加藤和樹、小池修一郎演出のフランス発ミュージカル『1789 ―バスティーユの恋人たち―』に主演!
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『1789 ―バスティーユの恋人たち―』W主演の加藤和樹 (撮影/石橋法子)
理不尽な怒りをロックな歌&ダンスで魅せる“革命群像劇”
2012年にフランスで初演され、瞬く間にメガヒット作へと上り詰めた新世紀のフレンチ・ロック・ミュージカル『1789 ―バスティーユの恋人たち―』。日本では2015年に宝塚歌劇団で上演され、革命前夜の熱狂とその最中に育まれた2つの愛の物語をグルーブ感溢れるロックナンバーや心を震わすバラード、疾走感溢れるストーリー展開で表現し大好評を博した。そんな話題作が2016年春、数々のヒット作を手掛ける小池修一郎潤色・演出により東宝版として東京、大阪で上演される。革命の火種となる主演の“怒れる農夫”ロナン役に俳優・歌手としてデビュー10周年を迎えた加藤和樹。W主演の小池徹平と共に帝国劇場初主演を飾る。ここでは、大阪公演に向けた取材会の模様をリライトしてお届けする。
あらすじ:民衆は貧困にあえぎ、貴族は贅沢に溺れる18世紀末のフランス。父親を貴族に殺された農夫ロナンはパリへ赴き、現地でロベスピエール、ダントン、デムーランら同志を得て、革命に身を投じる。そんな折、マリー・アントワネットとフェルゼン伯の逢瀬を手引きするためパリにやってきた王太子の養育係・オランプ。ロナンは彼女と運命的な出会いを果たし惹かれ合うが、敵対する身分の違いが壁となる。やがて1789年7月14日、バスティーユ牢獄襲撃。遂に革命の火ぶたが切って落とされる。
◎「驚きの仕掛けやロックな楽曲に、惚れました!」(加藤)
―――フランス版は映像で、宝塚版は生の舞台を観劇されたそうですね。
それぞれ演出やストーリーは多少違いますが、基本的な部分では変わりません。フランス版でいえば、まず楽曲に惚れました。良い意味でミュージカルっぽくない、ロックなんです。純粋にアーティストとして歌ってみたい曲がいっぱいありますし、ダンスもアクロバティックで衣裳も華やか。テンポ良い場面転換は映画を見るようだし、装置などの仕掛けも新しく、こういう使い方もあるんだ!と驚きました。演出を含めそれらすべてを日本で再現できたら、今までの帝劇ミュージカルとはまた違ったものになるだろうなと。そこに参加できるのであれば、ぜひ参加させて頂きたい!と思いました。
―――小池先生からは、フランス版とも宝塚版とも違う作品になるとのコメントも。
具体的なことは稽古に入ってからだと思うんですが、一つ言えるのは東宝版にしかない楽曲が一曲追加されるということ。それも含めて新たな作品になると思います。
―――大型ミュージカルを得ての帝国劇場初主演です。
もちろん看板を背負う喜びと同時にプレッシャーも感じています。でも、Wキャストで(小池)徹平くんもいますし、どこか一人じゃないと思っているので、楽しみの方が大きいですね。
―――共演者も錚々たる顔ぶれが揃いました。とくにフランス国王ルイ16世の弟で、王位を狙うシャルル・アルトワ役の吉野圭吾さんは濃いキャラクターで沸かせてくれそうです。
今回も主役を食うぐらい個性を打ち出してくると思うので、負けないようにしないと。ただ、向こうには向こうの王位を巡る物語があるので、ドラマの部分でもメリハリをつけていきたいですね。
―――演じるロナン役について。
農村出身なので、チラシでも僕らだけ衣裳がきっちりしていないのはそのせい。貴族に理由もなく父親を殺されたことで革命に立ち向かう、その想いが民衆を奮い立たせていく。強く引っ張っていく覚悟と熱い想いがある役なので、芯の強さや仲間たちとの絆、団結力を意識しながら作り上げていきたい。
―――Wキャストの小池徹平さんとは、全然イメージが違います。
僕もそう思います。僕は『レディ・ベス』や『ロミオ&ジュリエット』でも城田優さん、山崎育三郎さんらとWキャストで演じてきましたが、自分は自分という思いもありますし、もちろん相手の演技がヒントになる場合もありますが、意識して全く違う演技に変えていこうとは思わない。例え同じように演じても、絶対違うものが出てくるものだと思うので。
―――劇中では、歌に加えアクロバティックなダンスも披露されるのでしょうか。過去に出演された『真田十勇士』では、大槍さばきが見事でした。
ありがとうございます。とはいえ、立ち回りとダンスは似て非なるものなので、急にダンスと聞くと動きが変になってしまう(笑)。ダンスについては『ロミオ&ジュリエット』のころから小池先生に課題だとずっと言われてきたので…。ダンサーはもちろん、キャストも少なからず踊りはあると思うので、できる努力は最大限にしたいと思います。
―――何か事前に準備など?
ダンスではないのですが、今はバレエのレッスンに通っています。舞台ではまず立ち方が重要なので、生まれて初めてのバーレッスンを体験中。稽古場でダンサーさんたちが練習している姿はよく見ていましたが、いざ実践してみると結構きついですね(笑)。
◎「小池先生いわくラブシーンがリアルすぎる、と(苦笑)」(加藤)
―――革命と並行して、ロナンとオランプ(神田沙也加/夢咲ねね)のラブストーリーも描かれます。
そこは明確に表現したいですね。革命の最中とはいえ、どんな状況下でも恋心は芽生えるし、愛は育まれるものなんだとしっかり伝えたい。神田さん、夢咲さんとは初共演なのでどんなオランプになるのか楽しみです。
―――ちなみに、『レディ・ベス』でもラブストーリーの要素がありました。その時、小池先生から受けたアドバイスで特に印象深いコメントは?
僕、昼ドラに何作か出させていただいているんですが、稽古場では何度か小池先生に「昼ドラっぽい」と言われました。いやらしさを無くしてくれと(笑)。何なんでしょう、リアルすぎるんでしょうか。そんなつもりは全くなかったんですが。今回はその辺を削ぎ落としつつ、いやらしくない程度に演じたいです(笑)。
―――ロナンとは別に、もう一つの恋物語を演じるマリー・アントワネット役には花總まりさんと凰稀かなめさん。元宝塚歌劇団宙組トップスターの凰稀さんは、今作で女優デビューを飾ります。
初めてのことって凄く大変で、ドレスさばき一つとってもそう。体の見せ方、立ち方は、僕も初めて大きいミュージカル作品に出演したときに苦労しました。でも凰稀さんは立ち姿が本当に美しいので、見ていて惚れ惚れするほど。これで実際にお芝居をして動いたらどうなるのか、観てのお楽しみですよね。花總さんとはまた違った、凛とした美しさがあると思います。
―――花總さんとは『レディ・ベス』でも共演されました。
花總さんはずっと(元宝塚歌劇団雪組・宙組)娘役のトップをされていて、一度マリーを演じているというのも強みだと思います。奥ゆかしさや可愛らしさ、華という部分では右に出る人はいないかもしれない。ただ、普段は本当に気さくな方なんですよ。でもスイッチが入るとガラッとかわるので、あの切り替えスイッチは毎回凄いなと思います。包み込まれるような安心感のある方なので、今回はあまり絡めなくて残念です。
――東京、大阪公演と長いツアーになります。Wキャストの場合、出演されないときは何を?
じつは稽古で練り上げても、本番で気付くことも少なからずあるので、集中力は切らさないようにしています。とはいえ、立てなくなったら終わりなので、コンディション管理は一番大事ですね。結局食べることが好きなので、キャストのみんなと飲みに行ったり食事をしたり、睡眠もしっかりとる。あと地方ではホテル住まいなので、昼間にギターを鳴らして作曲の仕事をしています。本当は通天閣の辺りを散歩したりUSJとか行きたいんですけど、遊びに来ているわけではないので、そこは我慢です(笑)。
――Wキャストは様々な組み合わせを試したくなります。楽しみと同時に、ファン泣かせでもありますよね。
はい、
口髭をはやしたワイルドな容姿とは裏腹に、終始穏やかな話しぶりが印象的だった加藤和樹。本番ではどんな怒りを爆発させるのか。加藤版の完成度が高ければ高いほど、小池徹平版と見比べたくなるはず!
『1789 ―バスティーユの恋人たち―』
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