小西成弥「見れば見るほど面白さがわかる作品です」~unrato#9『Our Bad Magnet』稽古場レポート&インタビュー

2023.3.28
レポート
舞台

unrato#9『Our Bad Magnet』

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unrato#9『Our Bad Magnet』が2023年4月6日(木)より東京芸術劇場シアターウエストにて開幕する。
本作はスコットランドの劇作家ダグラス・マックスウェルの人気作で、同級生4人の9歳、19歳、29歳を描く青春群像劇。現実と思い出に揺られながら懸命に生きる男たちに魂を注ぐべく、4人の俳優が日々稽古に挑んでいる。
誠実かつ向上心にあふれた稽古の様子を、ゴードン役の小西成弥のインタビューとともに紹介する。

『Our Bad Magnet』の物語は9歳、19歳、29歳のシーンを行き交いながら進んでいく。9歳の4人のキャラクターは、リーダー格のフレイザー(松島庄汰)、ナンバー2ポジションのポール(木戸邑弥)、いじられキャラのアラン(奥田一平)、そして転校生で皆とは違った雰囲気を放つゴードン(小西成弥)だ。

「僕自身も高校生の頃に転校した経験があります。なかなか自分からはまわりの皆に話しかけられなかったけど、クラスメイトが声をかけてくれて仲良くなれました。
ゴードンも、友達がほしいしフレイザーたちと仲良くなりたいと思っているけど、自分から輪に入っていけない。無理やりにでも入っていったほうが楽なのに、簡単にはできない。そういうゴードンの気持ちはすごくよくわかります。
そして、稽古をするたびに考え方がどんどん変わってきています。最初は会話に着目していたけど、稽古を重ねるうちに4人で一緒にこの場所(物語の舞台となっている小高い丘)に来ていること自体を大切だと感じるようになりました。今はどう演じるのがベストか探っているところです」

unrato#9『Our Bad Magnet』稽古場より (左から)小西成弥、奥田一平、木戸邑弥、松島庄汰     撮影:交泰

大人になるにつれ4人のヒエラルキーが変化し、関係が崩れることで、彼らの抱える複雑な思いがにじみ出てくる。19歳の彼らはバンドを組んでいる。寮から大学に通うフレイザー、工場で働くポール、実家暮らしのアランとそれぞれの人生は岐路を迎えている。そして曲作りにのめり込むゴードン。じりじりとした思いを持て余す彼らのフラストレーションが真っすぐに伝わってくる。稽古中は3人を見守ることも多いゴードン役の小西は、どんな思いで見つめているのだろうか?

「ゴードンは、舞台上に出ていないときに話題にされることが多いです。フレイザー、ポール、アランにとってゴードンがどんな存在かはそれぞれ違うけど、全員強い思い入れがあるんじゃないかな。4人でバンドをやるくらいだから、もしかしたら家族みたいに思っているかも。
ゴードンにとって4人で過ごす日々は、ようやく見つけられた“自分の居場所”であり、“生きていける場所”なんだろうなと思います。19歳になって皆が恋愛したり遊んだり各々の時間が増えていくなかで、ゴードンだけは4人でいる時間が唯一の居場所だったことが、ほかの3人とは違う点ですね。フレイザー、ポール、アランにはほかの世界が広がったけど、ゴードンは取り残されてしまった。そんな切ない気持ちを感じます」

稽古を見守る小西成弥    撮影:交泰

演出の大河内直子はシーンが終わるごとに、たっぷりと時間をかけて話をし、キャストはそれぞれの言葉で役への向き合い方を確認していく。
ダグラス・マックスウェルのせりふには、先の場面への布石がいくつもちりばめられている。何気ないせりふの裏側に込めた思いも複雑だ。稽古でのディスカッションは、そんな戯曲の言葉ひとつひとつを納得いくまで確認する作業。さらに、アクセント、言葉の折り目、リズムやトーンも細かく調整していく。

稽古について小西は
「楽しくやろうという稽古場の空気を演出の大河内直子さんがつくってくれて、助けられています。キャストの中では、一緒のシーンが多いフレイザー役の松島庄汰さんとよく話をします。休憩中はキャストと大河内さんの5人で雑談しながら芝居のことも話します。やりづらい部分があったら話し合ったり、こうやってみようかと試したりしています」
と語る。

10年ごとを行き来し、かつキャラクターが際立つ戯曲を今の私たちにもリアルな言葉として翻訳したのが広田敦郎だ。最近では『レオポルトシュタット』や『セールスマンの死』などの売れっ子翻訳家。物語の舞台であるスコットランドの空気感を残したまま、今の私たちに届く言葉へと翻訳。稽古を見守りアドバイスをする姿にキャストからの信頼も厚い。
また、前田清実が手掛けたステージングも物語に厚みを加えている。多彩な舞台で経験を積んだ4人が、時に切なく時にコミカルに動いて表現していく。三枝伸太郎の音楽と相まって一気に『Our Bad Magnet』の世界に引き込んでくれる。

劇中劇の場面について小西は
「一気に全然違う空気になるので、演劇的にとても面白いと思います。現実とは違う世界を表現したいですね。僕は元々人前に出るのは得意ではなかったけど、今はお客さんを前にして芝居をするのがとても楽しいんです。ゴードンにとっても劇中劇は、今まで出せなかった自分を表に出すことができて、自由でいられる瞬間なのかもしれない。普段のゴードンはしないような動きもしているのでぜひ注目してください」と話す。

インタビューに答える小西成弥    撮影:交泰

壮大でいて繊細な物語。青春の孤独、出口を求めもがく若者像を、登場人物と同世代の俳優たちがみずみずしい感性で描き出す舞台。

「僕にとって初めての翻訳劇です。ゴードンは4人の中で異質であり、僕自身これまであまりやったことがない役です。いつも応援してくださっている方にも、今まで見たことがない雰囲気を見せられると思います。そしてこの作品は、キャスト一人ひとりの見せ場が盛りだくさんで、見れば見るほど面白さがわかる。僕も台本を読むたびに新しい気付きがあります。いろんな演劇的要素が含まれているので楽しい演劇体験になると思います。見に来てくれると嬉しいです!」と話している。

小西成弥

本作の上演は4月6日(木)~4月16日(日)東京芸術劇場 シアターウエストにて。は発売中。

公演情報

unrato#9『Our Bad Magnet』
 
【日程】2023年4月6日(木)~16日(日)
【会場】東京芸術劇場 シアターウエスト
 
【作】ダグラス・マックスウェル
【翻訳】広田敦郎
【演出】大河内直子
 
【出演】奥田一平、松島庄汰、木戸邑弥、小西成弥(登場順)
 
(全席指定・税込)】 
一般発売 2023年2月25日(土)午前10時~ ※先行販売あり
一般 7,700円 / サイドバルコニー席 6,600円 / 学生 4,000円
 
【問い合わせ】info@ae-on.co.jp
企画・製作:unrato
主催:(株)アイオーン
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