“鬼太郎”沢城みゆきד悪魔くん”梶裕貴で、新作アニメ&水木しげる生誕100年を語り尽くす 『ゲゲゲ忌2022』トークセッション
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左から、沢城みうき、梶裕貴
11月20日(日)、『ゲゲゲ忌2022』トークセッションが東京・調布市 グリーンホール 大ホールにて開催され、声優の沢城みゆきと梶裕貴、古賀豪監督、佐藤順一監督らが登壇した。
調布では、調布市名誉市民・水木しげるさんの功績をたたえ、毎年命日の11月30日を『ゲゲゲ忌』とし、水木しげるさんゆかりの地を巡るイベントなどを開催している。2022年度の『ゲゲゲ忌2022』は、11月19日(土)から11月30日(水)まで開催中だ。
『ゲゲゲ忌』トークセッションには、2023年に公開される映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の鬼太郎声優・沢城みゆきと監督の古賀豪氏、同じく来年配信となるNetflixシリーズ『悪魔くん』の主人公・埋れ木一郎声優・梶裕貴と総監督の佐藤順一氏が登場。ホール前会場ではゲゲゲ忌の様々なイベントが行われており、会場に集まった観客は開演前にすでに興奮した様子。
『ゲゲゲ忌』トークセッション
ゲスト登場の前にMCのアニメ評論家である藤津亮太氏が登場し、イベントがスタートい。MCの呼び込みで沢城みゆき、梶裕貴さんが登場すると、会場は大きな拍手が。さらに、水木しげるさん生誕100周年を記念するイベントの一つとして開催されている本作のスタートにあたり、水木しげるさんの長女で水木プロダクションの原口尚子氏も登場し「鬼太郎と悪魔くんという水木の代表作が来年の秋に公開されるということ、沢城さんと梶さんという素晴らしいベテラン声優さんに関わってもらうことができて、私も完成が楽しみでなりません」と挨拶した。
沢城みゆき
最初のコーナーは、映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』についてのトークパート。映画の監督を務める古賀豪氏が登場し、沢城さんと熱いトークを繰り広げた。映画について新情報としてスクリーンに映し出されたのは、本邦初公開となる第3弾新ビジュアル。昨年11月・本年3月に解禁したビジュアルに続き、キャラクターデザインの谷田部透湖氏が描いたものだ。沢城は、「これは……私ですね!ちゃんと鬼太郎が出ているんですね!よかったー!」と感想を述べ、古賀監督は「このビジュアルをよく読み込んでいくと、色々なものが隠されています。『血が、流れている』というキャッチコピーにはお父さんの血が流れているという意味と、水木先生の血が僕らに流れているという意味、そして恐ろしい血が流れているという意味が込められています」と話した。
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
また、イベント内では本作で描かれる時代が昭和であることも明らかに。作品について、古賀監督は「物語は現代パートと過去パートに分かれていて、鬼太郎誕生の物語です。6期の世界線での前日譚」とストーリーの骨組みを明かし、「舞台は昭和30年代の古い因習の残る村で、懐かしくも恐ろしくも見える昭和の風景の中で、愛と友情と裏切り、そして呪いの大人のドラマが展開します。今までに見たことない、大人向けドラマの鬼太郎になります」と語った。これに、沢城は「日曜朝に作っていた鬼太郎像とは違いそう。私たち大人のためのアニメを作ってくれるのは嬉しい!」とコメント。現在、作品の絵コンテが制作中とのこと。
梶裕貴
続いてのコーナーは、Netflixシリーズ『悪魔くん』新情報発表パート。梶裕貴、総監督の佐藤順一氏、シリーズ監督の追崎史敏氏が登壇した。佐藤監督は、本作について「主人公の一郎君は人間だけれど、生みの親に捨てられ悪魔に育てられ、その後先代の悪魔くん・埋れ木真吾に育てられたという設定があります」と令和版『悪魔くん』の基本設定を紹介。また、新情報として新規ビジュアルも解禁し、「“悪魔の力を使う、超天才”というキャッチコピーからもわかるように、『悪魔くん』を知らない世代にもアピールしていきたいという気合いが入っています。是非『悪魔くん』を知らない身近な方々にも宣伝してくださいね」と語った。新規ビジュアルについて、梶は「ここまで一郎がアップで描かれるのは初めて。非常にわかりやすく彼の個性が表されているなと感じます。メフィストは変わらず可愛いらしいですね!」と絶賛。追崎監督も「一郎がアクティブに何かを求めて何かを掴もうとしている。このビジュアルは今回の作品のテーマを匂わせてもいます」と作品のヒントを口にしていた。
Netflixシリーズ『悪魔くん』
アフレコ収録中の本作について、梶は「僕が準備していった演技プランを現場で提示し、それに意見をいただきつつ、一緒にすり合わせていくような形で出来上がっていくようなイメージがありますね。一郎は“人の感情”というものを理解していない人。なので、彼自身の感情を出すさじ加減や、どこまで心を開くべきなのかを常に探りながら演じています。作り手の一員としてキャラクターの造形をさせていただけるというのは、とてもありがたいこと。用意されている答えに向かっていくだけではなく、核となる大切な何かを探りながら演じていく作業は難しくもあり、非常に楽しいです」と報告していた。
その後は、沢城と梶の演者トークに。梶は、同い年でありプライベートでも仲のいい沢城について「皆さんご存知のように沢城さんは役者として天才的ですが、それだけではなく、気遣いなどにおいて人間としても素敵な人です。努力の人であり、尊敬できる役者さん」と絶賛。また、沢城は梶について「梶君には悪いところやずるいところがない。しかも学生時代は生徒会長だったらしい。すごくまぶしくて、学生時代に私が少しも話したことのないような男子という感じです」と評し、お互いに笑い合っていた。
最後に、本日の登壇者全員が再度ステージに集合し、水木しげるさんについて話す。水木さんの作品について、梶は「水木先生の作品からは、ある種の人間に対する絶望のようなものが感じられるような気もますが、しかし同時に、人間を諦めてはいないとも思うんですよね。人類の歴史や文化をふまえた上で、妖怪や悪魔といった存在をとても身近なものとして漫画に落とし込み、エンターテインメントとして再構成されている。だからこそ、時代や世代を超えて、作品が、先生の魂が、受け継がれているのだと思います」とコメント。沢城は「水木先生の作品には水木先生のライフを感じる。それが全ての作品に乗っかっているので、ほかの漫画と同じ感覚では読めない。すべての作品に水木しげるを感じます」とその作家性を讃えた。
また、古賀監督は「ユートピアに憧れつつも辿り着けない人間の姿が描かれていることが水木しげる作品の神髄」、追崎監督は「キャラクターが可愛くてときに怖いのが魅力的。すべてのキャラクターが特徴的でありリアルで、描いていて楽しい」、佐藤監督は「水木先生は人間の弱さを認めている。だからこそカッコいしい、魅力的なのだと思う」とそれぞれに水木ワールドの魅力を語っていた。
水木さんの生誕200周年に向け、沢城は「水木先生が描いたものを読み継いでいくことで水木しげるは生き続けると思います。また私は声を通して作品を作っていくことに携わることができているので、それを一つ一つ進めていたら、次の世代に受け渡していける気がします」と自負を語る。梶も「僕も声優という形で作品づくりに携わらせていただいている以上、今回の『悪魔くん』を監督たちが望まれる形として表現していくことが何よりも大事。アニメはもちろん、原作漫画もあわせて次の世代に繋がっていってくれると嬉しいです」と力を込めて語った。
最後に、水木さんの長女・原口氏が「登壇者のみなさんが水木作品を深く理解しようとしていることがわかり、今日はとても嬉しかったです。水木は色々な側面のある作家なので、皆さんにもそんな水木の様々な側面を体験していただきたいです」と観客にその魅力をアピール。イベントは大盛況のうちに終了している。なお、イベントのアーカイブ配信は2022年11月26日(土)の23時59分までイープラスStreaming+で視聴可能。
アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』各期と、アニメ『悪魔くん』の最新情報やグッズ、イベント情報等、作品に関する最新情報が公開されるアニメ公式のポータルサイトがオープン。最新作『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』と2023年配信Netflixシリーズ『悪魔くん』の情報のほか、過去に放送されたアニメに関する情報も更新される予定だ。