トニー賞10冠の話題のミュージカル『バンズ・ヴィジット』日本初演に挑む、風間杜夫&濱田めぐみ対談インタビュー
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――風間さんは原作となった映画を観たそうですが、どんな魅力を感じましたか?
風間:作品の内容に大変惹かれるものがありました。今はこういう世界情勢ですが、異国の文化の人が触れ合って交流するという心温まるお話なんです。それと、実は私の孫がいよいよじいじの芝居を初めて観ることになるかもしれなくて。僕としても、元気なうちに孫にじいさんの芝居を見せたいなと。僕が普段やる芝居はちょっと子どもには観せられないようなものなのですが、この作品なら安心して孫を呼べるというわけです(笑)。
――濱田さんは作品の内容としてはどんなところに惹かれますか?
濱田:舞台版の映像を拝見したのですが、この作品ってシチュエーションが変わっていかないんですね。エジプトの楽隊の人々が間違ってイスラエルのとある町に辿り着き、そこで一夜を過ごすという物語。だからどこにも行きようがないんです。ミュージカルの舞台って舞台セットがバンバン転換されていくことが多いんですけれど、それがほぼなくて、人間の交流だけで見せる芝居。それをミュージカルと言ってしまっていいんだろうかと思うくらい。いろんな冒険やチャレンジが含まれている作品なので、「日本カンパニーがどういう風に作っていくのだろう」とすごく興味があるんです。今はまだこうして扮装しただけの段階なので、お稽古が始まったらどうなっていくのかとても興味深いですね。
――お二人とも森新太郎さんの演出作品は初めてということですが、どんなことが楽しみですか?
濱田:初めての演出家の方って、まずフィーリングや肌勘が合うかというのがやっぱり重要ですよね。どんな方なんだろうと楽しみです。自分でも見たことのない部分を引き出していただきたいなという想いもありますし、そんな森さんが作る『バンズ・ヴィジット』の世界観がどういうものなのか、ものすごく興味があります。それぞれが妄想している作品世界を具現化して舞台上に乗せていく経過も、きっと楽しいと思うんです。私はお稽古期間も大好きなので、どういうお稽古を組んでどういう風に本番まで持って行ってくださるのかな、とワクワクしています。
風間:僕は森さんがどんな顔をしている人なのかも、年齢も、何も知らないんです。ただ「すごい演出家だ」という評判は聞いているんですよ。だからお会いするのが楽しみですね。初めての演出家の方とやるときは、何も企まずにこのままいくんです。長塚圭史くんと会ったときも、岩松了さんから声を掛けられたときも、赤堀雅秋さんのときもそうでした。俺が俺がっていうものは僕にはないですから。その演出家が作りたい世界にどう自分が溶け込んでいけるか。それを第一にやりたいですね。
――本作は旅のお話でもあります。行き当たりばったりの旅や、旅先で異国の文化に触れた思い出があれば教えてください。
濱田:私、劇団四季時代に浅利(慶太)先生が中国の北京で『蝶々夫人』(2002年)を上演したことがあったので、それを何人かで観に行ったことがあるんですね。そのとき、公演後に一人残って2日間ほど北京の街をウロチョロしたんです。でも、広くて広くてどうしようもできなくて(笑)。そこで、紫禁城に行ってみようと思い立ったんです。歩けど歩けど入り口に辿り着かないんですよ。どんだけ広いんだろうと思ったら、40分くらい堀の外側を歩いていたことに気付いたんです! 慌てて40分かけて歩いて戻って、やっと入れたのが4時45分。でも5時閉門という(笑)。結局ちゃんと紫禁城に行けないまま北京を飛び立つことになったんですけど、あれは悔しかったですね〜。やっぱり私、一人じゃ何もできないんだなあって。迷って迷って終わったという残念な2日間でした(笑)。いつかリベンジしたいです!
風間:僕にとっての旅はほとんどが旅公演ですね。一人芝居ではそれこそ日本中を、海外では韓国、中国、アメリカ、ルーマニア、ハンガリー。あとはスキューバダイビングをやっていたので、海にまつわる旅は好きですね。強烈な思い出は、旅公演で行った中国の杭州。一人芝居をやったんですけど、地元のテレビ局が取材したいと言うんです。そうしたらなんと、本番中の舞台の上にカメラを持った取材陣が上がってきたんですよ! 本番中ですよ? 「夕方のニュースに流すから」って(笑)。20年前のことですけど、あれは面白かったですね(笑)。
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