ズーカラデル ミニアルバム『ACTA』で積み重ねたもの、豊かな物語が刻まれた7曲を紐解く

2023.3.8
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インタビュー
音楽

――「怪光線」は、3人のバンドサウンドのかっこよさがストレートに発揮されている曲ですね。《絡まったイヤホンを解いてはじめる》の部分とか、スキャットと歌詞の言葉のミックスのさせ方がユニークなのも印象的です。

吉田:このスキャット、なんなんですかね? 自分でも“なんなんだろう?”って思っているんですけど(笑)。面白い感じになって良かったです。

山岸:この曲、やってて気持ちいい。

吉田:簡単だしね?

山岸:うん。

鷲見:溌溂と演奏できた気がします。

吉田:レスポールをレコーディングでメインとして使ったのは初めてです。去年、買ったんですけど、“ロックのギターです!”っていう音がして、気持ちよかったです。

鷲見:この曲を作り始めた時は、まだレスポールを持っていなかったんですよね。レスポールを買ってから改めてこの曲に手をつけて、“レスポールのブリッジミュート、合いそうだね?”っていう話になりました。

吉田:予想通り、ぴったりでしたね。

 

――ギターといえば、去年の9月に配信した「ダダリオ」ですね。ダダリオは、代表的なギターの弦のメーカーのひとつですが、普段からダダリオの弦を使っているんですか?

吉田:いや。ダダリオの弦をギターに張ったことはないです。

――語感でダダリオにしたってこと?

吉田:はい(笑)。

――実際に張っているのは、アーニーボールとか?

吉田:そうです。ずっとアーニーボールです。

――予想外の事実です(笑)。この曲、ギターのアルペジオとか、コードの響きが綺麗ですね。

吉田:せっかくのこういう曲なので、ギターをちゃんと弾きたかったんです。“こういうギター、弾きたかったなあ”って思えるものを弾けた感じもあって、それもとても嬉しかったですね。

――ドラマーとしては、いずれ「ジルジャン」という曲も作りたいんじゃないですか?

山岸:ジルジャンのシンバルはいつも使っているので、あまり使っていない「セイビアン」の方がいいかもしれないです。

鷲見:僕はリチャードココのベース弦を使っているので、「アーニーボール」?

吉田:「セイビアン」と「アーニーボール」、良い響きのタイトル(笑)。

――(笑)。「ダダリオ」も、音の響きが気持ちいいです。

吉田:この曲の着想の元になったのは、地元の先輩バンドのTHE BOIN BOINSなんです。「ダダリオ」っていう、すごくいい曲を持っているんですよ。僕らの「ダダリオ」とは全く違う感じなんですけど。先輩バンドの「ダダリオ」に対する並々ならぬ想いから出てきた言葉でもあります。

 

――去年に7月に配信した「ピノ」も、気持ちいい音が満載です。穏やかなカントリーテイストで、MVでもバンジョーを弾いていましたよね?

吉田:バンジョー弾きましたけど、“弾ける”って言うと、本当に弾ける人に怒られそうです(笑)。でも、レコーディングでも頑張りました。

鷲見:この曲もデモとしてストックしていた期間が結構長かったんですけど、こうして形にすることができました。冒頭のベースのフレーズは当時、特に深く考えずに弾いたもので、“変えようかな?”とも思っていたんです。でも、結局、これが一番しっくりきたので、最初のフレーズのままです。

――この曲のYouTubeのMVの概要欄で“夏休みがもう半分過ぎたことに気づいて寂しさとか暑さが一気に迫ってくるあの感じを思い出しながらこの曲を書いていました”と解説していましたよね?

吉田:そうでしたね。“終わりに向かっていく”みたいな感覚を、そこはかとなく抱きながら書いた曲です。

――具体的な理由はないんですけど、この曲を聴くと猫のことが思い浮かぶんですよ。多分、《君は僕の知らんところで 食ったり寝たりを繰り返す》という部分を聴いて湧いたイメージだと思うんですけど。

山岸:うちの親もそう言っていました。《まだ小さい 名前もない 形もなんかよくわかんない》が、猫を拾ってきた時みたいだと。

吉田:嬉しいですね。多分、それも一つの捉え方かもしれないです。「ピノ」は、わりと“関係性の歌”みたいなものだと思っているので。だから猫とかと触れ合って暮らしている人が猫と自分のことを思い浮かべながら聴くのは、“なるほど。そうだよな”って思います。

――《写真にしか残らない 美しさもきっとあるのでしょう》も、印象的です。写真には残らない美しさっていうのは、よく言いますけど。

吉田:そこは、頓智が効いていると思います。ブルーハーツの有名な歌詞から着想を得たんですけど。

――あっ! 「リンダリンダ」の歌詞の逆ということですね?

吉田:はい。“これはちょっとずるいよな”と思いながら書いていました(笑)。でも、ふさわしい言葉をこの曲に与えることができたと思っています。

――写真にしか残らない美しさっていうのもあるはずですよね。すごいカメラマンさんは、被写体の本質を引き出す写真を撮りますし。このインタビューの後、写真撮影をしますが、みなさんの“写真にしか残らない美しさ”を捉えてくださるんじゃないでしょうか?

吉田:ありがたいです(笑)。

山岸りょう(Dr)

――(笑)。「流星群」を聴いて改めて思ったんですけど、ズーカラデルの音楽は、フォークの香りもあって、懐かしい雰囲気も漂わせますよね。この曲、フェイドアウトで終わるのも昔のポップス的ですし。

吉田:フェイドアウトは、結構したくなるんです。“アレンジしながら、ここフェイドアウトでいいんじゃない?”っていう話になることがよくあるので。「流星群」は、それがふさわしいアレンジになったと思います。

――アウトロのスキャットのコーラス、かなり凝っていますよね?

吉田:はい。めちゃくちゃスポ根的に体力を使って作った気がします。いろんな音の組み合わせを声で試して、試行錯誤を重ねながら作っていく感じでした。

――「怪光線」もそうですけど、スキャットはお好きなんですか?

吉田:声で面白いことをするのが好きなんです。そういう面白さの追求は、バンドの選択肢の一つになっていますね。

――スキャットのコーラス、ライブでは3人で再現するんですか?

吉田:いやあ、このコーラスは……やらないでしょう。どうなんですか?

鷲見:多分、できない……。

山岸:再現は無理なんじゃないですか?

吉田:そうだね。ここは音源を流すしかない。

鷲見:あるいは、ギターソロをガツン!と弾くとか?

吉田:それもいいね。

鷲見:音源だからできる良さもあるので、そこは無理に再現しようとせず、ライブはライブで考えようかなと思います。

吉田:音源にしか残らない美しさもあるから?

鷲見:その通り(笑)。

 

――(笑)。昨年の11月に配信した「都会の幽霊」は、永田涼司さんのスライドギター、山本健太さんのピアノが加わっていますね。

吉田:はい。今、ライブは涼司くん、健太さんにサポートで入っていただいて、5人で演奏しているんです。このメンバーで演奏する前提で作っていったのが「都会の幽霊」です。こちらで指定したものはありつつも、全体を通しておふたりのプレイアビリティみたいなものがちゃんと出ている気がします。すごく“バンドの音”という感じがして、気に入っています。今のズーカラデルのライブの楽しさ、気持ちいいところも出せているんじゃないでしょうか。

――都会暮らしの中で抱くやるせなさみたいなことは、度々描いていますよね?

吉田:そうなのかもしれないですね。自分がそういうことを感じているのかはよくわからないんですけど。でも、なにかにつけ都会を敵視している感じはあるのかもしれない(笑)。

――東京は苦手ですか?

吉田:一旦、人が少なくなった東京を見たので、“今までひどいこと言って悪かったな”っていう気持ちはあるんですけど。これから、より仲良くなれていけたらいいですね。

――「都会の幽霊」は、ライブで既に披露していますよね?

鷲見:はい。去年のツアーで演奏するようになって、その後にリリースしたので。これからもやる機会が多いと思います。

――ズーカラデルの今後のライブに関しては、3月に神戸と熊本でワンマンライブ。5月から7月にかけて全国ツアーがありますね。ワンマンライブのタイトル『Knockin’ On Hell’s Door』は、なんかメタルバンドみたいだなと思ったんですが。

鷲見:我々は、地獄の軍団なので(笑)。

――(笑)。全国ツアーでも、『ACTA』の曲を堪能できそうですね。

吉田:はい。『ACTA』には、バンド演奏が映える曲が入っているし、まだやったことがない曲もいい感じになりそうです。観に来るとすごく楽しくなっていただけるんじゃないかなと思っています。一生懸命やって、みんなにも一生懸命聴いてもらって、楽しくお家に帰っていただきたいです。

山岸:ズーカラデルのライブには、振り付けはありません。

吉田:ライブ中にシンガロングしたり、振り付けを踊ったりするのが肌に合わない人にもぴったりのライブをやっております。

鷲見:お客さんには、とにかく自由に楽しんでいただきたいんです。ライブハウスに一人で行くことに不安がある人もいるのかもしれないですけど、一歩を踏み出す勇気さえ持っていただけたら、あとは僕らが楽しませます。

吉田:ただじっくり観ても楽しんでいただけるライブをしているので、気楽な気持ちで遊びに来てくれたら嬉しいです。


取材・文=田中大 撮影=高田梓

 

リリース情報

Digital Single「ラブソング」
2023年2月8日配信
音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて2/8より配信スタート。
※対応ストリーミングサービス:Apple Music/YouTube Music/Amazon Music/LINE MUSIC/Spotify/AWA/Rakuten Music/KKBOX/うたパスオンデマンド/TOWER RECORD MUSIC/Deezer/dヒッツ/うたパス/SMART USEN
 
4th Mini Album『ACTA』
VICTOR ONLINE STORE限定盤
2023年3月8日発売
¥3,850円(tax in)/ VOSF-11884
※本商品は1,000枚限定生産となります。なくなり次第販売終了となりますので予めご了承ください。
 
【CD収録内容】
1. シアン
2. ラブソング
3. 怪光線
4. ダダリオ
5. ピノ
6. 流星群
7. 都会の幽霊
 
【グッズ内容】
のんびりオールスターズPPバッグ ~けっこう大きい~
サイズ:約W600×H450×D200mm
※バッグの側面、及び後面の総柄はランダムな位置での印刷となります。ご了承ください。
 
【オリジナル特典】
『お知らせソング集 vol.4』(1曲入りCD)
ズーカラデルがSNSで披露してきたユーモラスな楽曲など、初めて音源化される楽曲が収録されたプレミアムな特典CD「お知らせソング集」の第4弾です。
※特典はなくなり次第終了となります
音楽ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて3/8より配信スタート。
※対応ストリーミングサービス:Apple Music/YouTube Music/Amazon Music/LINE MUSIC/Spotify/AWA/Rakuten Music/KKBOX/うたパスオンデマンド/TOWER RECORD MUSIC/Deezer/dヒッツ/うたパス/SMART USEN

ライブ情報

ズーカラデル ワンマンライブ
『Knockin’ On Hell’ s Door』

3/19(日) 神戸VARIT.
3/21(火・祝) 熊本B.9 V2
 
ズーカラデル ワンマンツアー
『SPACE ACTA STATION』

5/20(土) 岡山YEBISU YA PRO
5/21(日) 高松DIME
5/26(金) 名古屋DIAMOND HALL
6/2(金) 東京Zepp DiverCity
6/9(金) 広島CLUB QUATTRO
6/11(日) 福岡DRUM LOGOS
6/18(日) 大阪なんばHatch
6/24(土) 新潟LOTS
6/25(日) 仙台Rensa
7/1(土) 札幌PENNY LANE24
7/2(日) 札幌PENNY LANE24
詳細はこちらから
https://gooutzoo.com/