京都の劇団「MONO」の新ユニット「ものらぼ」別役実の傑作『受付』で始動
ものらぼ『受付』に出演する立川茜(左)、金替康博(右)。 [写真提供]キューカンバー
劇団主宰で作家・演出家の土田英生による、コメディ風味の会話劇で人気を博し、2019年に劇団創立30周年を迎えた、京都の劇団「MONO」。意外と本公演以外の活動は控えめな彼らが、劇団内ユニット「ものらぼ」を立ち上げた。その第一回公演として、劇団員の金替康博&立川茜の組み合わせで、別役実の名作二人芝居『受付』を上演する。
「ものらぼ」の発案者は、今回の出演者でもある立川。「以前から、時間に追われない形でゆっくり戯曲の意図を考えたり、俳優同士のコミュニケーションを取りながら作品を創ってみたいなと思っていました。ちょうどタイミングがあったので、金替さんを誘ったところ、快く受けていただきました」と、その動機を語る。
上演する『受付』は、別役が1980年に書き下ろし、別役自身「完成度が高い」と自認している会話劇。精神科のクリニックを訪れた男と、受付らしき女性が、何ともかみ合わない会話を展開するうちに、事態は予想外の方向に転がっていく……という、別役らしいブラックユーモアと、不条理感にあふれた作品だ。
MONO『アユタヤ』(2021年)で共演する金替と立川。 [撮影]井上嘉和
立川がこの作品を選んだのは、劇団の先輩の水沼健に「二人芝居をやるんだったら『受付』は名作だよ、と薦めていただいた」のがきっかけ。金替は当初「すでにいろんな方が上演されているので、もう少し目新しいものがいいんじゃないか」と考えたそうだが「改めて読んでみると、考えることがたくさんあるいい戯曲だったので」賛同したという。
今回は演出家を特に立てず、当初の立川の狙い通り、俳優二人が相談しあいながら、じっくりと世界を作り上げているという。「考えることが尽きない戯曲です」と、金替は笑う。金替と立川は、土田の初監督映画『それぞれ、たまゆら』(2020年)をはじめ、微妙な関係性にあるペアを演じてきた実績がある。今回の舞台でも、そのコンビネーションプレイに期待が持てそうだ。
また立川は「『ものらぼ』という名前にしたので、今回がうまくいけばですが(笑)、今後も続けていけるといいなと思っています」と希望している。劇団だけでなく、京都の演劇界にも少なからず刺激を与えてくれそうな「実験」の第一歩に、ぜひとも注目してほしい。
ものらぼ『受付』公演チラシ。
公演情報
ものらぼ『受付』
■作:別役実
■出演:金替康博、立川茜
■日程:2022年11月10日(木)~13日(日) 10日=19:00~、11日=14:00~/19:00~、12・13日=14:00~
※毎公演とも、終演後に来場者の皆様とのトークの時間あり。
■会場:The Side(京都市下京区・有隣文化会館2F)
■料金:一般=前売2,000円、当日2,500円 25歳以下=1,000円(前売・当日共)
■問い合わせ:075-525-2195(キューカンバー)
■公演専用サイト:https://c-mono.com/news/monolab2022/
※この情報は11月2日時点のものです。新型コロナウイルスの状況次第で変更となる場合がございますので、公式サイトで最新の情報をチェックしてください。