巨匠クンウー・パイクの円熟を聴く 「グラナドス:ピアノ組曲『ゴイェスカス』全曲 演奏会」開催
-
ポスト -
シェア - 送る
クンウー・パイク(c)SeongJin Oh
ヨーロッパを中心に韓国、中国、台湾においても旺盛な活動を示してきたピアニスト、クンウー・パイクが、2022年10月25日(火)、あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールでリサイタルを行う。演目はグラナドスのピアノ組曲『ゴイェスカス』全曲。ソウル生まれ、現在はパリを拠点に活動するパイクの近年の充実を聴く演奏会だ。
エンリケ・グラナドスは19世紀末から20世紀の前半にかけて活躍したスペイン国民楽派を代表する作曲家。『ゴイェスカス』とはゴヤ風の音楽といった意味で、「恋する若者たち」の副題を持つこの作品は、母国スペインを代表する画家、ゴヤの絵画やタペストリーの下絵に霊感を受けて書き上げたと言われている。作品は2部構成の全6曲から成るが、現在ではのちにグラナドス自身によるオペラ化の際に加えられた「わら人形」を7曲目に演奏することが通例となっている。全編、スペイン特有の色彩感と陰影に溢れ、聴きこむほどに深い魅力を感じさせる作品。今回のリサイタルはこの全曲を休憩なしで弾き切る。
クンウー・パイク(c)SeongJin Oh
クンウー・パイクは弱冠10歳で韓国国立オーケストラと共演し、デビューを飾っている。15歳で渡米後、ジュリアード音楽院に学び、1969年プゾーニ国際ピアノ・コンクールで金賞。また1971年のナウムバーグ国際コンクールでの優勝を経て国際的なキャリアをスタートさせた。多くの指揮者、オーケストラとの共演も果たす傍らで録音にも恵まれ、長く名門デッカレーベルの専属アーティストを務めたほか、最近ではドイツグラモフォン·レーベルから「ショパンのノクターン全集」(2019年)、「シューマン作品集」(2020年)を発表、高い評価を収めている。今回のプログラム、ピアノ組曲『ゴイェスカス』はパイクが若い頃ニューヨークで、当時この作品の最高の演奏家であったアリシア・デ・ラローチャの演奏に触れて感銘を受けた作品であるという。なお、『ゴイェスカス』もすでに録音は完了し、来日に合わせてリリースが予定されている。