エレキコミック(やついいちろう、今立進)にインタビュー~第33回発表会『鮎』で「夏を感じてもらえれば」
エレキコミック やついいちろう、今立進 (撮影:五月女菜穂)
お笑いコンビのエレキコミックによる第33回発表会『鮎』が、2023年7月21日(金)~7月23日(日)、東京・本多劇場にて上演される。今回はどんな展開となるのか。「YATSUI FESTIVAL! 2023」を無事に終えたやついいちろうと、相方の今立進に話しを聞いた。
『鮎』のチラシ
■「旬」を楽しんで
ーー やついさん、「やついフェス」お疲れ様でした! 次は単独ライブ……もとい「発表会」ですね。今度はどんな舞台を期待できそうですか?
やついいちろう(以下、やつい) 旬な足の早いネタになるでしょうねぇ。その時期に面白いものをお出しするという感じですねぇ。その瞬間、その時だけ楽しめるような感じというか。いつもの通り、何も残らないものになると思います。
今立進(以下、今立) まだまだなんですけどね。ネタはこれからつくるので……。
ーー タイトルは『鮎』。どこから着想を得たのですか?
やつい 夏だから。夏の旬のものだから。夏を感じてもらえればと思います。
ーー 鮎に関するネタが見られる?
やつい やるかもしんないですね。毎回タイトルのネタはやるので、鮎っぽいものはやると思います。
今立 鮎っぽいネタって何(笑)。
ーー タイトルは割とスッと出てきたのですか?
やつい そうですねぇ。
今立 僕は彼に任せているので。
やつい 正直、なんでもいいんですよねぇ。これといったテーマがあるわけじゃないから。ただただ新作が作りたいだけだから。
ーー 今回ももちろん全部新作だと思います。33回目の発表会ですが、33回目の感慨みたいなものはありますか?
やつい うーん、人生で50回できるかなぁ?
今立 年1回のペースだったら、あと17年。
やつい まあ、いつ終わるか分からないけどね。感慨深いなぁ〜と思えるところまで行きたいですよねぇ。
今立 そうね……だから特に今回感慨深さは……ゾロ目だなぁというぐらいです(笑)。
ーー そもそも「発表会」という名称も「友達感覚で来られるように」という意味でつけたそうですね?
やつい そうです、そうです。初めて聞く人にとっては意味が分からないと思うので、自分では「新作コントライブ」と書くことも多いのですが、ここまで来たら今更変えられません(笑)。ま、とにかく気楽に来てほしいという思いでつけました。親戚の子たちがコントやっているイメージで。
今立 そうね、お客さんも身内になっていただけるとありがたいですね。そうすると、ハードルも下がりますから(笑)。
ーー 「旬なネタ」ということですが、だいだいどれぐらいに出来上がるものなんですか?
やつい やついフェス(6月17日・18日)が終わると、そこからすぐにネタを作りはじめます。
ーー 毎月ちょこちょこ作っていくのではなく、集中的にそこで作るんですね!
やつい そうです。
ーー では本当に旬なネタなんですね。今年はいろいろありましたから、どんなネタが出てくるのか……。
やつい え? ありましたか?(笑)。まぁ、でもコロナが明けたので、そういう意味では楽しみです。久しぶりに元の感じになるのかなと思っています。遠慮なく笑ってもらえるし、声も出してもらえるし……。
今立 マスクもね、別に強制でもないですからね。
やつい そうそう。お客さんの気持ちがね、明るくなってくれたらいいですよねぇ。
『鮎』を表現しているエレキコミックの2人
ーー 発表会では新作をやられる以外に、何かこだわっているポイントはありますか?
やつい うーん……こだわりはあまりないんですけど、まあ、尺とか考えないで自由にできるところかな。尺なんて考えたことがないですねぇ(笑)。
今立 そうね(笑)。
やつい 2分とか3分とか、そういうのを考えたことないかもしれないですねぇ。
ーー 盛り上がると長くなっていきますよね(笑)。
やつい そうそう。それに毎回違う感じになるからねぇ。
今立 ネタは日々変わっていくんですよね。ウケたところを厚くやったりしてね(笑)。
やつい ぜひ変化を楽しんでもらえればいいですよねぇ。
今立 何なら毎公演来ていただいて、見比べてほしいぐらいですよ。
やつい お客さんには、稚鮎から鮎になるまで見届けてほしい。
今立 最初は卵かもしれないですけどね?
やつい 今現在はね。でも、最終的に出荷できればいいんですよ。初日には出荷させますから。でも出荷後に鮎の体がどんどん大きくなっていく可能性はあります。
今立 いい感じに焼き上がってね、おいしく食べていただきたいですね。
ーー 楽しみにしています(笑)。ちなみに普段、ネタはどういう風に作られるんですか?
やつい 僕が一旦作って、合わせて、そしてまた増やしての繰り返しです。
今立 僕が入るのは本番2週間前ぐらい。そこで一気にやっていきます。
やつい ギリギリまで、ああでもないこうでもないとやっています。
今立 結構バタバタやっています。なんなら本番当日もやっていますからね。
ーー 当日まで!
やつい 劇場入りしても、ネタが全部できていないことはありました。
今立 普通はなかなかないことですよね(笑)。
やつい 舞台セットだけ発注しておいて、内容ができていないというねぇ(笑)。
今立 ポジティブに考えれば、このセットで何ができるか考えられたという(笑)。
やつい なんとかなりましたけど、まあ、ちょっとしんどかったですね(笑)。最後までこだわっちゃったのが良くなかったかもなぁ。
今立 振り返るといい思い出みたいになっちゃってます。乗り切ったね! 頑張ったね! みたいな(笑)。でもまぁ、なるべく早め早めに動いていきたいですね。
やつい 本多劇場での公演というと、前回の打ち上げのときにみんなで食あたりした記憶が強くて。
今立 俺だけアタらなかったんだよね。
やつい なんか、しじみの紹興酒漬け食べてさ。
今立 名店の銘品という感じで、うまいんですけどね。
やつい 「下北沢」「本多劇場」というと、その一件ばかりが思い出されます(笑)。
■「自分たちが面白いと思っているものが変わらないのかも」
ーー 長年お笑いをやり続けて来られたお二人。芸風は特に変わっていないように見受けられますが、ご自身の中で何か変わったなぁと感じる点はございますか?
やつい いやぁ、正直あまり変わんないですねぇ。
ーー (大学の)落研時代から変わらない?
やつい うん、変わらない。
今立 コントをやって、映像があってという構成自体も変わってないですからね。
ーー その変わらない理由は何なのでしょう?
やつい 自分たちが面白いと思っていることがそんなに変わっていないのかもしれないですねぇ。でも、いまだにネタを作っていると、自分の中でも発見があって。それがまた楽しみだったりするんですよねぇ。
ーー 過去作を振り返っても、何か発見がありますか?
やつい いや、過去作は振り返ったことがないんですけど、新しいネタを作ったときに「あ、こういう風な笑いもできた」と感じることがあって。純粋に面白いなと思うものを変わらず作っているんですけど、その中に今までにない形のネタが1本ぐらいできたりして。そういう小さな変化や気づきはありますねぇ。
今立 うんうん。でも大枠は変わらないですよね。アラフィフですけど、いまだに学ラン着ていますからね(笑)。
ーー お互いに対してはどうですか? 何か変わったなぁと感じることございますか?
今立 結婚したりもしましたけどね。
やつい でも関係性は変わってないですよねぇ。
今立 うん、変わらず一つ上の“やつい先輩”ですよ。
ーー 発表会を長年やってこられて、やってきてよかったなと感じる瞬間はどんなときですか?
やつい やっぱり、ネタがウケたときかな。お客さんが笑っているのが一番ですよ。
今立 そうね。そこが一番ですよね。お笑いをやっている意味ですよね。
ーー 往年のファンも多いですよね。
今立 ええ、ありがたいことに。結婚されたり、子どもができたりした方も多いですけど、また発表会を見に帰ってきてほしいですね。……あっ今回は川に! 川に帰ってきてください! 僕たちを釣りに来てください!
やつい 20年以上やっているので、親子二代で観に来てくれる方もいらっしゃいますからねぇ。
今立 メールマガジンとかオフ会とかでコミュニケーションをとる機会があって、顔見知りのファンの方々は何人かいるんですよ。
■「50回目指していきましょうよ」
ーー 今のお笑い界に物申したいことが何かあればぜひ!
やつい 物申したいこと……え、あっちゃん(※中田敦彦)みたいなこと?(笑)。いや、特にないですけどねぇ。お笑い界のこと、あんまり考えていないのかもしれないですねぇ。
今立 そうですね。
やつい 考えてる人はやっぱり提言するじゃないですか。僕らは考えてないから、何の提言も浮かんでこないです。
今立 手一杯ですもん、自分らのことでね。
やつい みんなすごいですよねぇ、大きい未来を考えてねぇ。
今立 協会に入ってるわけでもないし、誰か師匠がいるわけでもないし、なかなか独自の形でやっているんでね。
やつい 若い頃は周りを気にしていたときもあったと思うんですけど、気にしなくなったら本当に気にならなくなっちゃったし、何も考えなくなっちゃいましたよねぇ。
今立 お笑い界と繋がってるかも分からないですもんね(笑)。
やつい だから時々、一年目の人たちとか見てると、面白いですよねぇ。
今立 本当にしっかりしてますよね。ネタもちゃんと起承転結があるしね。
やつい むしろ僕らが一番フレッシュな感じがしますねぇ。
今立 ギャーギャー言ってね(笑)。
やつい このまま素人で終われればと思っています。「最後までずっと素人だったね、あの人たち」と言われて終わったらいいかな。
今立 50回目、目指していきましょうよ。
やつい あと17年……65歳ですよ。もう年金もらっている年齢ですよ。
今立 そのときも学ランを着ているんですかね(笑)。
やつい 分からない。でもそのときが完成するときなんじゃないかなぁ。
今立 まだまだ道半ば、ですな。
ーー では最後に読者の皆さまに一言お願いします!
今立 いろいろな人に来てほしいですね。
やつい まぁ、興味がなければ来ないでしょうけどねぇ(笑)。
今立 この記事を読んだら本当に来てください! 初見でも笑えるネタなので!
やつい うんうん。「生ならでは」にこだわって作っているので、ぜひ「生」で観ていただきたいですねぇ。
取材・文・写真撮影=五月女菜穂
公演情報
■日時:
2023年7月21日(金)19時開演
2023年7月22日(土)14時開演/18時開演
2023年7月23日(日)14時開演
※開場時間は開演の30分前
※全公演アフタートーク付き
■会場:本多劇場
■:イープラス https://eplus.jp/elec にて販売中
■料金:全席指定 かぶりつき席6,500円(特典付き) 一般席5,600円 学生割引3,000円(要学生証の提示)
■問い合わせ:トゥインクル・コーポレーション 03-5468-0606
■共催:一般社団法人 福島市観光コンベンション協会
■主催:トゥインクル・コーポレーション
■配信公演:2023年7月23日(日)14:00の回
■配信期間:2023年7月23日(日)14:00~7月30日(日)23:59
■視聴券:https://eplus.jp/sf/detail/0127650001-P0030076P021001 にて販売中
■料金:2,800円