次世代のフラメンコギターを担う徳永兄弟が生み出す『NEO FLAMENCO』とは~デビューアルバム記念インタビュー
――11月23日にはメジャーデビューアルバム『NEO FLAMENCO』がリリースされますね。
健太郎:フラメンコを知らない人の入り口になれるようなアルバムになればと思いますね。知っている曲がフラメンコにアレンジされるとこうなるんだ、と。リズムとか音づかいとかを「カッコいいじゃん」って思ってもらって、結果的にフラメンコを知っていただきたいです。
康次郎:僕らの中ではすごい挑戦をしたアルバムで。クラシックやジャズをフラメンコにアレンジしなければならなくなって、これまでは避けていた部分でもあったので、すごく勉強になりました。僕らのこれまでのカバーは、比較的簡単なメロディの童謡やアニメソングなどを、フラメンコの難しいリズムやテクニックに落とし込んで超絶技巧にしていくのが基本ルート。でも今回は、複雑で完成されたもの、音楽的に豊かなものをアレンジしなければなりません。簡略化しないほうがいいけれど、フラメンコとして複雑になりすぎないようにもしたい。本当に難しかったです。
健太郎:アルバムのコンセプトとしても大人なカバーアルバムにしようと話していたので、それでクラシックやジャズ、ブラジル音楽、アルゼンチンタンゴなどをやったんですけど、それぞれに、音楽ジャンルとしてガチっと固まったものがあるんですよね。そこを簡略化してしまうと、なんだかチープになる。本場のフラメンコリスナーが聴いても、クラシックやそれぞれのジャンルが好きな人が聴いても、どっちが聴いても素晴らしいと感じる作品を作らないといけないんですが、そもそもそれってスゴイことですよね。すごく大きなプレッシャーでした。
――さらにコンサートツアーもはじまります。
康次郎:やっぱりステージで新しい我々を見ていただきたい。先ほども申し上げましたが、やっぱりフラメンコを聴いたことが無い人に聴いてほしいんです。このコンサートが、たくさんの人のフラメンコの入り口にななれたらと思いますね。。
健太郎:クラシックをはじめ、いろいろなジャンルの音楽がお好きな方がご存じの曲も取り入れているので、フラメンコ以外の音楽ファンの方にも聴いていただきたい。自信ある作品を作っているつもりですから、それをみなさんが受け止めてどう感じていただけるのか楽しみにしています。
――日本で活動するようになって、ドラマのサントラやテレビ番組のテーマ曲への起用など、いろいろな反響もあったかと思います。現在の手ごたえとしてはいかがですか?
康次郎:スペインではいわゆる演奏活動は何もしていなくて、日本に帰ってきてリサイタルやライブをやらせていただいたり、お仕事を頂く機会もあったりで、僕らはこのままやっていけばいいんだ、という気持ちにはなれました。僕らのオリジナル曲の反応も良くて、お仕事でもフラメンコでぶつかっていくしかないんですけど(笑)、そこもいいリアクションをいただけてるので、このまましっかりとやっていきたいですね。ものすごい量のフラメンコを聴いてきたので、何がダサいのか、何がいいのかは、自分の中ですごく分析していました。その分析の中から、カッコよくないものは削ぎ落して作っているので、間違いはない、って思っています。自信はありました。
健太郎:日本自体にフラメンコはあんまり広まっていなくて、踊りのバックで弾いている伴奏者って認識なんですよね。バラを咥えて踊っているようなイメージがあるわけです。でも、僕らが知っている本当のフラメンコは、そんなにダサいものじゃないし、ジャズやクラシックみたいにちゃんと成立していて素晴らしい文化なんです。すごくカッコよくて、僕らも若くしてそれに魅了されていることをとにかく伝えたい。そういう想いで日本に帰ってきました。スペインでも生活はできていたし、仕事もしていましたが、僕らにできること、役割ってなんだろうって考えたときに、日本でフラメンコの魅力を伝えたいと思ったんです。
――すでに固定化されているイメージ以上の魅力がフラメンコにはある、と。
健太郎:でも、無理して聴いてもらう、歴史を理解してもらう、っていうのも違う気がしていて。わかりやすいところもあるし、キャッチーなところだってあるんですよ。
康次郎:健太郎は中学の時、まぁ結構ヤンチャしてたんですけど、そのヤンチャ仲間の前でギターを弾くと「スゲーカッコいいじゃん、俺もやりたい」なんて言われてたんですよね。そういうヤンチャな人にも真面目な人にも、どんな人にも伝わる、呼吸みたいなカッコよさがあるんです。フラメンコを伝統芸能や文化みたいな感じより、もっと音楽ジャンルとしてキャッチーに、幅広い年代に届けて、楽しんでもらえるようになったら。僕らも楽しんで演奏しているので、ぜひ皆さんにも楽しんでいただきたいです。
公演情報
COCQ-85592 ¥3,300 (税抜価格 ¥3,000)
・アンダルシア(徳永健太郎、徳永康次郎)
・ブレリア・デ・パドレ(徳永健太郎、徳永康次郎)
・魂の旅人(徳永健太郎、徳永康次郎)
・カルメンフラメンコファンタジー(ビゼー、徳永健太郎、徳永康次郎)
I : アラゴネーズ
II: ハバネラ〜闘牛士
・火祭りの踊り(フャリャ)
・リベルタンゴ(ピアソラ)
・スペイン(チック・コリア)
・トリステーザ〔グッバイサッドネス〕(ハロルド・ロボ、ニルティーニョ)
・シェイプ・オブ・マイ・ハート(スティング)
・コーヒールンバ〔モリエンド・カフェ〕(ホセ・マンソ・ペローニ)
ラファエル・モイセ・エレディア(パーカッション)、KAN(パーカッション)、高木亮太(パーカッション)、森田悠介(ベース)、SIROCO(ダンスステップ)、フアン・ディエゴ・バレンシア、フアン・ディエゴ・バレンシアjr、マヌエル・デ・カンタローテ、ハビエル・ペーニャ、橋本容昌(パルマ&ハレオ)
フラメンコギター・コンサート『NEO FLAMENCO』
:全席指定¥3,500(税込)
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)
:全席指定¥5,500(税込)
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)
:全席指定¥4,000(税込)
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 KAN(パーカション)
:全席指定¥4,000(税込)
出演:徳永健太郎&徳永康次郎 ほか
https://www.columbiaclassics.jp/tokunaga2022