ジャズ・ピアニスト細川千尋「ピアノトリオでのミュージカルナンバーを思い切り楽しんでほしい」~『細川千尋ジャズ・トリオコンサート』を開催
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細川千尋 (C)Shigeto Imura
ジャズ・ピアニストの細川千尋が、2023年2月18日(土)東京・浜離宮朝日ホール、2月25日(土)大阪・あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールにて、『細川千尋ジャズ・トリオコンサート 〜 Broadway Jazz Grooves』を開催する。この度、公演について聞いたインタビューが届いたので紹介する。
1月25日にアルバム『シーズンズ・オブ・ラヴ~ブロードウェイ・ジャズ・グルーヴス』をリリースした細川千尋が、同アルバムに収められているミュージカル・ナンバーを中心に、細川千尋ジャズ・トリオとして東京と大阪でコンサートをひらく。
ーー今回は、ミュージカルのナンバーを中心としたプログラムですね。
先日、アルバムが発売されたばかりですが、3年ほど前、ロンドンで『オペラ座の怪人』を観たときに、感激し、ミュージカル・ナンバーでアルバムを作りたいと思ったのです。
ーーコンサートでは、そのアルバムに収録されている作品を演奏されるのですね。どのように選曲されましたか?
大好きな曲、演奏したいという曲を選びました。
「チム・チム・チェリー」(『メリー・ポピンズ』より)はジャズのスタンダードにもなっていたので、挑戦したいと思っていました。
そのほかも、よく耳にしていた曲ですが、改めてしっかりと聴くと歌詞も含め良い曲ばかりだとわかりました。
ーー細川千尋ジャズ・トリオでの演奏ですね。
一昨年の浜離宮朝日ホールでスタンダード・ジャズを演奏したとき、このトリオはもっと可能性があると思いました。今回、ミュージカルということで、いろんな楽器やボーカルの方を入れたりする案もありましたが、私はピアノトリオというシンプルな編成で最大限の表現を追求したいと思いました。
ーーアレンジはどうしましたか?
全曲、自分でアレンジしました。ミュージカルのナンバーは、メッセージ性が強く、とにかくメロディが美しいのですが、もともとそんなに凝ったコードはついていない曲が多いです。原曲の世界観を壊さないように、それでいてこのトリオの良さが出るように、コードやリズムを複雑にし過ぎない、そのさじ加減を決めることに一番時間をかけました。そこが今回のアルバムを作る上での難しさも楽しさも感じる部分でしたね。
ーー今回演奏するなかで、特に好きな曲やおすすめ曲を教えてください。
『オペラ座の怪人』の「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」は絶対に演奏したい曲でした。この曲だけピアノ・ソロで演奏します。『オペラ座の怪人』はクラシック的な要素が強く、これはピアノ・ソロで歌い上げます。歌詞も好きなポイントです。
「シーズンズ・オブ・ラヴ」(『レント』より)は、いろんな人がパートに分かれて歌っていく曲ですが、コーラスを意識した音数の多いアレンジがより、この3人でお互いの音を聴き合うことに集中したようなシンプルに混じり合ったサウンドがハマりました。気に入っています。
『レ・ミゼラブル』の「夢破れて」は、私がもともと好きな曲だったので、この3人でできてすごくうれしかったです。
どの曲も良い曲過ぎて、大好き過ぎてなかなか選べないですね(笑)。
ーージャズのスタンダードの原曲といえば、コール・ポータ、ガーシュウィン、アーヴィング・バーリンのミュージカル・ナンバーが思い起こされますが、このアルバムでは、『レント』、『ラ・ラ・ランド』、『ミス・サイゴン』、『レ・ミゼラブル』など比較的新しいミュージカルが選ばれていますね。
昔からジャズのレジェンド達がいろんなミュージカルのナンバーを演奏してこられたので、逆に私は新しめのミュージカルも取り上げたいと思いました。
細川千尋 (C)Shigeto Imura
ーー細川千尋ジャズ・トリオのメンバーをご紹介していただけますか。
ベースは井上陽介さんです。私は彼のミディアムスウィングのウォーキング・ベースの大ファンです。陽介さんの超絶技巧も素晴らしいのですが、シンプルなウォーキング・ベースで陽介さんにしかないグルーブ感が大好きなんです。おhひとりでもグルーヴが凄いのですが、「ワン」(『コーラス・ライン』より)にはすごく陽介さんの良さが詰まっている気がしています。「ワン」を聴くと私は陽介さんのウォーキング・ベースに心を持っていかれてしまいます。あ、でも、『シーズンズ・オブ・ラブ』の陽介さんも最高でした!(笑)
ドラムスのセバスティアン(・カプテイン)は、複雑なことを脱力した体でリラックスして表現してくださる方です。今回はシンプルな形のものをやっていただいて、だからこそ、センスの良さ、音のきれいさが表現されていて、新しいセバスティアンの一面を見た感じがします。たまに入ってくるセバスティアンの光る部分のさじ加減がこれまたたまらないのです。いつも安定感のあるセバスティアンのドラミングは、三人のバランスをとってくれる必要不可欠な存在です!
ーーCDの録音はいかがでしたか?
2022年秋に3回に分けて録音しました。1曲だけオリジナル曲を入れたいと思っていました。でもずっと新曲ができなくて、やっとできたのが、最終レコーディングの前日のリハーサルのあとでした。そして、楽譜を渡したのはレコーディング当日。その場ですぐに音を出して、レコーディングしました。
いろんな曲を録音した上で、私が表現したいことがやっとできました。「再生-REBORN」という曲です。コロナ禍で演奏会の機会も減り、自分と向き合う時間があり、自分が何を音楽で表現したいかを考えました。また、ミュージカルをアレンジして録音して私自身が元気をもらいました。新曲を作るにあたって、自分が今一番伝えたいことを考えているときに、ファースト・アルバムの『サンクス』を弾きたいなと思い、今の私なら違ったことをするだろうと、新しい曲の最後に『サンクス』からのワン・フレーズ入れました。いろいろな音楽に挑戦していきたいと思いますが、一番根本で大事にしたい気持ちは、昔も今も未来もきっと変わらず感謝やありがとうということ。それを今だからこそもう一度伝えたいと思いました。
ーー細川さん自身は今後どのようなことをやっていきたいですか?
オリジナルで私自身のメッセージ性の強い曲をもっと残したいと思っています。ジャズという大きな括りのなかで私のオリジナルを作っていきたい。そしてもっといろんな楽器の方と共演していきたいと思います。
ーー最後に、今回のコンサートへの抱負を聞かせてください。
それぞれ世界観が強い曲たちなので、すぐにその世界に入っていけるはずです。ミュージカル好きな方はもちろん、そうじゃない方にも何かが伝わるコンサートになると思います。私自信圧倒されるくらいに曲のエネルギーがすごいんです。今回はピアノトリオでのミュージカルナンバーを思い切り楽しんでいただきたいですね。
レコーディングとコンサートでは全然違います。レコーディングは音と向き合って、良い音を録るのに集中する時間ですが、コンサートは、お客さまがいてくださって、お客さまの反応や表情を見ながら、自分を思い切り出せる場所です。私は、コンサートをコミュニケーションの場だと思っています。私は、ライヴが大好きなので、本当に楽しみです。会場でお会いできるのを楽しみにしています。
公演情報
2023年2月18日(土)東京・浜離宮朝日ホール、
2023年2月25日(土)大阪・あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール
細川千尋(ピアノ)、井上陽介(ベース)、セバスティアン・カプテイン(ドラム)
曲目は公式サイトをご確認ください。
都合により曲目・曲順などを変更させていただく場合がございます。
細川千尋 公式サイト https://www.chihirohosokawa.com/