永野芽郁が“母”演じた戸田恵梨香を「怪物」と絶賛 映画『母性』完成報告会でふたりの信頼関係が明らかに
-
ポスト -
シェア - 送る
左から、永野芽郁、戸田恵梨香 映画『母性』完成報告会
10月27日(木)、東京・BASE Q ホールにて、映画『母性』の完成報告会が行われ、W主演の戸田恵梨香と永野芽郁、メガホンをとった廣木隆一監督が登壇した。
『母性』は、累計発行部数100万部(6月6日現在)を超える、湊かなえ氏の同名ミステリー小説を廣木隆一監督のメガホンにより映画化したもの。女子高校生が自ら命を絶った事件をめぐり、“愛せない母”と“愛されたい娘”の物語を描いた作品だ。娘を愛せない母親・ルミ子を演じるのは、戸田恵梨香。また、母に愛されたい娘・清佳を永野芽郁が演じる。さらに、ルミ子の実母“お上品なママ”で大地真央、ルミ子の夫の母“口が悪すぎる義母”役で高畑淳子、ルミ子の“無関心父”役で三浦誠己、ルミ子の親友“わけ知り顔女”役で中村ゆり、ルミ子の義妹“依存しすぎ娘”役で山下リオらが出演している。
完成報告会では、会場いっぱいに詰めかけた取材陣の前に、ブラック基調のエレガントな装いの戸田、永野、廣木監督が登場。会場は、大きな拍手に包まれた。戸田と永野は、本作の撮影が初めての共演。戸田は「親子ほどの歳が離れているのか調べたくらい、永野芽郁さんの母なんて演じられるのか? と最初は心配もありましたが、私が演じた母・ルミ子が“(理想の)母になれなかった”人であるものの、現場では芽郁ちゃんが私のことを母として見てくれていたので、私もなんとか成立させられたなと思っています」と、永野に感謝。続けて、「永野さんはとにかく涙がポロポロ流れてくるので、どうやって泣いているんですか? と初めて役者さんに訊ねました。すると永野さんからは、“悲しいと思ってお芝居しています”と返ってきました(笑)」と明かすと、永野も「普通のことを言ってますね(笑)」と笑い合う。
永野は、「戸田恵梨香さんが主演だと最初に聞いていたので、脚本も開く前に、戸田さんだったらやります! と決めたくらい、いつかご一緒したかったので純粋に嬉しかったです。スイッチが入った時の戸田さんは、“怪物”というか(笑)、おそろしいぐらいに誰も言葉がかけられないような感じでグワっと(役に)入っていくので、間近でそれを見させて頂けたのはすごく貴重な経験になりました」と共演を振り返っていた。
戸田恵梨香
娘を愛せない母、母を愛せない娘、それぞれの役づくりについて問われると、戸田は「役についてや、そのシーンをどうやって成立させようか、という話はしていたと思います」と明かす。すると、永野も「“これはどうしたらいいんでしょうか?”わたしからたくさん相談ばっかりさせていただいてました」と続けた。廣木監督は「2人がとても良い感じで、かなりハードなシーンも距離をしっかりとってそこにいてくれたので、僕はすごくやりやすかったです」と二人の芝居を讃えていた。
改めて“大変だった撮影”を振り返り、戸田は「火事のシーンは大変でした。私の目線と、娘の目線、そしてそこにある事実の3つの視点があって、自分の中でしっかり理解しながらその時々のお芝居をしなくてはいけないし、火事の演出も加わる。スタッフの皆さんとももちろん、大地真央さんや(子ども時代の)娘役の役者さんとも意思疎通を取ることをすごく大事にしました。ここだけは視点が3つあるので作品全体を通してみても面白いと思います」とシーンを挙げて解説。永野が「落ち葉の上に倒れるシーンが、本当に虫がすごくて……動いちゃいけないのに耳のあたりで音がすると勝手に体が動いてしまう(笑)。動きたいけど動けない葛藤が大変でけっこうドキドキしました」とエピソードを明かすと、戸田は「顔の近くをちらちら飛んでるのを払ってました(笑)」とシビアなシーンに隠された和やかな裏話を披露し、会場を盛り上げた。
永野芽郁
戸田は、自身の役柄について、「娘のままでいたい、母に愛され続けたい、という気持ちはきっと世界共通の感情で自然に芽生える感情なんじゃないかなと思います。親から受け取った愛情や意思、その経験から自分にできた価値観を娘に押し付けてしまう人だったので、演じたルミ子にとっては普通なんだけど周りからはおかしく見える、でも猟奇的なほどおかしい人には見えないようにする微妙なラインはすごく考えました。それほどおかしいことに彼女自身は気づいていない、という表現も考えたり、頭をたくさん使った現場でしたし、どれが事実なのか自分自身も疑いながらでした」と力を込めて話す。学生時代から母まで20年以上の幅広い年齢を演じたことについては、「NHK朝ドラ『スカーレット』で経験させていただいていたので、自分の引き出しとしてあったこともあり、運が良かったです」と笑顔。永野も「ただ母に愛されたい、母に喜んで欲しいという女性で、脚本でも現場でも“こうもうまくいかないものなのか”と感じながら過ごしていました。娘が母に自分を愛して欲しいと、漠然と思う気持ちはきっと皆さん持っているもので、形は違えどきっと共感してくださるんじゃないかなと思います」と明かした。さらに「現場に入るまでは、難しいな、少し間違えると何だこれ?となってしまうしどうしよう、と思っていたんですが、現場では戸田さんを見ているだけで私は大丈夫だと思えて、完全に戸田さんについていかせてもらいます!という感じでした」と、戸田への信頼感をうかがわせた。
戸田・永野自身のの親子関係、母と娘の関係について問われると、戸田は「割と大事に守られてきたなと思います。幼少期は、プリンセスに憧れて、ドレスで走り回ってました」と天真爛漫な思い出を、永野は「私は良い娘だと思うんですよ(笑)! お母さんが喜ぶことをしたいと思っていて、行きたいところには自分が運転手となって連れて行きますし、月一くらいは出かけています。出演作は初日に必ず観に来てくれるのですが、母も良い母ですね(笑)。この作品もとても楽しみにしてくれています」と微笑ましいエピソードを、それぞれ披露した。また、日常で最近“母性”を感じた瞬間に話題が及ぶと、戸田は「愛犬が寝ている姿にはやられますね」、永野は「実家で私も犬を飼っていて、歩き回るとずっと一緒にくっついてくるので胸がキューっとなるんですが、これが母性ですかね?(笑)」と明かした。
終盤には、9月に開催されたバンクーバー国際映画祭でのワールドプレミアが話題に。原作・湊かなえ氏と共に現地参加した廣木監督は、「現地の観客の反応が結構面白かったんですよ。ここで笑うのか!とか。高畑さんは、出てくるだけで観客が笑う準備をしているし、(祖母、母、娘の)3人で歩くシーンでも意外な笑いが起きていた。やっぱり親子関係のあり方は少し違うのかなと感じました。Q&Aもあったんですが、湊さんがすべて答えてくれて、本当にこの作品を好きでいてくれていることも伝わった。この作品を送り出すお母さんのようで、ここに“母性”があるじゃん!とも思いました」と明かす。
左から、永野芽郁、戸田恵梨香、廣木隆一監督 映画『母性』完成報告会
このあとに迎える日本での初上映・ジャパンプレミアについて、戸田は「私が作品を観て感じたことと、皆さんが感じる世界のギャップがある作品だろうと思い、皆さんの感想を聞くのがとても楽しみです。母・ルミ子の目線で見る人、娘・清佳の目線で見る人、はたまたもっと上の世代の方もいて、それだけでも感想が変わってくると思うので本当に興味深い作品です」とコメント。永野も「私自身も、(演じていて)これで合っているのかな、と色々感情を駆け巡らせて挑んだ作品なので、皆さんがどう見てくださるかとても楽しみです」と語り、報告会を終えた。
『母性』は11月23日(水・祝)全国ロードショー。