作・須貝 英、演出・稲葉賀恵よりコメントが到着 喪失を抱えて生きていく人たちの物語『私の一ヶ月』が開幕
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(右から)村岡希美、藤野涼子 撮影:引地信彦
2022年11月2日(水)新国立劇場 小劇場にて、演劇『私の一ヶ月』が開幕し、舞台写真&コメントが届いた。
本作は、新国立劇場2022/2023シーズン中に日本の劇作家の新作をおくるシリーズ企画、【未来につなぐもの】の第一弾。
「劇作家の劇場」と呼ばれる英国ロンドンのロイヤルコート劇場が世界中で行っている、若い劇作家たちの為の国際的ワークショップを、2019年5月より、新国立劇場とタッグを組み、日本で初めて実施。60年以上の歴史を持つこの劇場は「新作戯曲のナショナルシアター」として、数多くの若い才能を生み出してきました。そのロイヤルコート劇場インターナショナル部門が、世界各国にアソシエイトディレクター、文芸マネージャー、 劇作家を派遣し実施しているワークショップを、全4フェーズ、あしかけ2年に渡り実施、14名の若い劇作家たちが参加した。それぞれのフェーズごとにワークショップ、ディスカッション、推敲を重ね、最終フェーズでは演出家、俳優も参加してのリーディングを通して成長を重ねてきた作品群より、今回、須貝 英による『私の一ヶ月』を上演する。
演出には同年代の若手演出家、新国立劇場では2018年に『誤解』を演出した、文学座の稲葉賀恵が務める。また、村岡希美、藤野涼子、久保酎吉、つかもと景子、大石将弘、岡田義徳が出演する。
(右から)村岡希美、藤野涼子 撮影:引地信彦
3つの空間。2005年11月、とある地方の家の和室で日記を書いている泉。2005年9月、両親の経営する地方のコンビニで毎日買い物をする拓馬。そして2021年9月、都内の大学図書館の閉架書庫でアルバイトを始めた明結(あゆ)は、職員の佐東と出会う。やがて、3つの時空に存在する人たちの関係が明らかになっていく。皆それぞれが拓馬の選んだつらい選択に贖いを抱えていた……。
作・須貝 英 コメント
想いを込めた新作を皆さんにご覧いただける喜びと、劇作家ワークショップからの長い旅路の終わりが見えてきた感慨が胸に押し寄せてきて、なんだか経験したことのない気持ちです。
この作品はワークショップの期間、上演が決まってからの期間と、たくさんの方に支えられながら成長を続けてきました。おそらく本番を通してもずっと成長していくと思います。劇場でそれを一緒に体験していただけたら、この上ない喜びです。
演出・稲葉賀恵 コメント
決して押し付けがましくなく、でも凛々しく、人の生活の繊細な機微を描いた須貝さんの作品を、6人の俳優陣が繻子を織るように体現して下さいました。
今を生きる私たちにも必ず思い当たる、仄暗い闇や哀しみを抱きしめて、それでも前に進む人々のお話です。
死を想いながらも、生きていく日々の中には必ず美しい瞬間がある、その煌めきを劇場で共有することが出来る作品に仕上がったと思います。
是非、日本初演のこの作品を客席で目撃してくださいませ。