夢のコラボにゆず&Da-iCE花村ら登場、マカロニ、Vaundy、サウシー、サンボらと歓喜の夜に『FM802 RADIO CRAZY 2022』2日目レポート
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『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』
FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022 2022.12.26(MON)インテックス大阪
大阪のラジオ局・FM802が主催する関西最大級のロックフェス『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』(以下、『レディクレ』)が、12月25日(日)〜28日(水)の4日間にわたり大阪・インテックス大阪にて開催。今年はコロナ禍を経て3年ぶりにインテックス大阪での開催で、4日間で総勢約100組のアーティストが出演する「ロック大忘年会」となった。観客にとっても、アーティストにとっても、スタッフにとっても念願となるインテックス大阪での『レディクレ』の2日目のライブをピックアップしてダイジェストでレポート!
【Spotify Early Noise LIVE HOUSE Antenna】
■映秀。
映秀。 撮影=ヨシモリユウナ
音楽ストリーミングサービスのSpotifyが、その年に飛躍が期待される次世代アーティストを決める「RADAR: Early Noise 2021」にも選出されていた映秀。が、バンド編成で登場。「脱せ」でライブをスタートさせると、感情の高ぶりをいっきにバーストさせるようなステージングに冒頭から引き付けられる。続く「星の国から」ではフロアにタオルがぶんぶん回って、続けて新曲も披露。
バンドサウンドに乗って会場を泳ぎ回るような軽快さと、戦うように力強く、激しく、熱を帯びる歌に魅せられる。「音楽」の文字通り、音を楽しみながら観客とライブを作り上げていく様は神々しくすら感じる。音楽を愛し、音楽に愛されているとはこういうことなのかもしれない、と思ってしまうほどのステージング。MCでは「人生で初めてやったことがありまして」と切り出し、同日が電車の遅延のため急遽ヒッチハイクで移動を試みたことを明かす場面も。よりアグレッシブにフロアを揺らした「喝采」など、誰よりもライブを楽しむすがたにこちらの心も踊る、清々しいステージだった。
取材・文=大西健斗
■ヤユヨ
ヤユヨ 撮影=ヨシモリユウナ
遂にインテックス大阪での『レディクレ』出場を果たしたヤユヨ。1曲目「futtou!!!!」から並々ならぬ気迫が伝わってくる。年始のライブに比べて、格段に増している迫力、音と歌声のパワー。ぺっぺ(Gt.Cho)、はな(Ba.Cho)、すーちゃん(Dr.Cho)が奏でるバンドサウンドも、リコ(Vo.Gt)の歌声もガツンと響いてストレートに胸を打つ。会場や音量の大きさではなく、メンバーの心の大きさや想いの強さが源にある音楽のパワーだろう。この1年、彼女たちがリリースやツアーを経て培ったもの、感じてきたことが伝わってくるような幕開けに、早くもフロアが湧く。
リリースされたばかりの新曲「愛をつかまえて」や「POOL」も披露。高校生の頃から、毎年楽しみにして遊びに来ていたという『レディクレ』愛を語りつつ、「インテックスのステージで、『レディクレ』に出れたら絶対にやりたかった。自分に向けて作った曲やけど、1年間いっぱいこの曲をやってきて、だれかの日常を支える曲になってほしいなと思うようになりました。あなたとわたしの、日常の応援歌です」と、届けられた「あばよ」が心に染みる。「次はもっとでかいところでやります」と宣言していたリコ。来年の『レディクレ』で共に叶えて、その瞬間を一緒に見届けたい、そう切に感じるライブだった。
取材・文=大西健斗
【R-STAGE】
■PEOPLE 1
PEOPLE 1 撮影=ハヤシマコ
朝一番からR-STAGEに大勢の観客が詰めかけたのはPEOPLE 1のステージだ。これまでにもライブ活動を行ってはいたもののメディア上では正体不明のままで、今年になって実写でのビジュアルを解禁したばかりの彼ら。まだまだ未知数な部分も多く、気になっていたオーディエンスも多かったはず。
「魔法の歌」、「YOUNG TOWN」と、ちょっとレトロだったり爽やかだったりと縦横無尽な音楽が鳴り響くと、フロアには観客が大勢詰めかけ身動きがとれない状態に。そんななか、観る人の視線を一気に奪ったのが「紫陽花」だ。思わず胸を掴んでしまうほど切ないIto(Vo.Gt)の歌声に、ただ立ち尽くして聴き入るオーディエンスたち。かと思えば、「初の『レディクレ』、トップバッターだけどみんなの体力を残させるつもりはないんで」と、「スクール!!」から癖あり&中毒性ありありな楽曲陣でフロアを圧倒! Deu(Vo.Gt.Ba)とItoの掛け合いは遊び心たっぷりだし、Takeuchi(Dr)のビートのキレ味も抜群だ。音楽性は良い意味でバラバラ、その天邪鬼っぷりはハマると極上の蜜にもなって、観客を心酔させていく。
PEOPLE 1
「2023年はバンドも個人でも成長したい。たくさんの人に観てもらえたら」と来年の意気込みを語ると、人気TVアニメ『チェンソーマン』のEDテーマとして発表したばかりの「DOGLAND」で強烈なインパクトを残していった。
取材・文=黒田奈保子
■フジファブリック
フジファブリック 撮影=ハヤシマコ
心ごと浄化されるような「Green Bird」を皮切りに、フジファブリックがR-STAGEに登場! 金澤ダイスケ(Key)の鍵盤さばきがカオティックなムードを醸す「楽園」など、一気に場の空気を掌握していく彼ら。山内総一郎(Vo.Gt)がハンドマイクで自由度高く歌った、「タイトルも決まっていない、渾身の新曲!」(山内、以下同)は、この日のハイライト。エイティーズ感を忍ばせ、バンドの本領発揮な脳内をループするダンスチューンに会場が沸くさまは、初聴きとは思えないほどの親和性だ。さらに加藤慎一(Ba)がフリを指南する「Feverman」で宴の熱気は天井突破! MCでは、少し先の再来年、2024年に20周年を迎えることに思いを寄せる。
「何はともあれって感じでもないんやけどさ、やっぱりバンドを続けられることは幸せだなとかみ締めて、このステージに立っています。皆さんの進んでいく未来が最高のものであってほしいし、僕らもまた大阪で大きい花火を上げたいと思っています」
そう、しみじみと言葉にし、イントロから歓声が沸いた「若者のすべて」を丁寧に届けていく。いつだってみずみずしく輝きを失わないメロディは、まさに彼らのマスターピース。踊らせ胸つかむ一幕で、2022年の大阪を締めくくったフジファブリックだった。
取材・文=後藤愛
【L-STAGE】
■WurtS
WurtS 撮影=田浦ボン
L-STAGEに登場したWurtsのライブは早い時間から入場規制がかかっていた。彼が本格的に活動を始めたのは2021年とつい最近のことだが、その注目度は「年々」ではなく、日を追うごとに格段に増えているようだ。今年5月に大阪・万博記念公園で開催されたFM802主催のフリーイベント『FM802 MEET THE WORLD BEAT 2022』での初フェス&初大阪ライブでも、早耳なリスナーから大きな歓声を集めていたが、この日のライブはそれ以上の盛り上がりとなった。
WurtS
目出し帽のついたキャップを被り、ステージに登場すると「Talking Box (Dirty Pop Remix)」からご機嫌なビートでフロアを揺さぶっていく。「僕の個人主義」やFM802の2021年12月度ヘビーローテーションにも選ばれた「NERVEs」など、次々とバズを起こした楽曲が披露されていくが、どれも演奏時間がタイトであっという間にピークを迎えてしまう。快感の波は次から次へと襲ってきて、観客はついていくのに必死だ。
ロマンチックな展開の「MOONRAKER」やMVが話題となった「コズミック」のほか、スペシャルゲストにPEOPLE 1のIto(Vo.Gt)を呼び込み、共作した「リトルダンサー」を披露。ビートに乗っかってライムを重ね、互いに高みへと昇る楽曲で個性をぶつけ合うと、最終曲は彼の名を一躍世間に広めた「分かってないよ」へ。全11曲、これまでのWurtsを凝縮したようなステージはとにかく圧巻で、来年も早々にWurts現象が起きそうな予感がしてならない。
取材・文=黒田奈保子
■ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
FM802ならではのお楽しみといえば、このコラボレーション! トオミヨウ(Key)をバンマスに、小野武正(KEYTALK、Gt)、阪井一生(flumpool、Gt)、辻村勇太(BLUE ENCOUNT、Ba)、高橋武(フレデリック、Dr)から成るROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BANDのお出ましだ。まずはKEYTALKの寺中友将(Vo.Gt)と八木優樹(Dr.Cho)をゲストボーカルに迎えての「MONSTER DANCE」で場をお祭り騒ぎに仕上げ、続くフレデリックの三原健司(Vo.Gt)が「オドループ」でさらなる狂宴を創出。続いてBLUE ENCOUNTの田邊駿一(Vo.Gt)が「だいじょうぶ」で温かな歌世界を広げ、flumpoolの山村隆太(Vo)が「君に届け」でどこまでも爽やかな風を吹かせていく。
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
そんな新たな表情を伴ったおなじみの楽曲群で十二分に温まったステージへ、ゆずの二人が『RADIO CRAZY』初登場! 清らかな鍵盤の調べから「栄光の架橋」を紡いでいく。生命力あふれるリズムを全身に感じながら、北川悠仁(Vo.Gt)と岩沢厚治(Vo.Gt)の力強いハーモニーがL-STAGEいっぱいに降り注ぐ多幸感は、思わず北川も「よかったなー!」と破顔するほど。さらにダメ押しとばかりの「夏色」で、熱気は最高潮に!
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
再び集結したゲストボーカル陣もマイクを取り、特にゆずっこ=ゆずファンだという寺中や三原からは感無量のさまが見てとれ、ジャンルも年代も全ての垣根を超えていくゆずのパワーには驚かされるばかりだ。加えて、この春の話題をさらったFM802×ナカバヤシ ACCESS!キャンペーンソング「AOZORA」を披露するうれしいサプライズも!
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
しかも同曲を歌ったスペシャルユニット・THE HAJIMALSである石原慎也(Saucy Dog、Vo.Gt)、はっとり(マカロニえんぴつ、Vo.Gt)、林萌々子(Hump Back、Vo.Gt)、Vaundy、そしてこの楽曲披露のためだけに花村想太(Da-iCE)も顔をそろえ、大所帯で歌いつなぐこの日だけの至福のギフトをもたらしてくれた。「まさにアベンジャーズとアベンジャーズ!」と評した、FM802のDJ落合健太郎の言葉に完全同意! 各々の魅力を引き出しつつ、その掛け合わせで見たこともない景色を生み出してくれたROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BANDのステージとなった。
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND
取材・文=後藤愛
■SiM
SiM 撮影=田浦ボン
続々と力強く突き上げられた拳、うねるように揺れるフロア、歓喜の声が湧いたL-STAGE……「MAKE ME DEAD!」に始まり「Blah Blah Blah」、「GUNSHOTS」と畳み掛けていく怒涛のSiMのステージ。SIN(Ba)とSHOW-HATE(Gt)が轟音を浴び、腰にくるメロディに身を委ねて一心不乱に踊り、喜びに満ちた笑顔でフロアはいっぱいに。MCでは、MAH(Vo)がこの1年の大阪での『RUSH BALL』や『HAZIKETEMAZARE FESTIVAL』への出演、自身のツアーを振り返りながら、「いろんなことを前に進めていく、昔に戻すんじゃなくて先に進めていくためのツアーを」と来年のツアーに懸ける想いを語る。
SiM
さらに「窮屈な思いをするのは今年で最後にしよう」と投げかける姿も印象的だった。「意外とコロナ禍のライブもこれはこれで好きという人もいるかもしれないけど。俺らはもっとやりたいと思ってるんで、この景色が変わることを望んでいるんで付いてきてください。来年もいろいろムカつくこと、腹たつこと納得いかないことに中指を突き立てまくって、いろんなことを変えていこうと思っています。来年もよろしく!」とまっすぐに決意を語る。「BASEBALL BAT」「KiLLiNG ME」と流れ込み、「来年の抱負をひとつ言い忘れてました。2023年は、封印してきたこの曲をやりまくることです」と「f.a.i.t.h」を投下したラストスパートにフロアは沸騰。SiMがコロナ禍も観客やライブシーンと誠実に向き合い、歩みを止めることなく戦い続け、切り開いてきたからこそ、その先にある光を感じられる、希望に満ち溢れたステージだった。
取材・文=大西健斗
【Z-STAGE】
■ハンブレッダーズ
ハンブレッダーズ 撮影=渡邉一生
2日目、Z-STAGEのトップバッターはハンブレッダーズ。今年10月にはukicaster(Gt)が正式メンバーとして加入。さらに、ムツムロ アキラ(Vo.Gt)も注目アーティストがDJを務めるFM802の看板番組『MUSIC FREAKS』に出演が決まるなど、この1年でバンドの実力、地名度を着実に高めてきた彼ら。『レディクレ』で一番大きなステージのトップバッターとして出演するということもあって意気込みは大きく、スタートダッシュにと1曲目に選んだのは「BGMになるなよ」。がむしゃらにかき鳴らす直球のロックンロールに沸く観客たちの表情はとても晴れやかだ。「好きなように楽しんで。それがロックンロールのライブだと思うから」と、四人の熱量がぐっと凝縮したサウンドをぶつけていく。
ハンブレッダーズ
「ラジオもバンドも孤独のための娯楽。その娯楽を大事にしたい」と「ユースレスマシン」で疾走感あるバンドサウンドを鳴らす彼ら。「孤独」と言うとなんだか寂しく聞こえるけれど、そこにはオーディエンスと1対1で向き合い、共鳴する音が感じられる。ライブ終盤には、バンドのオープニングテーマとして作り上げたという「光」で「四人だからこそ」の音を鳴らし、2023年の更なる活躍を音に誓い、一番手のステージを走り抜けた。
取材・文=黒田奈保子
■Hump Back
Hump Back
サウンドチェックからいつものライブハウスと変わらない、ライブバンドとしての存在感を見せつけてくれたのがZ-STAGEでのHump Backのステージだ。「年の瀬、いっちゃんエェ歌うたいにきたから!」、そう宣言して始まったライブ。彼女たちの音楽にはいつだって嘘がひとつもなくて、あまりの真っ直ぐさに、時にはステージを観ながら涙してしまうことがある。この日のライブも、フロアの端から端、ひとり一人にまっすぐに音楽が届いていく充実感を体感させてもらえた。
「星丘公園」、「LILLY」、「拝啓、少年よ」、時には即興で歌詞を変えながら歌う曲はどれもポジティブなエネルギーに満ちている。「良い日にしよな!」「ロックンロールやりますわ!」「まだ起きてへんの? 心の中のロックンロール起こしにきました!」と林萌々子(Vo.Gt)が叫ぶ言葉も頼もしい。つい最近林が結婚し、メンバー全員が既婚者となり「人妻ロックバンドになった」と叫んでいたが、それすらも頼もしい、パワーワードに聞こえてしまうのが不思議だ。
Hump Back
ステージの時間いっぱいいっぱいまで、音楽への愛を臆することなくぶつけていく彼女たち。「2022年、いっちゃん良い曲できたんで!」と、最終曲は「がらくた讃歌」。ライブハウス直送の、ドカドカうるさいロックンロールに元気をもらって2023年も頑張れそうだ。
取材・文=黒田奈保子
■Vaundy
Vaundy 撮影=渡邉一生
Z-STAGEでのVaundyのステージには、ライブ開始前から大勢の観客が詰めかけていた。あまり表立って素顔を出さない彼だけれど、FM802の番組『MUSIC FREAKS』(2021年10月~2022年9月)で1年間DJを担当していたこともあって、リスナーには馴染みのある存在なのだろう。Vaundyが登場した瞬間、大きな歓声が沸き起こる。
この日披露した楽曲はどれもキラーチューンばかりで、1曲目から表現力豊かな歌声、心地よいグルーヴでオーディエンスの耳をとろけさせていく。MCも言葉少なく、「踊れるかな?」と観客を引き込むと、突出したセンスで作り上げた音の群れの中を悠々自適に踊るように歌う彼。
Vaundy
ライブ後半にはTVアニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマとなった楽曲も披露。音源のままかと疑うほどの完成度の高い歌唱、世界観もジャンルさえも巧みに変化させていく楽曲はどれも至高のものばかり。そのどれもが2019年からたった3年の期間で作り上げられているのだから、その才能の高さはアンファンテリブルそのもの。来年の活動はどうなっていくのか注視し続けたい。
取材・文=黒田奈保子
■サンボマスター
サンボマスター 撮影=渡邉一生
「大阪、笑ってるか? 最高の年末にしようじゃねぇか!」と、サンボマスターのフロントマン、山口隆(Vo.Gt)が吼えるのはZ-STAGEのちょうど半分が過ぎたころ。歌詞と歌詞のわずかな隙間でもあおることをやめない最高密度のパフォーマンスに、老若男女が肩を寄せ合い目を輝かせてステージを見つめる姿は、何とも美しい。ただそんなフロアの様子ですらまだまだとばかりに「オメーら、そんなものか!? ただの年末やりにきたわけじゃないでしょ!!」(山口、以下同)と攻め立て、年の瀬のキラーワード「アホ年末」コールと共に高速クラップを湧出していく。
「オメーが生まれたことがうれしいんだよ!」と、この場に集う者を全肯定するMCに続いては、一転して切々と歌い上げる「ラブソング」へ。誰とはなしにスマホのライトを点け横揺れとなり、広大なZ-STAGEが光に包まれていく。「花束」をシメに、「次に会う時まで勝手に死んでんじゃねーぞ!」と最後の最後まで特大のやさしさを投げつけてくれた三人。破顔した木内泰史(Dr.Cho)の熱きビートを感じるたび、近藤洋一(Ba.Cho)が爪弾くうねるようなベースラインに身を委ねるたび、そして山口がギターをかきむしりながら咆哮するたびに、3年ぶりの『RADIO CRAZY』にサンボマスターが帰ってきた歓喜を全身で感じた一幕となった。
取材・文=後藤愛
■Saucy Dog
Saucy Dog 撮影=渡邉一生
まずは三人で手を合わせて気合注入から始まったSaucy Dog。どこか少年性を残した歌声の石原慎也(Vo.Gt)は、「今日もいつもどおり、サウシーらしく楽しくライブします!」と宣言し、凛とした空気感の「シンデレラボーイ」やカラフルな「雀ノ欠伸」を奏でていく。さらに、「僕らはいつもラブ&ピース、幸せだったり優しさ、楽しさを歌っていて、みんなにそれを体感してほしいなと思ってライブしています」(石原、以下同)と、せとゆいか(Dr.Cho)のエナジーあふれるドラミングを下支えにした「メトロノウム」を披露。新曲「現在を生きるのだ。」がまたすさまじく、「まだ歌えないと思うんだけど、めちゃくちゃ間違いながらでいいので、みんな楽しんでいこうな!」との言葉どおり、全員が惜しみなく声を上げた瞬間は、ライブの醍醐味を凝縮したシーンといえるだろう。秋澤和貴(Ba)のグルーヴィーなリズムが心地よい「ノンフィクション」を経て、石原が再び口を開く。
Saucy Dog
「好きなバンドがいくつあってもいいと思うし、でもSaucy Dogが人生の中で特別な存在だと思ってもらえるよう努力しますので、みんなの心の片隅に置いてもらえたら」と、真っすぐな歌声で「いつか」、そしてラスト「優しさに溢れた世界で」を贈る。ステージの端から端まで駆け、大観衆の一人も置いていかないパフォーマンスを展開し、何度も「楽しんでいこうな!」と繰り返したSaucy Dog。きっとこの日を目撃したオーディエンスの心のど真ん中に、鮮やかな存在感を残したことだろう。
取材・文=後藤愛
■マカロニえんぴつ
マカロニえんぴつ 撮影=渡邉一生
「今年も『RADIO CRAZY』の季節がやってきて、呼んでもらえるのが当たり前と思ってはいけないですが、我々、数えたら4回目の出演です。LIVE HOUSE Antennaから始まったのですが、ここまで来れました!」と、はっとり(Vo.Gt)の歓喜の言葉を、Z-STAGEの大観衆は喝采でレスポンス。ライブハウスを飛び越え、今やお茶の間へも浸透する存在となったマカロニえんぴつが、『RADIO CRAZY』2日目の大トリだ。
初期衝動を失わない「洗濯機と君とラヂオ」から、長谷川大喜(Key.Cho)の緩急ある調べに心躍る「レモンパイ」など、おもちゃ箱をひっくり返したような特大ポップネスに、会場からはたくさんの拳が伸びる。THE HAJIMALSの一員として、一足早くROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BANDのステージに出ていたはっとり。
「観ました? あの雰囲気。すっごく盛り上がって、ゆずのお二人をメインに良い空気が流れ、参加したボーカルの面々も終わったあと、良かったねと盛り上がってて。その様子をちょっと俯瞰で見ながら、「……トリこれじゃない?」と思ったの(笑)。そのぐらいあったかいステージで。でもマカロニえんぴつは、トリにふさわしいかはアレですが、『レディクレ』を締めくくるにふさわしいライブをしたいと思います! あなたに頼ってますからね。みんなブラボー!」
マカロニえんぴつ
そう自らを、またフロア全体を鼓舞し「たましいの居場所」をぶっ放す! 高野賢也(Ba.Cho)が繰り出すグルーヴィーなリズムで踊らせつつ、「恋人ごっこ」ではヒリヒリしたエモーションを田辺由明(Gt.Cho)の爪弾くメロディが増幅。はっとりが今宵イチの絶唱をみせた「なんでもないよ、」でフィナーレに……と思いきや、アンコールに応えて再び姿を現した彼ら。正真正銘のラスト「ヤングアダルト」まで、一曲入魂、いや一音入魂で言葉どおりに『RADIO CRAZY』2日目のトリにふさわしいアクトを完遂したマカロニえんぴつ。彼らをはじめ、この日を彩った面々が来年の『レディクレ』にどんな大きなシルエットを伴って帰ってきてくれるのか……そんなワクワクを胸に灯しつつ、いよいよロック大忘年会は折り返しへ!
取材・文=後藤愛
写真=FM802提供
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掲載しきれなかったアーティストのライブ写真やソロカット、セットリストを一挙に公開!