Survive Said The Prophet、フェイクじゃなく本当の想いを一つ一つ音にした「10年やってまだ本気でケンカできる環境を誇りに思う」

2023.6.7
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Survive Said The Prophet

――メンバーそれぞれの、「Paradox」に対する思いは?

Show:歌詞はYoshが書いてるんで、それに対してどういう思いを乗せるか。僕は英語がしゃべれると言えるほどの知識を持ってないから、どういう歌なの?って聞いてもわかんないところがけっこうあって、翻訳サイトとかに歌詞を入れて、どういうことを言ってるのか調べたりとか。

Tatsuya:自発的にね。

Show:「こういう曲だよ」ということは、Yoshは言ってくれるんですけど、この言葉はどういうことを言ってるんだろう?みたいなところは、いつも自分で考えてドラムのフレーズを組んでいくんですよ。でも今回は、そこにとらわれすぎて難解にしたくないという話があって、というのも、ライブができる状況になってきたから、ライブで映えるものにしたいということに今回はこだわって作りましたね。結果的にちょっと難解にはなっちゃったんですけど、歌詞と歌の譜割りに合わせてやると、どうしても複雑になっちゃうんで。元々自分が培ってきたものがそれで、あんまりライブ映えとかは気にしてこなかったのを、今回はすごく考えて、その間の折衷案をすごい考えた曲ですね。僕のパートの話で言うと。

――複雑というよりはスリリングな展開だと思います。どんどん風景が変わっていくような。

Show:それは歌がそうだったからで、ドラムも当然そこに寄っていかないといけないので。やっぱり一番聴かれるのって歌じゃないですか。歌がある曲は。だから歌を邪魔するフレーズは嫌いで、自分が目立つフレーズを叩きたい気持ちはわかるんですけど、「そこじゃないでしょ」ということは常に思って叩いてます。

――Ivanさんは?

Ivan:普段はだいたいリズムをやらせてもらうんですけど、今回は僕がリードを弾いていて、しかもこの曲で初めて8弦のギターを使ったんですね。8弦を使っているからといって、ずっとズンズンズン!っていう使い方よりも、新しい使い方というか、レンジ感をどういうふうにいい感じに出せるかな?というところを探ってやってみましたね。それがこの曲に対して、個人的に一番新しいチャレンジをしたところです。歌詞はYoshが全部やってるから、自分は曲を支える部分だったり、そこの枠の中のクリエイティヴィティを出していくかというところで、あえてそういう選択をしてみましたね。

Show

――8弦ギターって、低音域が増えていくんですよね。

Ivan:ローが2本増えてます。僕はIbanezさんにスポンサードしてもらってて、担当の方とも仲良くしてもらってて、新しいアルバムとか新しいツアーのたびに相談してるんですけど。6弦はドロップA#のチューニングが基本なんですけど、その上で何か新しいことないかな?と思って相談したら、「8弦、いいんじゃない?」ってお勧めされて、そこから導入して、いろいろ試しみて。言ったら、鉛筆で絵を描くのと、ボールペンで絵を描くのとは違うじゃないですか。筆が変わると全然違うものが出てくるので、いろいろ試して、自分の今まで見つけてないところを見つけていくというのが、僕の個人的なクリエイティブプロセスで、そういうところで「この曲には8弦が合うんじゃないか?」と。

Yosh:僕が声が高いんで、ギターのロー感がライブでは一番大事だと思うんですね。そういう意味でいろいろ考えてくれて、ギターがツアーごとに増えていくんですけど、それの中で最近思いついたのがそれで、感覚的にはピアノにオクターブを足す感覚ですね。同じコードを弾いてるんだけど、さらにドラマチックに両サイドに行けるようにっていう使い方だと思います。

Ivan:あと、5人から4人になったタイミングで、ベースが抜けると、じゃあリズムギターとして何をすれば抜けた部分をカバーできるのか?という発想から出たコンセプトでもあったんですね。まあ単純に、新しい機材にワクワクするだけの馬鹿っていうところもあるんですけど(笑)。

Yosh:でもそれって重要だよね。同じ6弦を触ってても同じものしか出てこないからって、率先していろんな楽器を試すのって、歌詞を書いてデモを作る人間からすると、「これは確かに考えてなかったわ」とか、キャッチボールができるのが一番大事なんで。そういう面では完璧なムーヴだと思いますね。

――「Paradox」は基本英語詞ですけど、後半のクライマックスで突然日本語になって。歌というか、シャウトというか、叫びというか、すごい展開になっていくんですけど、あれはどういう発想で?

Yosh:(アニメのストーリーと)自分を照らし合わせた中で、歌詞的に出てくる部分があって、この中で言うとそれが間違いなく日本語の部分で、アニメとすごくいい感じでマッチングしたという結果がすべてだとは思うんですけど。僕的には、本当にナチュラルに出て来たつもりではあるんですよね。言いたいことを言いたいように言ったという部分があって、それが身内も外受けも含めて、すごいメッセージがあると思っていて。メインキャラクターが進む道を探しているストーリーの中で、見つけるポイントというものがあると思うんですけど、この曲を通して自分たちも進んでいくという、それの探し方でもあったんじゃないかなって、今話しながら思ったりしています。

――あそこは何回聴いてもドキッとします。「一歩ずつ進んでいくんだ」という、気迫がすごすぎて。

Yosh:ありがとうございます。伝わったということが一番嬉しいですね。自分の気持ちを言ってても、伝わらなかったら独り言になるんで。それがさらに、自分が不得意な日本語というパートに入れて、それが一番伝わりやすいポイントになり、人がパッと聴いた時に一番キャッチーでいる部分になったというのは、ナチュラルに出来て良かったなと思います。

Ivan

――アニメで曲を知った人は、音源で最後までしっかり聴いてほしいです。そしてもう1曲、カップリングの「Find You」は、アレですよね。「Paper Sky」がオープニングテーマに使われた、去年のアニメの…。

Yosh:そうです。TVアニメ『東京24区』の挿入歌です。

Tatsuya:放送は去年で、すぐに出さなかったという(笑)。アルバムにも入らなかったし。

――これはアニメに向けて書き下ろした曲だったんですよね。

Yosh:「Find You」に関しては完全にそうだったんですけど、そのタイミングで『Hateful Failures』のアルバムが出てて、そこに入ってる最後の曲(「Prayer」)にフォーカスしてほしかったんですよ。バラード的には。だからすぐには出さず、ちょっとお預けにして、「あの曲どこ行った?」って思わせるのもいいんじゃないかという感じで。

Tatsuya:その時はもうアルバムが出来上がってたんで、ここに1曲プラスするのは難しいだろうと。

Yosh:二つのバラードはくどいかな?というところで、どっちも大切にしてほしいから、出すタイミングを考えたということですね。

――ピアノと弦のロックバラードで、これも、とても前向きなメッセージだと思います。未来へ向けての。

Yosh:TVアニメ『東京24区』のテーマ自体があった中で、書かせていただいてはいるんですけど。「Find You」というのは、(Find=見つけるのが)人間になる可能性もあるけど、「いつか希望を見つけるんだ」でもいいし、そういう見方は自分の中にはあって。何かを見つけるという行為、アクションが大事だよねという、「前向きで行こうよ」という部分はありますね。

――みなさんぜひカップリングもチェックしてください。さらに、アコースティックバージョンも入るんですよね。通常盤CDには「Paradox」のアコースティック、そして期間限定盤には「Mkanjyo」のアコースティック。

Yosh:せっかく『ヴィンランド・サガ』で2クールやらせていただいたので、そこをエンジョイしてもらうという中で、入れることになりました。去年のアルバムが出る前に『something RAW -Acoustic Tour-』をやらせてもらって、アコースティックが自分たちの強みであることがわかったので、それをそのまま提供できたと思ってます。

――アコースティックって、メロディが良くないと成り立たないですから。サバプロはラウドロックのカテゴリーだとは思いますけど、こうして聴くとメロディの良さがすごくよくわかる。

Yosh:そこは意識してやっているところはあるので。メタル好きもそうですけど、いろんなジャンル好きが足を運んでいただけることが、音楽の正解だと思うので。ベタかもしれないですけど、ジャンルにとらわれすぎず、余裕があったら「こういうやり方もあるから聴いてみて」ってみんなに言いたいですね。あとアコースティックに関しては、Showがシシド・カフカさんとel tempoっていうパーカッションユニットをやっているということも、すごくいい影響があって、アコースティックのボリュームコントロールと、伝え方がさらにレベルアップしたなと感じてます。

――el tempoは、パラリンピックの閉会式に出ましたよね。2021年の。

Yosh:そうそう。その年、一番ビッグムーヴしてたのがShowでしたね(笑)。俺、カメラ持って構えてましたもん。ヤベー!って。だってオリンピック、パラリンピックですよ。ヤバくないですか。

――結成12年で、個々としても、バンドとしても、新しいことにどんどんチャレンジしてるサバプロ。頼もしいです。そしてリリース後は、7月1日からライブハウスを回る長いツアーが始まります。どんな気持ちで臨みますか。

Yosh:今までの自分たちのキャリアを経て、アットホームな距離感で、僕たちの壮大なライブを味わえることは間違いないので。特に「はじめまして」の方々は、怖がらずに来てほしいですね。(コロナ規制が)緩和されたとはいえ、僕たちのやり方とみんなのやり方とは違う面があるので、それを楽しみに来てもらえたら、いい思い出になるし、僕たちも新しい人たちと出会えることによって音楽が進化していく、オーディエンスとのケミストリーを感じられるツアーに仕上げるので、みなさん足を運んでほしいです。お願いします。


取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

Survive Said The Prophet


 

リリース情報

Paradox
5月17日(水)リリース
[期間生産限定盤]
SRCL-12478~12479 ¥1,760(税込)
<CD>
01.Paradox
02.Mukanjyo -Acoustic-
03.Paradox –Instrumental-
04.Paradox -TV Edit-
<Blu-ray>
VINLAND SAGA SEASON 2 Non Credit Opening Movie
 
[通常盤]
SRCL-12477 ¥1,100(税込)
<CD>
01.Paradox
02.Find You
03.Paradox -Acoustic-

ツアー情報

TOUR 2023 "MAKE / BREAK YOURSELF"
7月1日(土)F.A.D YOKOHAMA
7月7日(金)LIVE ROXY SHIZUOKA
7月8日(土)mito LIGHT HOUSE
7月28日(金)千葉LOOK
7月29日(土)HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2
8月25日(金)北海道 帯広 MEGA STONE
8月26日(土)北海道 札幌 PENNY LANE24
10月9日(月・祝)岩手 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
10月10日(火)宮城 仙台darwin
10月13日(金)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
10月19日(木)福岡BEAT STATION
10月28日(土)島根 出雲APOLLO
10月29日(日)広島LIVE VANQUISH
11月1日(水)大阪 心斎橋BIGCAT
11月3日(金・祝)名古屋Electric Lady Land
11月8日(水)SHIBUYA CLUB QUATTRO
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