『シン・仮面ライダー』庵野秀明監督、次回作は「30数年ぶりに白紙の状態」 続編構想を熱く語った“大ヒット御礼”舞台挨拶
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庵野秀明監督
4月9日(日)、映画『シン・仮面ライダー』の“大ヒット御礼”舞台挨拶が東京・丸の内 TOEIで行われ、キャストの池松壮亮、浜辺美波、柄本佑、森山未來、メガホンをとった庵野秀明監督が登壇した。
『シン・仮面ライダー』は、『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』などで知られる庵野秀明氏を脚本・監督に迎えて制作されたオリジナル映画。『仮面ライダー50周年企画』のひとつとして企画されたものだ。1971年の『仮面ライダー』をベースとした本作では、本郷猛/仮面ライダーを池松壮亮が、緑川ルリ子を浜辺美波が、一文字隼人/仮面ライダー第2号を柄本佑が演じている。
舞台挨拶では、庵野監督がMCとして進行を務めることに。庵野監督は登壇すると「本日、司会進行を務めます、庵野秀明と申します、よろしくお願いします、キャストの皆さんどうぞ」と挨拶。案内を受け、池松、浜辺、柄本に加え、緑川イチロー/チョウオーグ/仮面ライダー第0号役の森山未來が登壇。
池松は「これまで見てくれた方、何度も足を運んでくださっている方が僕のまわりにもたくさんいました。たくさん愛していただき、ありがとうございます」、浜辺は「私のところにもこれまでとは違った深い感想が届いており、私自身も励まされております」、柄本は「今日は時間も限られるので短く伝えます。もっと見に来ても大丈夫ですよ笑」、森山は「他の3名と比べると、僕はそんなに現場にたくさん参加できたわけではなかったのですが、本当に濃厚な時間を過ごさせていただいたと思っております、仮面ライダーは老若男女 色んな方々に愛されていると思うのですが、こうしてまた愛していただけるのは素晴らしいことだと思います」と、それぞれに挨拶した。
池松壮亮
さっそく庵野監督から「現場どうでした?」と聞かれ、森山は、「2週間ぐらいの撮影期間だったのですが、とても濃かったです。そしてスーツが、めちゃめちゃ汗はかくけど、皮膚呼吸できない感じで、すぐに身体が冷えていくのが大変だったです」と話す。すると、庵野監督は、「マスクもギリギリで、見える部分も少ないし、呼吸も難しかったと思う。本当にどうもありがとうございました」と感謝を伝える。柄本が「衣装合わせの時に、監督が第2号のスーツのラインを1ミリ細くしたり、2ミリ太くしたりで、全然印象が違うっていうのをやられていたのですが、僕には全然わからなくて。でも出来上がったものを見ると非常にスタイリッシュになっており、これは格好良いものを目指していった形ですか?」と聞くと、庵野監督は、「50年前に元があるので、なるべくその印象を近づけたく、最後に登場するスーツもその幅にかなり拘りました。そこが肝なので」と回答。また、森山からの「オリジナルに対するリスペクトと、どういう風に更新するかのバランスって監督から見てどうでした?」との質問に、庵野監督は、「現場でも考えながら、ラッシュが上がった後に編集しながらも、どれだけ残して、どこまで削るかというのをずっとやっていました。50年前にも近づきすぎても面白くないし、離れすぎても面白くないし、初めて見た人があまり違和感を感じないよう、どうやって混ぜようかというのを最後の最後まで苦労しました」と、試行錯誤を明かした。
浜辺美波
森山の「仮面ライダーが立った瞬間に鳴る音が良いですよね」との言葉に、庵野監督は、「あの音は、他の音を新たに入れようとしたのですが、オリジナルの音に勝てなかったです」と制作時のエピソードを披露。柄本も「あの音がかかると、ちょっと高揚感ありますよね。初号試写もこの劇場で見たのですが、いちばん最初のライダー登場のとこ、本当に格好良かったです」と返し、池松も「あそこの音楽の残し方とアップデートの仕方は、格好良いと思いました」と明かした。これに、庵野監督は「最初のマスクを被ったカットには拘ったので、光線の当たり具合も含め、なるべく原典と同じにしようと思いました。撮影してラッシュを見て違ったらその都度撮り直していたので、リテイクがいちばん多いのがあのカットかもしれません。池松君のスケジュールがある限り撮り直していました」と、撮影の裏側を語った。
柄本佑
続いて、キャストから監督への逆質問のコーナーに。森山が「シン・エヴァも終わって、シン・を冠にしたヒーローシリーズも⼀段落して、この先の構想はありますか?」と聞くと、庵野監督は、「本当に次回作は決まっていないです。30数年ぶりに白紙の状態です」と回答。柄本からも「今はないとのことですが、この作品の続編の構想とかありますか?笑」と質問が飛ぶと、庵野監督は「企画は、これの脚本を書いている時からあり、最初に続編が可能なものにはしておこうと思っていました。現実的には白紙ですが、構想としては残っています。続編はもうタイトルも決めていて、仮面の世界と書いて、マスカーワールドと読む、石ノ森先生の原作を読んでいる方はすぐにピンと来ると思います。プロット的には、日本政府がSHOCKERのブレインという人工知能を開発して、政治家と官僚がSHOCKERに入って色々やろうと。それを仮面ライダー第2号が戦う。政府の男と情報機関の男は、政府よりなのでどうするかなど、そういう話も考えております」と、構想を明かす。すると、柄本は「何年後かに見られます。がんばります!」と意気込んでいた。
森山未來
浜辺からは、「本作の魅力はたくさんありますが、どこがいちばん魅了されているところですか?」との質問が。庵野監督は、「自分が監督しているので、全部としか言いようがないのですが、最初からやりたかったのはラストシーンでした。地元(山口県)で撮影して、最後のテイクを選んだのですが、脚本書いている時から、あそこでやろうと思っていました。大抵の映画でいちばん好きなのは、スタッフロールに切り替わる瞬間なので、そこには拘りました」と答えが。森山の「エンドロールで3曲流れましたが、選定理由はなんですか?」との質問に、庵野監督は「あれは自分の好きな曲を3つ入れようと思って選びました」と返答した。
加えて、池松が「公開4週目となりましたが、まわりの反応どうですか?」と聞くと、庵野監督は、「自分の周りの反応で面白いと思ったのは前の作品の時にまったくスルーだった友達が、ものすごい熱量でメールくれるんですよ。なので、3本とも違う所の人に引っかかるようになったのは、良かったと思っています。でも熱量がいちばんあるのは今回ですね」と答える。すすと、池松も「僕の周りでも本当に熱狂して、号泣したとか、言われます」と、嬉しそうに伝えていた。
さらに、柄本から「監督はお忍びで本作を見に行ったりしますか?」と聞かれると、庵野監督は「出来上がったら、もう見ないです。初号も見ていないです」とも。逆に浜辺は、「私はトータル3回見ています!まだもうちょっと行こうと思っています。次はグッズが売っている時間に行きたいと思っています。後、劇場でめちゃめちゃ嗚咽している人いて、嬉しかったです」と答えていた。
この日は、デザインを務める前田真宏氏が描く「仮面ライダー第0号」の特別イラストが初お披露目。森山は、「ありがたい、めちゃ嬉しいです!」とイラストを見た感想を明かすと、庵野監督は「本編のデザインが投影されていて、後から書いているので正確です。上手だよね、よく描けているよね。これは中々すごいです」と絶賛。最後に池松が、「お伝えすることは『映画を見てください。見ていただいてありがとうございます』、ということなのですが、これからもまだまだ上映は続きます。また是非会いに来てください。これからも応援よろしくお願いします。ありがとうございました」とアピール。庵野監督は、「本当に現場は大変だったので、こうして直接皆さんにお会いしてお礼を言えて良かったです。ありがとうございましたとしか言いようがないのですが、監督としては皆さんにご覧いただき、良い感想をいただいて、本当に作って良かったと思っています。今日はこうして直接お礼を言うことができて、本当に良かったです。今日は僕個人として心救われました、本日はありがとうございました」と想いを伝えて、深くお辞儀。こうしてイベントは幕を閉じた。
『シン・仮面ライダー』は公開中。