若手落語家・講談師の「ルート９」season3が始動！ 12/10の最終公演で“解散”も発表

落語芸術協会所属の若手落語家、講談師の計9人からなるユニット「ルート９」。2021年4月から活動を開始した「ルート9」は、メンバー3人ずつ3チームに分かれ、集客、グッズ、動画の人気度で競い、1位のチームが売り上げを“総取り”するという斬新なスタイルをとり、落語・講談の高座に限らず、コンサートや芝居、映画など多彩なステージを繰り広げて、若者を中心に人気を集めている。

この度、season3が始まるにあたっての取材会が行われ、従来のポイント加算方法に「YouTubeのショート動画の再生回数」が加えられること、および、今年2023年12月10日の最終公演をもって「ルート9」という形態は解散する旨が発表された。

取材会では、最初に昔昔亭昇がルート9の概要とseason3の方針を話した。

昔昔亭昇：ルート9は、season1、season2と過去2年間活動してまいりました。他の落語会との1番の違いは「戦う」というところでございます。ここにいる9人がそれぞれ「3（three）」「さば弁」「メガネちーむ」と分かれておりまして、その3チームが1年間落語会を開催します。で、その中で集客数、グッズの売り上げ、YouTubeのいいね数などを競い合いまして、それをポイント化し、ポイントの合計数が1番高いチームを優勝として年間のギャラを総取りという企画をさせていただいております。これはやはりお客様の応援が勝敗に関わるということで、お客様参加型の落語会を目指して、一生懸命やってまいりました。

season3は競い合うものが少し変わります。例年通り、まず集客数は同じです。そして、配信の売り上げ数もポイントに含まれます。グッズの売り上げも例年と同じ通りでございますね。ここに加えまして、YouTubeのルート9の公式チャンネルにショート動画を毎日更新をさせていただこうと思っております。それぞれメンバーが、1日1人、順番に毎日投稿させていただきます。

season3の最終公演が12月10日に行われるんですが、その結果発表の段階で、ショート動画の再生数の上位10個の動画を挙げまして、その10個の動画を作成した人間が所属しているチームにポイントが加算されます。なので、まとめますと、集客数、配信の売り上げ、グッズの売り上げ 、YouTubeのショート動画の再生数がポイントの対象となります。

そして、ルート9を丸2年やって3年目を迎えましたが、この形で活動を行うのは今年が最後となります。最終公演が12月10日に終わりますと、ルート9解体という予定でございます。3年間の集大成を今年はお見せできればいいかなと思っております。

続いてそれぞれのチームの自己紹介が行われた。

昔昔亭昇：チーム3（three）から紹介させていただきます。 私がリーダーの昔昔亭昇でございます。そして、笑福亭茶光、春風亭昇咲でございます。season1、season2と2連覇をしておりますので、3連覇を目指して頑張りたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

三遊亭仁馬：チームさば弁でございまして、私がリーダーの三遊亭仁馬と申します。春風亭弁橋さん、神田桜子姉さんでございます。桜子さんからの「さ」、仁馬の「ば」、弁橋さんの「弁」ということで、「さば弁」になっております。昨年ですね、惜しくも最下位でございました。今年はですね、どんどん表に出ていってですね、頑張って優勝を目指していきたいと思っております。よろしくお願いします。

春風亭昇りん：メガネちーむでございます。私がリーダーの春風亭昇りんです。こちら春雨や晴太と三遊亭花金です。この3人でメガネちーむで頑張っていきたいと思います。去年は2位で、初年度も2位ということで、3（three）を倒すために頑張っていきたいと思います。……あ、失礼しました。初年度は最下位でございました（笑）。3位、2位ととても上がっている状態ですので、もう今年は1位しかないという状態。3人の特色を活かして、頑張っていきたいと思います。メガネちーむというチーム名なんですが、特に意味はありませんので、よろしくお願いいたします。

続いて質疑応答が行われた。

ーーこれまで2シーズンをやってきた手応えはいかがですか？

春風亭昇りん：ルート9を始めることによって、いろいろな客層の方々が落語会にいらっしゃったので、それはありがたかったですね。また、YouTubeの動画や配信によって、地方の方にも見ていただける機会が増えまして。地方でも「ルート9見てるよ」と声をかけていただきましたので、やってよかったなと思いました。

ーールート9は今年で「解散」になるのですか？それともまたチームを決め直すということですか？

三遊亭仁馬：それがまだ決まってないんです。 とにかく、この形は今年で最後ということでございます。今年こそはという、そういうような戦いを1年間やろうと。また、この来年をどうするかはちょっとまだ喧嘩しながら（笑）。

昔昔亭昇：驚くような企画をまた立ち上げたいな、という風に思っております。

ーー改めてルート9の強みを教えてください。

春風亭昇りん：そうですね。グッズ販売……例えばリンゴだったり、コーヒーだったりを販売したり、チーム3（three）だとアイドルとして、歌を歌ったりもしていまして、落語会以外の企画でやっているところが、他の「成金」の兄さん方や「カデンツァ」の兄さん方とまた違う特色かなと思っています。新しいことをやっていますというのが、1つの強みだと思います。

ーー最後にseason3に向け、それぞれのチームからの意気込みをお願いします！

笑福亭茶光：3（three）が初年度、そして去年と2連覇しているんですけども、初年度も去年もいろいろなことをやりました。（昔昔亭）昇が作詞・作曲した歌を歌うなど、割と落語以外のことをして、エンターテイメント性を重視して、お客さんを集めることに特化したんですけども。今回は最後ということなんで、原点回帰で、落語してみようよと。

高座時間を短くして歌を歌うようなことをやってきたけど、それってちょっと違うんじゃないのということに、1年かけて気づきまして（笑）。それはそれでお客さんも楽しんでくれたと思うんですけど、最後ラストイヤー、この3人で3（three）をやるにあたって、この3年間に蓄積した高座の力をぶつけてみようと考えています。もちろん企画も考えますけども、メインは高座時間を1人1人たっぷりとやっていこうと思っています。

三遊亭仁馬：我々さば弁はですね、さば弁という名前もそうなんですけど、背が低いという見た目もあってですね、可愛いと。自分で言うのもちょっと違うかもしれませんが。親しみやすさを押し出して、お客さんと密にコミュニケーションが取れるようなユニットだと思いますが、今年はどんどん新しいことをしていかなくちゃいけないといけないと思います。秋葉原で番外公演をやるんですが、それに美少女落語家を呼ぶんですね。その美少女落語家の正体はちょっとまだ言えないんですけど、それもお楽しみにしていただければと思っております。

春風亭昇りん：我々メガネちーむの特色としましては、神田明神さん以外でも毎月会をやっているんですね。そこで配信をやらせていただいておりまして、3年間やってきた蓄えがあります。この3チームの中で資金が多いということなので（笑）、それで何か面白いことをやっていきたいなと思います。いつもと違うな、今年は違うなということをやっていきたいと思います。

取材・文・撮影＝五月女菜穂