實川風、ららら♪クラシックコンサートVol.14出演インタビュー 實川風が描く“ドゥムカ”の世界

2022.8.23
ニュース
クラシック

實川風 (C)T.Tairadate


NHK Eテレの音楽番組『ららら♪クラシック』(2012年4月~2021年3月)のわかりやすさと楽しさはそのままに、司会の高橋克典による案内のもと、一流音楽家の生演奏を体感できる『ららら♪クラシックコンサート』

今回は「クラシック界 期待のヴィルトゥオーソ~国際コンクールの受賞者たち~」と題し、ワールドワイドに活躍する日本の若手演奏家6名による贅沢な競演を聴くことができる。出演者のひとり、2015年のロン=ティボー=クレスパン国際コンクールにて第3位(1位なし)、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞を受賞した日本の若手を代表するピアニスト、實川風に話を伺った。

ーー今回演奏されるチャイコフスキーの『ドゥムカ』とは、ずいぶん長い付き合いなのだとか。

中学3年生の時に先生が勧めてくれたのがきっかけで弾くようになりました。

ーーロン・ティボーでもプログラムに入れておられましたが、どんな曲なのでしょうか?

この曲、ドゥムカは「哀歌」という意味なのですが、さらにサブタイトルに「ロシアの農村風景」とあります。僕のイメージでは厳しい冬の農村から物語が始まります。極寒の季節に家の中でウオッカを飲むおじさんの歌……悲しさや、やるせなさがそこはかとなく広がっていきます。中間部はテンポを上げて、お酒の力で元気になった人々が無骨なダンスを踊り始める。そんなシーンに続いて猛吹雪が吹いてきたり、さまざまな情景が目の前に広がっていきます。オペラやバレエ音楽を切り取ったような世界が、8分くらいの間に次々と展開していく。コンクールだったりコンサートだったり、演奏するたびに新しい風景が見える曲です。

ーーピアノの魅力について教えてください。

一人で、同時に色々な音楽の要素を表現できるところでしょうか。メロディーを弾きつつベースのラインも作り、内声のタイミングや呼吸もコントロールしながら、一人で音楽の世界を描き出せるのが魅力ですね。反面、そこがこの楽器の難しいところでもあるのですが……。僕はオーケストラが好きなので、一人ではできないことへの憧れがあるのですが、ピアノソロの素晴らしさは「この人はどういう人で何をしてくれるのか」という、“ピアニスト一人だからこそ到達できる音の世界”にあると思います。

ーー本公演への思いをお聞かせください。

やはり生のコンサートで、自分が思い入れを強く持っている曲を会場全体と共有できる時間は特別です。お客様とひとつの空間で音楽の持つ可能性を体験できたら、ということをいつも心がけています。作曲家の音符を理屈だけではなく、“ひとつの体験”として全身が満たされるような時間にできたら理想ではないかなと思っています。

(文・坂井孝著)

公演情報

『ららら♪クラシックコンサート Vol.14 クラシック界 期待のヴィルトゥオーソ~国際コンクールの受賞者たち~』
 
会場:東京文化会館 大ホール
日時:2022年10月2日(日)14:00開演(13:15開場)
出演:      
上野通明(チェロ) 成田達輝(ヴァイオリン) 實川 風(ピアノ)
吉田 南(ヴァイオリン) 嘉屋翔太(ピアノ) 中瀬智哉(ピアノ)
高橋克典(司会) 金子奈緒(司会)
 
 S席:8,000円 A席:7,000円 B席:6,000円 C席:5,000円
※全席指定・税込み
※未就学児入場不可
※出演者が変更になる場合がありますが、その場合でも払い戻しはいたしかねます。
※新型コロナウイルス感染状況により開催ならびに運営方法が変更になる場合があります。
の不正転売禁止。
※車いす席ご希望の方はウドー音楽事務所までお問い合わせください。
 
プログラム            
◎シューベルト=リスト:アヴェ・マリア
◎ショパン:バラード 第2番ヘ長調Op.38
◎ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調
◎サラ・サーテ:ツィゴイネルワイゼン Op.20
◎チャイコフスキー:ドゥムカハ短調Op.59
◎ヴィエニャフスキ:華麗なるポロネーズ 第1番 ニ長調 Op.4 ほか
 
※曲目は変更になる場合があります。
 
主催:ららら♪クラブ実行委員会(ヴィーナスアクト ぴあ ウドー音楽事務所)
企画・制作:NHKエンタープライズ
問い合わせ:ウドー音楽事務所 TEL:03-3402-5999(月曜・水曜・金曜 12:00〜15:00)
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