神使轟く、激情の如く。 『サマソニ』初出演、主催フェスの成功、結成5周年を大躍進へと導いた絆と決意
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――神激はサマソニに出演しながらもアイドルフェスにも出られてましたよね? 闘い方の違いはあるんですか?
ことの:ステージでやることは……。
いもこ:全然変わらないですね。雰囲気もセトリも神激らしいもので戦うだけなんで。
三笠:どこでも同じ熱量でやってます。それこそ“この1本で死んでもいいぞ”ぐらいの気持ちで毎回やってます。
よいこ:やってることは変わらないんですが、ただサマソニのようにでっかいステージがあればあるほど、自分たちがそこに向かってどんどんアベレージを上げていこうと思うので、全体の熱量が上がっていくところはあります。
ことの:フロアもそうだよね?
三笠:そうそう。そうやって一緒に頑張っていこうぜっていう空気感になるところは、本当に素敵だなと思う部分です。
実久里ことの
――そうやってアベレージをどんどん上げていくとき、神激の場合はその役目を楽曲が大きく担っていると思うのですが。
TiNA:そうですね。自分たちの可能性を信じて“ここまでできるでしょ?”というのを託してくれているのを感じます。
三笠:だから、新曲がくるたびに、それぞれが超えるべきハードルみたいなものがあって、それをクリアするために練習もたくさんするんです。それを歌いこなして、しかもそれをライブでもできるように自分たちのスキルを高めていかないといけないので。現状維持のままでレコーディングできる新曲は一つもないんですよ。だから、毎回自分たちもその曲に見合うだけのスキルと内面を磨いて挑まなきゃいけない。それは曲のお陰だと思います。
ことの:余裕で録れた曲は1曲もないもんね。毎回2~3個上のレベル、下手したら5~10個上のレベルの曲がくるので、それを毎回ものすごい練習して、ハードルをクリアしていく感じです。
――楽曲のなかで、6人の役割分担をはっきりと自覚するようになったのはいつ頃からですか?
いもこ:曲で言うと「神奏曲:テンペスト」ぐらいから?
三笠:うん。神奏曲シリーズが始まってからですね。「神奏曲:テンペスト」からクリーンボーカル、ラップ、シャウト、スクリームで自分たちのことを分け始めたから。
――そうして、その最新作となる作品が8月に出た「ワールドブレイカー」になる訳ですが。歌詞のテーマは?
いもこ:今回はさらにメッセージ性がストレートで、歌詞は語呂感を気にして、心地いい感じのワードを組む、みたいなところを意識して作りました。なにかを始めるときって、世間体とか、誰にどう見られるんだろうとか気にしがちじゃないですか。でも、結局そんなの自分が思い込んでるだけで。元々自分を縛り付けてるものなんてなくて、壊さなきゃいけないものはないんだよというのをテーマに書きました。そんな思い込みだけで凝り固まった自分の世界を壊していけという意味で「ワールドブレイカー」というタイトルなんです。自分で自分を縛り付けてる固定概念を壊していけ、ということで。
三笠:無理かどうかは自分でやってみないと分からないんで。私たちもサマソニなんか無理だよ、武道館なんて無理無理ってめちゃくちゃ言われてきたんですけど。無理かどうかは自分たちで決めていることで。自分たちは無理だろうとか思ってたら、一生サマソニも出られなかったと思うんです。これは昔の自分の話ですけど。神激はすごいメンバーばかりなのに、“自分なんてなにもできない”、“自分なんかがいたら足を引っ張るだけだ”ってグチグチ言っていた時期があったんですね。そのときにスタッフさんに“お前それさ、誰に言われたの? それ、自分しか言ってなくない?”ってことを言われたんですよ。それを言われてすごいハッとして。自分が無理だって決めてるのも、できないって決めてるのも自分だった。自分に手錠をつけてるのは自分自身だったなっていうのをすごく思って。
TiNA
――そのお話、MVのなかで手錠で縛られているシーンにも重なりますね。
三笠:その手錠を外すのは自分次第なんですよ。だから、ちょっと元気がないときとかマイナス思考になったときは、すごいこの曲に励まされます。自分は「神奏曲:ライトニング」のことのちゃんの歌い出しが神激っぽくてエモくて大好きなんですけど。この曲はよいこの歌い出しなんですが、これがめっちゃいいなと思ってて。よいこがラップしてステージにでていくだけで、本物のラッパーだっていうのが伝わるんですよね。“アイドルっていってたけど、なにコイツら本物じゃん”って。そこは、神激を初めて観る人やフェス向きだなと思う部分です。
――続いて、10月にリリース予定の「EGO PARADISE」はどんなものになりそうですか?
TiNA:パラダイス=楽園というイメージが強いと思うんですが、神激が「EGO PARADISE」で描きたいのはそういうものではなくて。神激とあなたがいれば、雨が降ろうが槍が降ろうがそこが私たちのパラダイス、天国ということなんです。なので「ワールドブレイカー」のラスサビのところには、《楽園で落ち合おう my men》という歌詞が歌いこまれていて。こうして曲がストーリーのようにつながってるというのも神激ならではの面白さ、武器なので。そこがどう「EGO PARADISE」につながって展開していくのかをファンの人には楽しみにしていてもらいたいです。
三笠:最初は楽園ではなく天国って言葉を使い“HEAVEN”だったんですよ。
TiNA:でもそれがなぜ“PARADISE”になったのかと言うと、神激の曲は「生まれ変わっても自分になりたい」とか「神奏曲:インフェルノ」で、死後というよりは“いま”を生きていて、現在に対して熱く歌ってる。だったら天国よりも楽園のほうがいまを表してるよね、というのでパラダイスになりました。
いもこ:そこに“EGO”をなんでつけたかと言うと、好きな人の笑顔を見たいというのも、結局はそれを見た自分が嬉しいというエゴでしかない。エゴでもいいから、それで笑顔になってくれる人が一人でも増えたらいいなという気持ちも自分の中にはあって。エゴって、悪い言葉に聞こえるかもしれないけど、いいワードでもあるんじゃないかなというので、エゴという言葉を使いました。
二日よいこ
ことの:歌詞はメンバーから言葉を集めて。
よいこ:それも“出して”と言いわれて出すんじゃなくて、みんなで楽屋で話してる時に自然と5周年の話になって出たものなんですよね。神激はいもこさんが歌詞を書いてくれてますけど、そこには自分たちの思いも歌詞に落とし込んでくれてるんですね。いままではそれをいもこさんが私たちの会話やMCから拾ってくれていたんですけど、今作はこういう思いを曲にのせたいというのがそれぞれ自主的に出てきた。自分たちがもっと制作に関わりたいってなったとき、そういうかたちで制作できた歌詞なので。
涙染あまね
いもこ:だから、みんなで作るという形がより濃くなった気がします。今回はみんながどう思っているのか、その言葉をダイレクトに受け取ることができて、自分的にはめちゃめちゃめちゃ嬉しかったです。
三笠:自分たちも、こうして制作に関われているのが嬉しいし。そのほうが、ライブをやる上で楽曲の解像度もあがるし。さらにもっと完璧に曲制作、サウンドのことまで理解できるようになったら、もっとすごいことができるんじゃないかと思うので。もっともっと自分たちの理解度を高めて、制作の段階、立案の最初の部分から創作に携わりたいんですよ。こういう作り方をしているグループって他にはないと思うので。そうして、自分たちも自信を持って“チームで作ってます”と言えるようになりたいなと思ってますね。
いもこ:それこそ、チームのなかで信頼関係が出来上がっているからできることだと思うんですね。制作スタッフが自分たちに夢を託してくれてるからこそ、悔しい時は一緒に悔しがって、嬉しい時は一緒に喜んでくれて。本当に、ウチはチームのみんなが神激のメンバーなんです。
三笠エヴァ
――そんなチームとしての絆が生まれ、さらにメンバー自ら制作にもっと携わりたいという意欲まで出てきた5周年。この先、神激はどうなっていきたいですか?
よいこ:5周年、自分たち主催のフェス『GOD FEST.2022』ができたので、それをさらに進化させて、メインとサブとか、ステージが他にもあるようなフェスがやりたいです。今回のフェスでバンドさんと対バンするのとは違って、1つのフェスを一緒に作る絆みたいなのをすごく感じて。
三笠:フェスは主催者だけで作ってるんじゃないんだなというのが、自分たちで主催して初めて分かったんですよね。どのバンドさん、アーティストさんも今日のフェスを最高のものにしようという気持ちで挑んでくれて。TOTALFATさんとか、いままでバンド以外、女性とかアイドルが主催するようなフェスって出たことがなかったらしいんですけど、今回初めて出て下さって。“せっかく繋がったご縁、俺らも大事にしたいから”と言ってくださって。すごいそういう部分で、自分たちがやってきたことは間違ってなかったんだなっていうのも感じたし。この『GOD FFST.』っていうものに対して、同じ思い、熱量で向かってくださっているんだなというのがすごく感じられて嬉しかったですね。あとは、今後は野外でもやってみたいです。
ことの:毎年の恒例行事にしたいよね。
三笠:5月10日は“GODの日”、とかにしてね。
生牡蠣いもこ
――それでは最後にSPICEの読者のみなさんにメッセージをお願いします。
ことの:『GOD FEST.』を大きくしたいのもそうですし、来年5月28日には幕張メッセ国際展示場でのワンマン『GOD MAKE ERA』も控えてます。でも、結局私たちの叶えたい夢ってたった一つで。それは神激の音楽を一人でも多くの人に届けたい。いま目の前にいる君に届けたい、目の前にいる君を一人でも多く増やしたいってことなんです。これはこの5年間、言い続けていることですが、どこまでもじゃない、どこまでも進んでいくのが神激なので。これからも、ただただ神激らしく進んでくのが神激の目標です。
取材・文=東條祥恵 撮影=大橋祐希
リリース情報
ライブ情報
2023年5月28日(日)幕張メッセ国際展示場
※詳細未定
ほかライブ、イベント情報はオフィシャルサイトへ
https://www.shingeki-official.com/