歌×踊り×殺陣満載のフレンチロックミュージカル『キングアーサー』日本版の上演迫る~主演・浦井健治「もがき続ける」役者の覚悟

2022.12.2
インタビュー
舞台

浦井健治

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フレンチロックミュージカル『キングアーサー』が、2023年1月12日(木)に東京・新国立劇場 中劇場で初日を迎える。

本作は中世の騎士物語として語り継がれてきたアーサー王伝説を基に、ドーヴ・アチアが音楽・脚本・歌詞を手掛けてフランスで誕生したミュージカル作品。世界各国での上演を経て、今回がついに日本初演となる。日本版には韓国の新進気鋭の演出家オ・ルピナを迎え、錚々たるキャスト陣が顔を揃えた。

その中で主演のアーサーをシングルキャストで担うのが、浦井健治だ。浦井は終始穏やかな表情で、本作に挑むひとりの役者としての想いを真摯に語ってくれた。

キラキラとドロドロの両面 誰もが憧れる物語が群像劇に

――最初に台本を手にされて感じた作品の魅力を教えてください。

エクスカリバー(剣)を引き抜いたがために王になるという、幅広く知られている騎士物語をフレンチロックの楽曲でミュージカルとして、今回ルピナさん演出のもと、日本初演をやらせていただく。そのメンバーに選んでいただいたことが光栄です。ミュージカル界でそれぞれの経験を持ち寄って集結したようなメンバーと一緒にできるのも、僕はすごく嬉しくて。自分たちの世代、先輩方、後輩たちも含め各々が持っているものを活かしながら、群像劇としてキャラクターに息を吹き込んでいくことになると思います。人間のリアルさのようなものが、キャスト一人ひとりの経験と重なって見える瞬間がきっとあるんじゃないかな、と。

――フランス版のミュージカルの映像をご覧になった感想は?

アクロバットがすごいです! もちろん殺陣もものすごい量がありますし、台本のト書きにも「死闘の末」とか「剣を交え」 とか書いてあって(笑)。そこにしっかり立ち向かえるような経験を積んだキャストが集結している中でアーサーを演じさせていただくのは、やはり光栄ですね。

――物語としてはどのような面白さがあると思いますか?

アーサーは王であると同時に、ひとりの普通の青年として描かれていると思うんです。王剣エクスカリバーの恐ろしさ、それによって影響を受けて崩壊する人々の様、人間のおぞましさや愚かさ、群衆の怖さ……今の時代に通ずるものが感覚的に描かれているので、共感することやハッとさせられることがあるかもしれません。人生一筋縄ではいかないけれど、でも人間ってきっと……という希望も感じられるような作品になれば。何よりもファンタジーであることがミュージカルの醍醐味だと思うんですよね。だからお客様にはキラキラしたものを観てもらって、でもそれだけじゃなくて人間のドロドロしているところも歴史劇として感じていただけるよう挑みたいです。

フレンチロック×歌×踊り×殺陣「エンタメとして絶対に面白い」

――8月には製作発表が開催され、浦井さんは「♪魔法に導かれて」という楽曲を歌われました。実際に楽曲に触れて感じたことがあれば教えてください。

(キーが)高い!(笑) (伊礼)彼方と(加藤)和樹が歌った「♪奪われた光」なんて、かなりの高音でしたよね。日本語は滑舌的に異母音が多いので、どうしても口を開きづらい発声なんですね。それでのめちゃくちゃ高い音というのは、ハードルも高いなあと思いました。そういったことも各々の個性で乗り越えていけるキャストですが、自分はシングルキャストでもあるので、いかにその中を渡り歩くかが勝負でもあります。歌っていて楽しいし、フレンチロックは自分の声質に音色的には挑みやすい感触がありました。

――フレンチロックといえば、浦井さんは過去に『ロミオ&ジュリエット』に出演されていました。そのときに通ずるものもありますか? 

重唱が特徴的だと思います。ギターサウンドの中でみんなで奏でていくので、荘厳さもありつつ現代的な音色です。とても耳馴染みのあるサウンド。派手な楽曲の中でアクロバットや殺陣が繰り広げられていくので、老若男女楽しめるミュージカルになるんじゃないでしょうか。題材もある意味オーソドックスなのでわかりやすいですし、お客様には観やすい作品だと思います。

これもひとつの日本のブームというか、時代なのかもしれませんが、『刀剣乱舞』を筆頭に、ビジュアルもこだわって歌も踊りも殺陣もあるような作品が増えていると感じます。今回のプロデューサーさんは『デスノート THE MUSICAL』からご一緒している方なのですが、『キングアーサー』という作品が新しい切り口のチャレンジになることを望んでいる気がするんです。日本が誇る文化である漫画やアニメを原作とした作品が増えてきている中、『キングアーサー』がひとつの起爆剤となれるように頑張りたいです。

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