主演の竹下景子&作・演出の佃典彦にインタビュー! 愛知で人気食堂を築き上げた名物女将の一代記『まるは食堂』が、東京と名古屋で上演

2022.9.13
インタビュー
舞台

■同郷の物語、であるがゆえの苦労も

── セリフの方言についてですが、知多と名古屋は同じ愛知県内でも地理的に少し離れているので、言い回しが違うところもあります。佃さんは実際にセリフを書くにあたって、大変だったこともあるのではないかと。

佃:僕は名古屋在住なので、実際にうめさんのDVDとか見ていると、言葉はやっぱり名古屋弁ではないんですよね。名古屋弁とはちょっと違って、「何々してくだれた」とかね。とりあえず僕が気をつけているのは、東海地区のイントネーションでやる、ということです。三河弁や知多弁で、というよりも、言ってみれば名古屋弁。それでもやっぱりキャストの皆さんはずっと東京で活動されている方ばかりなので、なかなか難しいんだな、と思って。

竹下:関西弁より聞き馴染みのない方が、恐らく多いですものね。

佃:そうなんですよね。だから、ちょっとすると関西弁みたいになっちゃったり、これ、どこの方言だね?っていうことになったり(笑)。

竹下:迷ったらもう、佃さんに聞けっていう。ね。

佃:そうですそうです。

── 竹下さんは、セリフとして実際に発声されてみていかがでしたか?

竹下:やっぱり違いますね。そしてうめさんは役の設定上も年長者なので、そういう意味では一番方言色が強くなきゃいけないんですけど、私と佃さんの間でもちょっとジェネレーションギャップがあって、名古屋弁でも使っていた言葉と使ってない言葉がある、みたいな。私は親からも聞いていますので。

── では、方言としては知多の言葉に忠実に、というよりは、佃さんの中でこの物語として成立するように整えられている、ということですね。

佃:そうです。『続・まるは食堂』の時もそうですけど、東京公演だけだったら、多少なんちゃって名古屋弁でも成立するかもしれませんけど、今回は名古屋でも上演するから、そうなると名古屋の人達が聞いていて気持ち悪くないようにしなきゃいけないな、っていうのはあります(笑)。

竹下:最後まで気は抜けないです(笑)。

■作品を通して感じる、女優・竹下景子の魅力とキャストの結束力

── 先日、佃さんにお会いした機会にこの舞台のことを少しお聞きして、「とにかく竹下さんが素晴らしい」というお話を伺ったんですが、改めて竹下さんの俳優としての魅力について、お聞かせ願えますか。

佃:前回の『続・まるは食堂』の時に思ったのは、カツンって怒るところもそうなんですけど、あ、こんなに強い声を出される人なんだな、っていうのがやっぱり凄い! と思ったんです。今の稽古場でもそうですけど、怒鳴って大きい声を出す役者さんとかはいっぱいいますけど、芯のある強い声、というのは今でも竹下さんだけですね。

竹下:ほんとですか! それは最高の褒め言葉ですね。

── 珍しい役柄であったり、この作品ならではの竹下さんを拝見できるのも楽しみです。キャストの皆さんのキャラクターもとても素敵に描かれていますが、今回の共演者の方とのチームワークや雰囲気は、どんな感じですか?

佃:雰囲気は良いと思いますよ。相変わらずコロナなので、稽古終わりに飲みに行ったりとかは一切出来なくて稽古場での時間でしか過ごしてないんですけど、前回の『続・まるは食堂』のメンバーもずいぶん居るので、その辺は良いと思います。

竹下:あと、アンサンブル的にたくさんの俳優さんが出られているシーンがあって、その方達の連携というか協働作業というか、それが私、見ていて凄いなと思って。皆さん大変なわけですよ、場面が変わるごとにその時代の人にどんどんなっていかなきゃいけないので。お互いにチーム力を発揮しつつ、その枠組みを作っていくみたいな力。あれ凄いですね、佃さん。

佃:皆さん前半は、ずーっと喪服姿のままいるんですよ。それでいろんなことをやるんですけど、最初のシーンは布で波を作ったり。高橋かおりさんとか、よくやってくれてるなと思って。絶対やらないですよね、他の芝居で(笑)。観たことないもん、僕。

── 皆さんがいろいろな役を掛け持っていらっしゃいますものね。

竹下:そうですそうです。

佃:(水町)レイコさんもね。波だったりさ、スタッフの仕事だもん、普通は。それも複数回(笑)。

竹下:喪服を選ぶのが大変そうでした。そういう動きに耐えうる喪服じゃないといけないので(笑)。

── そうですね、そう意味でも見どころがたくさんありそうですね。

竹下:はい、チームワークが必要な作品です。

佃:舞台上にみんなずーっと居っぱなしで、っていうことも結構あります。そこで音とかも出したり。そういうことは割と好きでやっていますね。

竹下:いろいろ満載です!

取材・文=望月勝美 撮影=敷地沙織

公演情報

「まるは食堂」創業70周年記念公演
『まるは食堂』
 
■原作:「潮風の一本道 うめさんの魚料理の城づくり九十年」三田村博史 著/風媒社刊
■作・演出:佃典彦
■出演:竹下景子、高橋かおり、浜谷康幸、関口アナン、平野泰新、木下愛華、谷本琳音、水町レイコ、今井あずさ、中野マサアキ、釈八子、中原和宏、日暮玩具、今井勝法、吉村公佑、堀之内良太、依田啓嗣、林彬、若杉宏二、及川いぞう


<東京公演>
■日時:2022年9月14日(水)~9月18日(日)
■会場:あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)
■料金:7,000円
■アクセス:JR他各線「池袋」駅 東口から徒歩10分、または東京メトロ有楽町線「東池袋」駅 6・7番出口から直結
■問い合わせ:Mitt 03-6265-3201(平日12:00~17:00)
■公式サイト:https://nanapro.tokyo/index.html
 
<名古屋公演>
■日時:2022年9月23日(金・祝)・24日(土)
■会場:ウインクあいち
■料金:7,000円
■アクセス:JR・地下鉄・名鉄・近鉄「名古屋」駅 桜通口から東へ徒歩5分
■問い合わせ:中京テレビ事業 052-588-4477(平日11:00~17:00)
■公式サイト:https://nanapro.tokyo/index.html
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