「コロナ禍を乗り越える学生のために」サンボ、SHE’Sら6組が集結『大阪文化芸術創出事業「OSAKA DREAM LIVE 2023」』オフィシャルレポート
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『大阪文化芸術創出事業「OSAKA DREAM LIVE 2023」』2023.1.14(SAT)・1.15(SUN)NHK大阪ホール
1月14日(土)・15日(日)、NHK大阪ホールにて開催された「大阪文化芸術創出事業『OSAKA DREAM LIVE 2023』」のオフィシャルレポートが到着した。このイベントはコロナ禍の影響で制限された学校生活を送ることとなり、ライブ会場にも思うように足を運べなかった学生たちに向け大阪府・大阪市が主催し開催されたもので、抽選により中学、高校、大学、専門学校生などの学生たちやその保護者、約1300人を無料で招待。会場を訪れた若者の大切な青春の一ページを彩るべく、各日3組、計6組の豪華アーティストが繰り広げた渾身のパフォーマンスを順に紹介する。
1月14日(土)
■空音
空音
イベントの幕開けを告げるのは、1月4日に22歳になったばかり、尼崎市出身のラッパー・空音。DJ Rinと共に「月ひとつ」などでメロウに走り出すと、耳なじみのいいメロディやフロウで観客をリラックスさせておいて、そこにハイスピードのラップやトリッキーなトラックを上乗せし、ハンズアップも引き出す。
空音
そして「めちゃくちゃラップするから!」の予告で始まった「B RAGE」と「GIMME HPN」では、舞台を歩き回り派手なアクションでアグレッシブなヒップホップを展開。観客は圧倒され、なかには思わず動きを止めて見入る人も。すると「自分の先頭は自分が切るしかないから」と語り、最後は「Life Work」という決意表明。同世代に熱いエールを送りライブを締めくくった。
■ハンブレッダーズ
ハンブレッダーズ
「再生」から直球ロックで元気にスタートを切ると、彼ららしいキャッチーさのなかに、炸裂するスラップベースや高速ギターをまぜて会場のボルテージを上げ続ける。当然、客席はクラップにハンズアップにと盛り上がり、「いいね」では楽しさが全開に。またムツムロは「何かに熱中してる期間は青春だと思ってる」と話し、その青春を謳歌するように「光」などをエネルギッシュにプレイ。
ハンブレッダーズ
観客の声を代弁するような、でらしによる全力のコーラスも轟き、ムツムロの「再生ボタンさえ押してくれたら17歳にしてやる!」のひと吠えから「DAY DREAM BEAT」で猛ラッシュへ。今日、一緒に歌えなかったあのサビは、終演後、きっと学生たちの脳内で何度もリプレイされたこと間違いなしだ。
■サンボマスター
サンボマスター
1曲目の「輝きだして走ってく」からエモーショナルかつパワフルな「サンボ節」を爆発させると、クラップが大きくなって拳も突き上がり、聞こえないはずのコールも聞こえてきそうなほど。さらにレゲエやラップの変化球で加熱すれば、観客の拳はより高らかに。
サンボマスター
もちろん、山口がまくし立てる愛の言葉は今年も健在で、その威力をマックスにするキラーチューンも連投。モータウンビートの「花束」が持つハッピームードが広がれば、「こうやってまた笑うんだぞ!」と山口が未来へと若者を導く。しかも予定外のアンコールに「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」をセレクトすれば、全員が心の中で特大の「愛と平和コール」。初日は最高潮で幕を下ろし、2日目に熱い音楽のバトンをつないだ。
サンボマスター
1月15日(日)
■PUFFY
PUFFY
25年以上のキャリアを誇る2人はバンドを従え余裕のステージ運び。まずは会場を「HiHi」の疾走感で温めると、昨年Z世代のTikTokで話題になった名曲「愛のしるし」で追い打ち。手拍子もそろって早くも一体感抜群だ。また後半戦は心躍らせる縦ノリから、笑いももれる由美の地元・寝屋川市の話を挟んで、90年代の大ヒットナンバー3連発で仕留めにかかる。
PUFFY
今も曲のパワーは絶大で、親世代だけでなく若い層も体を揺らして「イイ感じ」にリズムを取ったり、拳を繰り出したり、異世界を想像したりと、誰もがすっかり2人のとりこに。わずか30分ほどで、ご機嫌な大人が最高にかっこいいことを見事に証明してみせた。これを機に親子でPUFFYファンになった人もきっと少なくないはずだ。
■asmi
asmi
2001年生まれ大阪府出身のasmiは、今日一番、観客に近い存在。そんな感覚とガーリーな声をいかした「ヨワネハキ」などを響かせれば、曲はスッと浸透して出だしからクラップを伴い軽やかに突き進む。加えて早口の関西弁MCもキュートで、愛嬌ある人柄を想像せずにいられない。
asmi
一方、彼女のボーカルがまとうはかなさは、浮遊感や聖夜の情景も生み出して曲の中に引き込んだうえ、大切な人のために作ったという「例えば」では、感傷的な旋律と言葉で青春真っただ中の学生たちのハートをわしづかみに。そして「(学生時代は)悩みに悩みまくった」と明かし「当たり障りのある人生を歩んでいこう」と呼びかけてラストはアッパーに「PAKU」。力強く聴く者の背中を押してくれた。
■SHE’S
SHE’S
幻想的な雰囲気のなか、井上の歌声が魅了して会場の集中を高め、スケール感ある「Grow Old With Me」でいきなりのヒートアップ。続けてエキゾチックにも爽快にもダイナミックにも、ピアノロックを自在に鳴らして揺さぶりをかける。また、吹田市発の彼らのMCは親しみやすい関西の言葉で、「おかんエピソード」も披露して好感度も十分。
SHE’S
しかし、曲に戻れば、時にあやしげに、時にアンセミックに、時にダンサブルにと多彩な魅力をまだまだ発揮し、それを余すところなく体現するバンドサウンドで耳と心を奪う。そしてアンコールには若い時にいろいろな経験をしてほしいという思いを託して「The Everglow」。そのみずみずしい響きは躍動する4人の姿と重なって、学生たちの脳裏に焼きついたに違いない。
SHE’S
ちなみに今回は、初日にシンガーソングライター・近藤夏子とFM802のDJ・大抜卓人が、2日目に芸人・浅越ゴエとFM802のDJ・高樹リサが転換中のステージに登壇し、直前にライブをしたばかりのアーティストにインタビューを実施。イベントの感想や2023年の抱負のほか、彼らの学生時代の思い出や、若い世代へのメッセージも聞くことができ、ライブにプラスして来場者を喜ばせた。
FM802 DJ・大抜卓人、サンボマスター、近藤夏子
終始、見どころ聴きどころとなった「大阪文化芸術創出事業『OSAKA DREAM LIVE 2023』」は、会場に集まった若者たちのコロナ禍での学生生活において、貴重な輝く思い出となったことだろう。
なお、今回のイベントの模様は、1月22日(日)21:00~のFM802の番組「802 BINTANG GARDEN」にて一部がオンエアされる。
取材・文=服田昌子 写真=オフィシャル提供(撮影:田浦ボン)
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