUNGE、という思いを禁じ得なかった。見事なライブ運びである。
SIX LOUNGE
アンコールに応え、缶ビール片手に再登場したヤマグチは、「SWEET LITTLE SISTER」を披露する前に「明日から平日。また頑張りましょう。そんでまた、ライブハウスで会いましょう!」と挨拶を投げかける。それ以上の言葉は不要だった。三組三様のロックの中に、大切なもののほとんどが詰まっていたからだ。それぞれのロックバンドにしかできないエネルギーを導き出す、素晴らしいライブイベントであった。
取材・文=小池宏和 撮影=夏目圭一郎(SPINFROG)
SIX LOUNGE
セットリスト
01. 超々超絶絶頂絶好最高潮
02. ROSSOMAN
03. しぇけなべいべー
04. にんにんにんじゃ
05. PUXXY WOMAN
06. とめられない
07. 遊泳地
08. 恋
01. OVER
02. SKY
03. Dance all night my friends
04. HIGH WAY BEACH
05. Everynight
06. Light off
07. Merry go round
08. First day song
09. 1994
10. TONBO
11. Feel like shit today
01. ナイトタイマー
02. DO DO IN THE BOOM BOOM
03. LULU
04. ピアシング
05. トゥ!トゥ!トゥ!
06. スピード
07. トラッシュ
08. 僕を撃て
09. メリールー
10. カナリア
11. ふたりでこのまま
[ENCORE]
12. SWEET LITTLE SISTER
ライブ情報
OPEN 18:00 / START 18:30 ゲストバンド:w.o.d.
9月16日(金)浜松 窓枠
OPEN 18:00 / START 18:30 ゲストバンド:the telephones
9月18日(日)京都MUSE
OPEN 17:00 / START 17:30 ゲストバンド:ドミコ
9月19日(月・祝)神戸VARIT.
OPEN 17:00 / START 17:30 ゲストバンド:ドミコ
9月23日(金・祝)いわきclub SONIC
OPEN 17:00 / START 17:30 ゲストバンド:POLYSICS
9月30日(金)川崎CLUB CITTA'
OPEN 17:30 / START 18:30 ゲストバンド:キュソネコカミ
OPEN18:30 / START19:00
8月15日(月)渋谷 WWW X
OPEN18:30 / START19:30
8月16日(火)名古屋 CLUB UPSET
OPEN18:30 / START19:00
8月20日(土)奈良 EVANS CATLE HALL
OPEN17:30 / START18:30
※終了分は割愛・全公演ワンマン・SOLD OUT
10月15日(土) 大分 T.O.P.S BittsHALL
OPEN 17:00 / START 18:00
10月22日(土) 高松 DIME
OPEN 17:30 / START 18:00
10月29日(土) 金沢 EIGHT HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
10月30日(日) 新潟 NEXS
OPEN 17:30 / START 18:00
11月05日(土) 仙台 Rensa
OPEN 17:00 / START 18:00
11月12日(土) 札幌 PENNY LANE24
OPEN 17:00 / START 18:00
11月13日(日) 旭川 CASINO DRIVE
OPEN 17:30 / START 18:00
11月19日(土) 広島 CLUB QUATTRO
OPEN 17:00 / START 18:00
11月20日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
OPEN 17:00 / START 18:00
11月23日(水祝) 大阪 なんばHatch
OPEN 17:00 / START 18:00
11月26日(土) 名古屋 DIAMOND HALL
OPEN 17:00 / START 18:00
12月04日(日) Zepp DiverCity (TOKYO)
OPEN 17:00 / START 18:00
12月10日(土) Zepp Fukuoka OPEN
OPEN 17:00 / START 18:00
※全公演ワンマン