<2015年末回顧>高木大地(金属恵比須)の2015「プログレ」5大重大事件
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日本プログレ界を席巻した金属恵比須『ハリガネムシ』
2015年は、「プログレッシヴ・ロック」という言葉が世に出て45年。節目の年。何かあってもおかしくない年だった。…と考えたら、あるある。重大事件。
1位 キング・クリムゾン、まさかの来日公演(12月7日~19日)
全国1000万のロバート・フリップ信者が狂喜乱舞。みんながみんな、正気を失った出来事だった。しかも、過去のヒット(?)曲をこれでもかと出し惜しみなく演奏。逆にこっちが躊躇してしまった。
「21世紀のスキッツォイド・マン」で狂い、「エピタフ」で泣き、「太陽と戦慄」で震えた信者は多かろう。
なお、惜しくもライヴに行けなかった信者は、ライヴが始まる時間に、会場に向かって柏手(かしわで)を打っていたそうな。――もちろん嘘、筆者以外。
キング・クリムゾンの来日公演会場ではしゃぐ筆者
2位 クリス・スクワイアさん、死去(6月27日)
イエスの人事部長、逝く。享年、67歳。
昨年の日本公演では、歳を全く感じさせない相変わらずのオーバーアクションで楽しませてくれていただけに、急な訃報には驚きを隠せなかった。
ジャンプ(ラウンドアバウト)、トリプルネック(悟りの境地)、カニ歩き(スターシップ・トゥルーパー)などなど、クリス以外の人間がそんなことしたら確実にカッコ悪いようなことを、恥ずかしげもなくやり通してカッコよく見せてしまう彼の偉大さ。ああ、もうあの勇姿が見られないなんて……。合掌。
3位 金属恵比須、10年ぶりのフル・アルバム『ハリガネムシ』発売(2月11日)
クリムゾンとジェネシスと人間椅子を5で割ったような70年代テイスト溢れるオマージュサウンド全開のバンド「金属恵比須」が、『ハリガネムシ』を発表。
意外とこのような音を求めていたリスナーは多かったようで、発売日翌週より3週連続でディスクユニオン「日本のロック」チャート1位を獲得。プログレ・アルバムにしては異例の記録を達成した。
4位 金属恵比須に元GERARDのドラマー「後藤マスヒロ」が正式加入(7月22日)
CDの売上が好調なことでズにノッた金属恵比須は、かつてジャパニーズ・プログレの金字塔「GERARD」に在籍していた後藤マスヒロを正式メンバーとして加入させた。
“変拍子の鬼”、“日本のテリー・ボジオ”などの異名を持つ後藤の獲得により、金属恵比須の音はさらにパワーアップ。12年ぶりに本格的なバンド活動を始めた後藤を一目見ようと、ライヴ会場には日本全国各地から集結。どのライヴも満員御礼となった。
5位 2年ぶりの放送! NHK-FM『今日は一日プログレ三昧』で金属恵比須が流れる(9月21日)
プログレ・ファンにとって2年に1回、仕事も家事も趣味も食事も何も手につかなくなって、放送終了後に妙な高揚感と異様な空腹感だけ残る不健康な1日。それが9月22日だった。
山田五郎氏のマニアックで博識すぎる解説、スターレス高嶋氏(a.k.a高嶋政宏)による愛が滲み出すぎたコメントで、あっという間の10時間。
中でも岩本晃市郎氏(『ストレンジ・デイズ』編集長)による「ガイダンス クリムゾンから始めよう」のコーナーにおいて、ジェネシスやヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターなどの大御所と並んで、金属恵比須『紅葉狩』がオンエアされる。山田氏・髙嶋氏より大絶賛を受け、CDショップでは品切れ続出となった。
…ということで筆者は、その「金属恵比須」でリーダーを務めている者である。
ずいぶん手前味噌な話となってしまったが仕方がない。このようなバンド活動に追われ、外部の世界を見る余裕すらなかったのである。だからこそ来年は殻に閉じこもらずにいろいろと外界を見聞したい。
そうそう、来年はスティーヴ・ハケットが来日するそうじゃないか。筆者は早速
そしてまたまた手前味噌な話だが、金属恵比須は来年結成20周年。それを記念してミニ・アルバム『阿修羅のごとく』を発売するそうじゃないか。
これで大体「2016年プログレ重大事件」は見えてきた。1位ハケット、2位金属恵比須、3位金属恵比須、4位金属恵比須、5位金属恵比須。
「2位金属恵比須」や「3位金属恵比須」を覆し、自らのバンド活動をほったらかして見にいくような大物アーティストの来日を切に願うばかりである。