アーバンギャルド、コンセプト盤「昭和九十年」再現ライブで観客の感情揺さぶる

レポート
音楽
2015.12.26
左から浜崎容子(Vo)、松永天馬(Vo)。(撮影:名鹿祥史)

左から浜崎容子(Vo)、松永天馬(Vo)。(撮影:名鹿祥史)

アーバンギャルドのホールライブ「昭和九十年十二月」の東京公演が12月22日に東京・大和田さくらホールで開催された。

このライブは12月9日に発売された最新アルバム「昭和九十年」の世界観を再現するというテーマで企画されたもの。「昭和九十年」は日本が戦時下にあるというパラレルワールドの2015年を描いたコンセプトアルバムで、強烈なメッセージがアルバム全体に貫かれている。ライブが開演すると「妹が死にました」「姉さんが死にました」などのシュプレヒコールや空襲警報がホール全体を包み、ステージは真っ赤に染まる。これまでのアーバンギャルドのステージとは異なる演出に、会場の緊張感が高まった。

ライブはアルバム「昭和九十年」の1曲目「くちびるデモクラシー」からスタート。5月にライブ会場限定発売されたミニアルバム「少女KAITAI」の楽曲も織り交ぜつつ、「昭和九十年」からの新曲を収録順に演奏していく。松永天馬(Vo)はMCではiPhoneのSiriと会話してオーディエンスの笑いを取るが、詩の朗読では刺激的な言葉を並べて会場は不穏な雰囲気に。現代社会の病巣とその当事者の心理を分析した楽曲「箱男に訊け」では、アーバンギャルドのキャラクターとしてこれまでたびたびステージに登場してきたキューピーの着ぐるみ・都市夫ではなく、段ボールに全身を収めた箱男が登場した。

浜崎容子(Vo)はライブ中、楽曲のイメージに合わせて軍服、ワンピース、和装着物、セーラー服などさまざまな衣装に早着替え。またガスマスク、しゃれこうべ、マシンガン、サンタ帽、トランジスタメガホンなど、アルバムの世界観をリアルに再現するためのたくさんの小道具が用意された。ミニアルバム「少女KAITAI」の収録曲「ファンラブソング」を経て披露された「ゾンビパウダー」では、松永は小さなビニール袋に入った純白の粉をポケットから取り出して、客席に投げ込みながら「小麦粉か何かだー!」とシャウト。「ゾンビパウダー」の激しいサウンドは「少女KAITAI」の収録曲「いちご売れ」に続き、彼らはコール&レスポンスを繰り返しながら観客の興奮をピークまで高めた。最後の曲「オールダウトニッポン」では、アルバム「昭和九十年」のコンセプトを強烈に意識させるパフォーマンスが繰り広げられ、オーディエンスの感情を揺さぶりつつライブは幕を閉じた。

なおアーバンギャルドは4月から新たなツアー「昭和九十一年、そして昭和九十一年」を行うことが決定している。

アーバンギャルド全国ツアー2016「昭和九十一年、そして昭和九十一年」

2016年4月2日(土)千葉県 K'S DREAM
2016年4月3日(日)神奈川県 横浜BAYSIS
2016年4月9日(土)長野県 LIVE HOUSE J
2016年4月10日(日)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2016年4月15日(金)群馬県 高崎club FLEEZ
2016年4月16日(土)栃木県 LIVEHOUSE KENT
2016年4月17日(日)宮城県 HooK SENDAI
2016年4月20日(水)福岡県 LIVE HOUSE CB
2016年4月21日(木)岡山県 IMAGE
2016年4月23日(土)大阪府 Music Club JANUS
2016年4月24日(日)京都府 GROWLY
2016年4月29日(金・祝)愛知県 APOLLO BASE
2016年5月1日(日)東京都 新宿BLAZE

音楽ナタリー
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