梅田サイファー『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー総勢11人のラッパー in da house、個性のぶつかり合いで体力もスマホも充電切れに
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梅田サイファー 撮影=河上良
『RUSH BALL 2022』梅田サイファー
梅田駅の歩道橋から泉大津フェニックスへーー。『RUSH BALL』2日間すべてのステージを締めくくるクロージングアクトは梅田サイファー。ロックバンドの出演が多い『RUSH BALL』だが、2020年にはCreepy Nutsが大トリを務めるなど、ジャンルの壁を越えたアーティストが活躍。フェスや野外音楽イベントでラップをすることが当たり前になってきたなか、いよいよ登場したのが彼らだ。
しかもこの日の出演は11MC+2DJ、これまでの『RUSH BALL』の歴史のなかでも最多のメンバーだ。ステージ上にギューギューになって、まずはフリースタイルで自己紹介。梅田発のヒップホップ集団ということもあって、マイクを次々に変えながら地名に電車に、終電の時間まで、リリックの至る所に大阪の匂いをプンプンさせている。バトンの繋ぎも絶妙だし、11MCの個性と才能が矢継ぎ早に繰り出されるのは迫力がある。
梅田サイファー
それぞれのキャラをフリースタイルで見せつけると、「マジでハイ」ではご機嫌なサウンドに乗ってリスキーなワードをライミングしていく。クラブではなく野外、しかもロックイベントでヒップホップが豪快に鳴り響く。ジャンルの垣根を越えて、観客が自由に楽しんでいる姿を見て、メンバーもテンションが上がりっぱなしだ。
Creepy Nutsのステージからすでに会場入りしていたというメンバーは、もうすっかり『RUSH BALL』ラバーになったようで、「最後に最高到達点にいきたい!」と、「ビッグジャンボジェット」、「アチィ」でタオルをぶん回したり、癖になるトラックで躍らせたりと、観客のテンションを自在に操っていく。
梅田サイファーはグループではなく、あくまでヒップホップ集団のひとつ。それぞれがソロのラッパーやDJとして活躍していることもあって、同じステージ上にいても埋もれちゃいけないと、ごちゃ混ぜ状態のフロアで互いに個性をぶつけ合い、観客に存在をアピール。「トラボルタカスタム」でもスリリングなトラックにキレッキレのライム&フロウで魅せるなど、多彩なナンバーで観客を揺らし続ける。
「明るい未来が見えた。未来はもっと良くなる。最後はフィーバーして帰ろう!」と言えば、体力もスマホの充電も使い切って帰ろうと、スマホライトでフロアをダンスホールに換え、最終曲「梅田ナイトフィーバー’19」へ。梅田サイファー、そしてヒップホップの魅力を存分にブチ込んだクロージングアクトが終わると、会場から大きな拍手が届けられた。
梅田サイファー
2022年、また新たな一歩を歩み出した『RUSH BALL』。音楽の楽しみ方、フェスのルールだけじゃなく、出演者のジャンルやラインナップもひと味違った今年。来年はどんな環境のもとで、音楽が鳴り響いているのか。コロナ禍以前に戻れるのはあともう少し。これから1年、期待して待ち続けたい。
取材・文=黒田奈保子 撮影=河上良
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