歌手 黒崎真音の表現のリアル「宝塚歌劇団の照明使いをライブに取り入れてみたい!」
- 
            ポスト 
- 
            シェア 
- 送る
歌手 黒崎真音の表現のリアル「宝塚歌劇団の照明使いをライブに!」
アーティストの生み出す作品が「表側」ならば、創作の源やプロセスといった「裏側」には何が潜んでいるのでしょうか。
 アニメイトTVが贈る新連載シリーズ「表現のリアル」は、さまざまな表現者たちのバックグラウンドやライフスタイルを掘り下げ、私たちがまだ見ぬ一面に光を当てていく対談企画です。
 第1回のゲストは、歌手の黒崎真音さん。2010年にメジャーデビュー後、主にアニソンシンガーとして活躍中です。愛称である「ヲ嬢(=オタクなお嬢様)」の通り、アニメや乙女ゲームが趣味であることでも知られています。
 聞き手は元宝塚歌劇団員で、現在は舞台やラジオなどでも活動中の花奈澪(はななみお)さん。ゲームやアニメなどにも詳しく、黒崎真音さんが大の宝塚ファンでもあることから、ふたりはプライベートでも親交があります。
 そんな2人の第2回目となる今回の対談では、黒崎真音さんがいかにして自身の舞台に宝塚歌劇団の要素を取り入れているかという話で大いに盛り上がりました。
 関連記事
 前編:歌手 黒崎真音の表現のリアル「私の歌詞には『自分の限界を超えろ!』が多いんです」
 ■「危険なやーつ」な、スパークリングワインで乾杯!
 執事さん:失礼いたします。スパークリングワインをお持ちいたしました。毎月の季節に合わせたフレーバーのものを用意してございます。
 黒崎真音(以下、黒崎):素敵ですね!
 執事さん:ちょうど乾杯に一杯ずつ召し上がれる量です。その他にもご用命がございましたら、当家のソムリエがお選びいたしましたワインを蔵からご用意もできます。
 花奈澪(以下、花奈):ワインもいっぱいあるんですか?
 執事さん:左様でございます。さまざまな産地のもののご用意があり、シニアソムリエの豪徳寺と申します執事が管理しております。彼であれば目的のものを探し出すのも容易くございます。
 黒崎:かっこいい……!
 花奈:すごいなぁ。執事さんも得意ジャンルがあるんですね。乾杯しますか、じゃあ。
 黒崎:はーい!
 花奈:では、かんぱ〜い!
 黒崎:すごい、まろやかでめっちゃ美味しい。
 花奈:ね! ぐびぐび飲んじゃう危険なやーつだこれ。
 黒崎:やーつだ。
 ■「私はいつまでもアニソンファンのひとりでありたい」
 花奈:お酒で一息ついたところで、ちょっと話を戻して……真音ちゃんがアニソンシンガーとしてデビューを果たしたわけだけど、その頃の自分って今振り返ると、どんなふうに見えますか。
 黒崎:知り合いからよく「緊張しなさそう」って言われるんだけど、今でもめちゃめちゃ緊張するし、でも顔には出ないみたいで(笑)。
 デビュー当時なんて緊張もあって全然楽しくできなくて、歌詞を覚えて、こう動いて、あれを言って……と、ステージをこなすことで精一杯な感じになっていた時期があった。
 言葉や歌詞そのものがストレスになり、音楽自体も受け付けないというか。もう「音」が嫌になって部屋をずっと無音にして、ヒーリングミュージックだけとかにしていました。
 花奈:すごくわかる。私も好きだった宝塚歌劇団を見るのも辛くなっていたときがあったよ。
 黒崎:その時は完全に「アニソンが好きなファンの気持ち」はなくなり、どんどん視野が狭くなりつつあったんですね。
 私を見てくださっている側も楽しくなかったと思うし、自分も全然楽しめていなかった。だから、一度立ち止まって原点回帰をしたら、「やっぱり好きっていう気持ちがないと自分はキラキラしないんだな。それだったら好きなものをいっぱい見つけよう!」と思えてきて。
 花奈:「客観的に見直す」ことが大切で、私もそうやって「やっぱり宝塚のここがいいところなんだ! 素敵だな!」って思い直せた時期があった。
 黒崎:「私はいつまでもアニソンファンの一人でありたい」という昔からの気持ちを忘れたくないというのがあって……。
 アーティストだけれども、作品もアニソンも楽しめる自分でいるということ。それからファンの方々が歌や音楽を楽しいと思える「ファンでいられる場所」をつくりたい。
 花奈:すごく素敵なことだと思う。それって、やっぱりファンの気持ちがわかる人だからこそですね。立ち止まって、辛い時を乗り越えての今があるってことですね。
 黒崎:でも、今は好きなものが見つかりすぎて、ちょっと楽しみすぎているんじゃないかって不安になってきた(笑)。
 ■宝塚歌劇団の照明使いをライブに取り入れてみたい!
 花奈:好きなものもそうだけど、他の職業の人から影響を受けたことってあります?
 黒崎:宝塚歌劇団は超大っきい。めちゃめちゃ大っきい。
 花奈:ご贔屓にしている人はいるんですか?
 黒崎:もともとは既に退団されてしまった柚希礼音(ゆずきれおん)さんが好きで、今は雪組を見に行き、咲妃(さきひ)みゆちゃんがすごく可愛いと思う。あとは真風涼帆(まかぜすずほ)さんが好き。
 花奈:普段は一人で見に行くのかな。マネージャーさんが一緒?
 黒崎:だいたい一人が多い。あとはアーティスト友達を連れて行ったり。
 結構みんな行きたいと言ってくれて。「じゃあ
 花奈:そうなんだ! 宝塚からどんな影響を受けたのかな。芸術的観点ですか?
 黒崎:舞台の使い方とか、あと照明がすごく勉強になったかな。ドラマチックなんだよね。ライブと舞台では照明の使い方が全然違うと思うんだけど、ライブでも舞台の照明の使い方をもっと取り入れたらおもしろいんじゃないかなと。
 専門用語はわからないんだけど、そのイメージを照明さんに伝えたりすることもあります。
 花奈:完全に暗くなって、ピンスポットで絞っていく照明使いとかないもんね。
 黒崎:そうそう。色んな方向からレーザーが当たって……というのもカッコイイんだけど、広いステージでもピンスポットでひとりの存在感を際立たせるとか、その人にしか目が行かなくなるような演出って、やっぱり宝塚はすごく長けているなって思って。そういうのを取り入れたら、生演奏じゃないステージでもすごく魅せられるなとか、そういうところが勉強になっている。
 花奈:やっぱり日常を過ごしていて、いろんなものがライブに対するインスピレーションになるってことですよね。
 黒崎:必ずどこかでそういうのを考えているかも。良いものに変換できないかなとか。
 花奈:じゃあきっと、今日の執事喫茶の体験や、Swallowtailさんの内装もインスピレーションになるかもしれない(笑)!
 黒崎:確かに!!
 花奈:洋館風のセットとか。このお店の雰囲気、真音ちゃんにすごく似合うよね。ライブ衣装も結構自分で案出しをするのかな?
 黒崎:自分で絵に描いてみたり、逆に自分の言葉でデザイナーさんに伝えて、そこから絵に起こし、提案してもらったりしますね。「クールな衣装の方がこの曲は歌いやすい」みたいなイメージもあったりして、そういうのも伝えます。
 花奈:私も宝塚の衣装がすごく好きだから、他のアーティストさんのライブに行っても、衣装を見ちゃうんですよ。
 私は娘役だったから、やっぱり可愛い衣装が好きで。真音ちゃんはいつもカッコいい衣装とか、可愛い衣装を着ていてすごく似合っているなと思う。本番衣装を着ると気持ちが変わりますよね?
 黒崎:もうめちゃめちゃ変わる。
 花奈:やっぱり可愛い衣装とかゴージャスな衣装とか着るとテンション上がるもんなぁ。
 黒崎:上がる! 好きなもの身につけているほうが、なんか上がる。テンションというか、モチベーションが。
 花奈:ですよね。真音ちゃんは家で可愛いパジャマを着ていたりするんですか?
 黒崎:えーっと……最近はプロレスのTシャツとか……(笑)。
 花奈:うそぉ?! そうなんだ。あら意外や意外。
 黒崎:プロレスもすごく好きなの。観戦に行く度にTシャツを買って帰り、でも着る場所が家くらいしかなくて。
 だから家で着て、「フフッ」と思って寝る(笑)。本当は可愛いお洋服を着て寝たいんだけど。
 花奈:今は家でのんびりすることって、あんまりない?
 黒崎:うーん、でもお休みの時は、基本的にはインドアかな。家でゲームしたり、マンガ読んだり。
 最近はマンガの『僕だけがいない街』と『亜人』にハマった。ホラーとはちょっと違った人の怖さみたいなものが描かれているというか、実際こういうことありそうだなってことが取り入れられているストーリー。
 ちょっと怖いやつが最近好きで、結構グロいシーンもあるし、昔は全然読めなかったんだけど、最近そういうのばっかり読んでいて……私、疲れているのかな(笑)?
 明日、最終回を公開!
 【取材協力】
 執事喫茶 Swallowtail(スワロウテイル)
http://www.butlers-cafe.jp/
 東京都豊島区東池袋3-12-12 正和ビルB1F
 TEL:非公開
 ※「予約制」のため、利用の際は上記公式ウェブサイトよりご予約ください。
 執事:椎名
 フットマン:伊織
 【今回ご提供いただいたお料理】
 アンナマリア
 紅茶:スワロウテイル
 - スワロウテイル - (ダージリン)
 シンブリ農園より届いた、高標高で栽培されたダージリンファーストフラッシュです。ダージリンの系譜を思い出させる、武夷岩茶のような甘くスパイシーな香りが特徴です。若々しさが珍重されるファーストフラッシュの中では珍しいタイプですが、渋みも柔らかく丸みのあるダージリンです。
 黒崎真音 Twitter:https://twitter.com/kurosakimaon
 花奈澪 Twitter:https://twitter.com/namio_dao
 [取材・構成:松本塩梅、織田上総介]