神使轟く、激情の如く。 『サマソニ』初出演、主催フェスの成功、結成5周年を大躍進へと導いた絆と決意

2022.10.11
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神使轟く、激情の如く。 撮影=大橋祐希

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Clean×3、Rap、Scream、Shoutの6人ボーカル+マニピュレーターという編成で、“プログレッブ・ミクスチャー・メタルコア”を掲げて活動するバンドユニット、“神激”こと神使轟く、激情の如く。(読み:しんしとどろく、げきじょうのごとく。)。今年2022年に入って、3月には初の日本武道館単独公演を行ない、今夏には『SUMMER SONIC 2022』に出演。9月4日にはキャリア最大規模となる主催フェス『GOD FEST.2022』(TOTALFAT、Dizzy Sunfist、SHIN、忘れらんねえよなどが参加)、9月11日には5周年単独公演『轟音』をそれぞれ豊洲PITにて開催。グループ結成5周年を迎えた2022年、ここにきて大躍進劇が止まらない神激に、8月にリリースした「ワールドブレイカー」、そして最新曲「EGO PRADISE」(10月発表)のことも含め、この5周年を総括してもらった。

――神激5周年、どんな心境ですか?

実久里ことの:自分たちは元々アイドル畑から出てきたので、アイドル畑で5年って“よく続けたな”という感じだと思うんです。自分たちはこの1~2年間、バンドさんと対バンを重ねていくなかで、5年でやっとできることが増えていくんだというのを実感してる真っ最中なんですね。なので、5年というのはまだまだひよっこ、ここからもっとチャレンジして、これまでの経験を使ってさらに飛ばしていかなきゃいけないなと思ってます。

二日よいこ:私は新メンバーとして(2019年に)途中加入したので、“神激さんに入らせてもらった”という後輩マインドが強かったんですね。でも、この5周年で自分はその歴史の半分に携わったことになったので、こういうと生意気かもしれないですけど、自分も神激の歴史の半分は作ってきたという気持ちになれて。もう後輩マインドでいちゃいけないなと、最近すごく思っています。神激の一つの柱としての責任感がより強くなってきて、自分が力になれることは率先してやっていきたいなというのが、5周年ですごく感じていることです。

涙染あまね:自分も途中から入って。さらに、その途中からスクリームを始めたんですけど。5周年、いろんなバンドさんと対バンをしていくなかで、私はもっといけるんじゃないかということばかり考えてました。技術面を磨いていけば、迫力の出し方とか、もっともっと自分をアップデートできるんじゃないかなと思っています。個人的なところでは、自分の意思や考えを、叫びとかでもいいから出して、自分という存在をもっと見せたいです。自分が苦手なところだからこそ、いまのままではダメで。そこが変われば、もっと自分の表現が伝わるんじゃないかなと思います。

実久里ことの

三笠エヴァ:5周年、ここまで一瞬でした。毎日毎日が目まぐるしくて。いま一番思うことは“神激はメンバーがいい”ということ。すごくいい状態をここ2年はキープできていて。だからこそ、ここからまだいけるとか、もっとこうしたいとか、自分はこのままじゃダメだという野望を持てる。5年経っても、スタッフさんを含め、誰も満足してないんですよ。そこがメンバーとしてお互い刺激しあえるし、自分もそういうメンバーの話を聞いて、もっとやんなきゃなと思える。こういう状態でこの先、10年20年続けたいなと思っています。

生牡蠣いもこ:5年目を目前にして自分の中でぶつかる壁があったんです。元々自分はしゃべることが得意じゃないから、人前に立って自分の意思を言葉にして伝えていくのは苦手だったのでMCをしないほうがいいんじゃないか、自分よりも伝えられるメンバーがやったほうがいいんじゃないかと思って。自分は歌詞を書くだけでMCを辞めたい、という相談をしたんですよ。広島のホテルの部屋にみんなで集まってるときに。

――それはいつ頃の話ですか?

ことの:1年ぐらい前だよね?

いもこ:そう。何年経ってもMCをやるときは足が震えるから、泣きながら“MCを辞めたい”と言ったら、ことのちゃんがすごい怒りだして。

三笠:大泣きしながら怒ってました(微笑)。

いもこ:“お前のこと信じてくれてる人がこんなにいっぱいいるのに、お前が自分のこと信じないでどうするんだ”って言われて、ハッとしたんですよね。

ことの:それが「神奏曲:ライトニング」の歌詞になってるんです。

 

――あの曲のバックにはそんなリアルドラマがあったんですね。

いもこ:はい。MCでも言ってるんですが、自分のパートの《逃げそうになった僕の手を掴んで君は怒って泣いた》のところですね。自分は、自分を信じてくれている人が悲しむ顔を見たくないなと思ったんですよ。自分はなんのためにここまでやってきたのか? と言ったら、もちろん最初は自分のため、自分が強くなりたいという気持ちから始めたんですね。でも、活動していくうちに、応援してくれている人を笑顔にしたい、誰かの変わるきっかけになりたいと思っていたにも関わらず、自分の弱さで諦めたいというマインドに入ってしまった。そのことが本当に申し訳なく感じてしまって。ということは、自分の本質はやっぱり“誰かのために”っていうところにあるんだなと思って、《苦しいときに浮かぶ顔が君でよかった》と歌詞に入れさせてもらったんです。

三笠:こんなこと、5年前だったら絶対に書かなかった歌詞なんですよね。5年間やってきたからこその深みがこの歌詞の背景にはあるなと思いますね。

いもこ:だから、この5年で強くなれたと思います。これからも強くなりたいんですけど、それは誰かの上に立って威張りたいとか、自分のためではなくて。信じてくれてる大切な人たちを守りたい、笑顔にしたい、そのために強くありたいなと思います。

――自分のためにではなくなった、と。

いもこ:はい。この5年間で変わりました。

TiNA

――ではTiNAさんはいかがですか?

TiNA:私たちは10年、20年続けてくというマインドでやっているので、やっと5年という感覚が近くて。自分もよいこと同じタイミングで加入したんですが、言ってみれば、そこまで神激を作り上げてくれたメンバーがいた。そこの歴史をちゃんと理解した上でここまでやってきて。この5年でやっとメンバー一人ひとりの役割、その基盤のイメージができた気がします。自分は3年前から加入させてもらったんですが、自分がいることでさらなるパワーとなる、そういう存在になっていかなきゃなと改めて思っています。

二日よいこ

――分かりました。この5年間の活動を振り返ると、神激は昨年からロックバンドとの対バンを頻繁に行なうようになり、その積み重ね、実績で勝ち取ったのが『SUMMER SONIC 2022』出演だったと思うのですが。5年前、地下アイドルから始まって。そこからのし上がってきて掴みとったサマソニのステージは、ぶっちゃけどうでしたか?

ことの:“出るよ”と知らされたときは、メンバー全員“ドッキリですか?”という感じで自分たちでも驚きました。最初は自分たちが戦えるのか? って不安もあったんですよ。でも、それまで自分の問題は自分のこととして戦ってたメンバーが、ちょうど自分の問題=神激の問題につながるという考えに変わってきた時期だったから、これならサマソニでも足跡を残せるんじゃないかと思って。だから、当日はそれぞれ安心して他のメンバーに背中を預けて、自分の役割をちゃんと果たすことができていたと思います。ステージに立ってみて、神激のファンと、ファン以外にも私たちを一目見てみようという人たちがこれだけいるんだというのを実感できた場だったので、今後のモチベーションにつながりました。

涙染あまね

よいこ:自分は神激に入って、自分がやりたかったことがどんどん叶っていって。サマソニはまさに自分が夢見ていた舞台だったので、その夢と現実がバシッとハマった瞬間でした。出させてもらってありがとうございますというリスペクトの気持ちを持ちながらも、この先は“神激は出て当たり前だよね”って思われるぐらい、自分で自信を持って立てるようになりたいです。

あまね:決まったと言われたときは、手汗が永遠に止まらなくて。やるからには誰かの記憶のなかに爪痕、傷跡を残せるライブをやってやるぞと思って立ったんですけど。立って、ライブが終わったあとにエゴサをしたら、いろいろ反響があって。そのなかにたった一つだけ“Wow Shingeki !  Scream Wonderful!Amazing!”という海外の方の書き込みがあって。自分はそれがすごい嬉しくて。神激は最近、MVのコメントも海外の方の書き込みが多いんですね。日本中の人に知ってもらうのも大事なんですが、まだ神激、自分の声を届ける場所はある。地球は広いぞと。日本だけじゃなくて世界の人にも届けたいと思いました。

三笠エヴァ

三笠:実際に立ってみての感想は“神激の曲、ロックフェスに似合うな”でした。ウチのメンバーって、誰よりも神激の曲のファンなんですね。だからこそ、大好きな曲がサマソニの場で流れて、あれだけ大勢の人に聴いてもらえてるというのが何よりも嬉しくて。同時に、ちょっと悔しくもあったんですよ。“神激ってなんだろう?”という気持ちでエリアに足を運んでもらうこと、その第一段階をもっと踏まないと、知らない人にはライブさえ観てもらえないことを痛感しました。ライブさえ観てもらえれば、聴いてもらえれば、絶対に響くのになという自信があるので。だから、ライブが終わってすぐ、裏の控え室でこれから神激がバズるためにはどうしたらいいかとか、もっとフェス受けするためにはどんな曲でどうのらせればいいかというミーティングを1~2時間しました。嬉しさと同時にそこまでの悔しさ、その両方を感じられたのがすごく自分たちのためになったなと思いました。

生牡蠣いもこ

いもこ:最初に“出る”と聞いたときは、自分たちのファンがこれを聴いたらどう思うんだろう? と考えたら、めちゃめちゃニヤニヤしちゃって。実際発表したら、みんなめっちゃ湧き上がってたから、それを見てるのがすっごい幸せでした。自分の喜びよりも、誰かが喜んでくれてるほうが嬉しいなって感じましたね。で、実際に出てみて、一番最初に思ったのは“人、いっぱい”ということ。プラス、そのなかですぐにファンの人を見つけだす目が自分に備わっていたことに驚きました。ファンじゃない人を見つけたときは“どうか好きになって、どうかこの音楽が少しでも刺さりますよに”と思いながら歌いました。それで、自分たちの出演が終わったあと、みんなで一番広いステージを観たら“すっ、すごい。人の数が比にならん”と。人が点点点点って彼方までいるんですよ! いままでの私たちは、自分たちよりも上のものを見たら“絶望”しか感じなかったんですけど、そのときは“こんなにも人がいるんだったらもっとこっちに呼べるじゃん! もっとやらなきゃ!”って気持ちになれて。よりハングリー精神に火がついたので、サマソニありがとうでした。

TiNA:私もいもこさんと同じで。サマソニ初出場だった訳ですけど、ライブ後にいろんなライブを観たら、自分たちの可能性がもっともっと見えてきて。1回目を終えたからこそ、じゃあ次は一つでも大きなステージに立ちたいとか。サマソニ以外のイベントでも、出た後にメンバー全員共通して考えることは、そういうことなんですよね。だから、来年はサマソニを筆頭に、夏に出演するイベントが全部フェスになるぐらいたくさんのフェスに出たいなというビジョンが全員で見えた1日になったのかなと思います。

>>次のページは、『SUMMER SONIC 2022』出演で新たに芽生えた決意と、楽曲について訊いています。