「スター・ウォーズ」を観た人は絶対に来るように（喰）。3年ぶりに復活！　WAHAHA本舗全体公演 出演者インタビュー

　2013年のワハハ本舗全体公演「ラスト」でワハハの全体公演は最後と思われていたが、実はこの「ラスト」、3部作のシリーズものだった（!!）　そしてこのシリーズ第2作目となる「ラスト2」が2016年に上演することが決定。サブタイトル～New Hope 新たなる希望～が示す通り、新人メンバーも多数参加、さらにパワーアップしたワハハのエンターテインメント・ショーが繰り広げられる！　イープラスでは、主宰で演出家の喰始、そして柴田理恵、久本雅美、大久保ノブオの4名に今作への思いをきいた。
 

――約３年振りの復活となる全体公演ですが、この公演が決まった率直な感想からお聞かせください。
 

大久保　元々、僕は全体公演が好きでWAHAHAに入ったぐらいなので、一度終わってしまったことが寂しかったんです。なので、この舞台にまた立てることは嬉しいですね。

久本　街でもファンの方から「WAHAHAやらないんですか!?」とか「いつやるんですか!?」とか言われてて、まだ決まってない時は「まー、そのー、いやー、まー、そのうち…」ってごまかしてたんですよ。でも、今は「来年やりますよ！」ってキチッと言えるし、喜んでくださる方がいっぱいいらっしゃるので、そのことに感動と感謝の思いがいっぱいですね。さっきも（本公演用の）ポスター撮りをやって、久しぶりにみんなとワイワイガヤガヤしながら「いよいよ始まるね！」なんつって、うれしかったねぇ。

――懐かしさすら感じるような？
 

久本　そうなんです！　懐かしいし、「いよいよ始まるな！」っていう喜びがね。

柴田　もちろん、ちょっと休んでた間もみんなそれぞれいろんな舞台をやってきてるんですけど、「やっぱりこれをやんねぇとなぁ！」みたいな気持ちで盛り上がってます。
 

――長い夏休みが明ける感じですね。「早く学校の友だちに会いたい！」みたいな。
 

久本　いいこと言うねぇ！

柴田　２学期はけっこう盛り上がるんですよね！　運動会やったり学園祭やったり！

大久保　そうそう、それ！　そういう感じ（笑）

久本　横で渋い顔して校長先生（喰）が「なーに浮かれてんだ」って顔してますけど（笑）。
 

喰　正直なことを言うと、前回は「ラスト」っていうタイトルをつけたから、僕はそこでお休みして、「これからもやりたいなら演出家連れて来い！」って思ってたんですよ。だけど、公演が終わった後、僕はいつもロビーでパンフレットを買ってくれた人にサインをするんですけど、みんなからの「いつやるんですか？」「本当に終わりじゃないですよね？」っていう声がすごくて。それで「この声援はもうちょっと体験したいなぁ」って思って、「ラスト」が終わる頃に「3部作でやる！」って決めたんですよ。だけど、止めると言ってる以上、そんなすぐにまたやったら嘘つきになっちゃうから３年間はお休みをいただこうと。ただ、本気で自分の年齢も考えて、今ある全体公演の形は来年の「２」と再来年の「３」で打ち止めにしますと。だから、WAHAHA本舗はなくなるわけではないんだけども、本当に「２」と「３」を観ておかないと手遅れになりますよ！…って今度こそ本気で言います（笑）。
 

――「３」が終わりに近づいた時に、また「いや、やっぱり…！」ってならないですか？
 

久本　それは分からないよねぇ。

柴田　大阪の靴屋さんみたいなもんでさぁ。

久本　「もうあかん、止めます～」って言って、20年も経ってますから（笑）。
 

喰　でも、体力的にはみんないい年ですからね（笑）。

久本　だから新しいメンバーを入れて、みんなに動き回ってもらって、最後にうちらがオイシイところで出ていく（笑）。

大久保　笑いだけかっさらってね。

久本　まあ、そんなことはないけど（笑）。でも、新しいメンバーが加わったことは大きいよねぇ。
 

――昨年、若手集団「大江戸ワハハ本舗・娯楽座」が誕生したことは大きいですか？
 

久本　まだ一緒にはやってないし、正直言って名前も顔も分からない人がいっぱいいるんですけど、ニューメンバーの息吹っていうのは大きいと思います。

喰　若い連中と付き合ってると、「まだまだ負けてられない！」ってものすごく気持ちが若くなる。肉体は年老いていくんだけど、気持ちは若返る。

柴田　大事大事。こないだ、新メンバーと私と久本で飲み会やったんですけど、やっぱり若返るよね。楽しかったよね？

久本　楽しかったね！
 

――今回、「New Hope 新たなる希望」という副題が付いてますが、娯楽座のみなさんが大事な役割を担うことになりそうですね。そもそも、どうやって娯楽座は誕生したんですか？


喰　前回は「ラスト」っていうぐらいなので、実際に何人か辞めていったんですよ。それで、新しい人間を入れなきゃいけないと思ってる時に、浅草で舞台をやる新しい劇団を作らないかっていう話がちょうどよくあったので、上手い具合に動いた感じですね。

 

柴田　この１年の間に若手の人たちも苦労してるからか、チームワークがよくて、自分たちも刺激されるんですよ。

久本　多分、若い子たちも緊張してると思います。WAHAHA本舗の全体公演には出たことがないし。いよいよ先輩たちと一緒に大舞台に立てるっていう緊張感がとってもいいと思う。

喰　あと、「ラスト2」にはかなり大きなサプライズがありますのでお楽しみに。「『ラスト』…そうね、『ラスト』だったんだ」っていうサプライズが控えております。意味深でしょ？　まだ発表できないんです（笑）。
 

――あと、今回は出演者が42人もいるということで、かなりの意気込みを感じます。
 

喰　今までで最多ですよ。

久本　でもさぁ、「ラスト」で一度締めてて、また今回バン！って出るときに５人だったら寂しいよねぇ（笑）。

一同　（笑）

柴田　そうだよねぇ（笑）。

久本　創立メンバーだけかい！って（笑）。今回、お客さんの期待感も半端ないと思うよね。だから前回を超えたものを作りたいし、３年振りだしなおのことドーン！といかないと。
 

――ネタのアイデア出しはみなさんでやるそうですね。
 

喰　僕が募集するんですよ。「いっこ採用されたら千円だよ」って（笑）。

大久保　一食分ですね（笑）。

久本　みんなでワイワイやりながら、最終的には喰さんがそのアイデアを膨らませたり削ったり、あるいはプラスアルファでまた違うアイデアを持ってこられたりして。WAHAHA本舗イコール喰ワールドですから。
 

――今回、東京の会場が国際フォーラムCホールということで、1500人という大会場です。
 

久本　出入り禁止になりそうだなぁ。

柴田　もう既にいろんなところ出入り禁止になってますんでね（笑）。


――それだけのお客さんと共に舞台を作り上げるという。
 

久本　やりましょう。1,500人を巻き添えにしてWAHAHA本舗ワールドをね。WAHAHAは２階があろうが３階があろうが走り回りますから。

大久保　必ず誰かが行きます。

柴田　若手入れてよかったよね。
 

――ところで、WAHAHA本舗ももう33年目ということで。
 

久本　そんなになるの!?　早いな～。

喰　それだけ年をとったということですよ。

柴田　３年で終わると思ってたのに。
 

――創立メンバーとしてはどうですか？
 

久本　誰かが病気で入院してるとか、亡くなってるとか、あり得る年代じゃないですか。だから、舞台に元気に立ててること自体が感謝だし、幸せですね。こうやってまた舞台に立てることはうれしいよね。また、お客様も世代を超えて来てくれるので、それもありがたいですよねぇ！　お客様の年齢層は高くなってるけども、お子様を連れてきたりしてくれるので、そういうのが嬉しいですね。

喰　孫、お父さん、おじいちゃんっていう３世代が一緒に来るとすごいうれしいよね！

柴田　昔は若い子が中心だったから、たまに「お母さん連れて来ました！」っていうのがあったんですよ。でも最近はお母さんが中心になって、「娘連れて来ました」「おじいちゃん連れて来ました」「孫連れてきました」ってなってるからうれしいよねぇ。
 

――喰さんはWAHAHAの立ち上げのためにへそくりを全額投入したそうですね。
 

喰　へそくりっていうほどの額ではないんですけども（笑）。でも、自分たちで劇団を作るって何が起きるかわからないし、自分は責任者だから「覚悟しなきゃいけないなぁ」と思ってました。だから、お金が続かなくなったら借りてる部屋を解約して、稽古場にこっそり寝泊まりしようかな、とかそういうことを考えてましたね。

久本　200万ですよね。

柴田　稽古場を借りるときの保証金とか家賃とか用のね。

久本　ドンと目の前に200万積まれた時に全員が思ったのは、「これ持って逃げよう！」でしたからね（笑）。

柴田　そうそうそう（笑）！　 初めてあんなお金見たもんね！
 

久本　貧乏で売れてないからさぁ。でも、それは喰さんの心意気ですよね。「一緒に遊ぼう！」って。あとは、「貧乏はしょうがないけど、貧乏くさいのは嫌だ」って。

喰　そう、その通り。精神が貧乏になってしまうと作るものも貧乏になるから、「せめてお金の部分は俺が何とかする。だから、貧乏くさくなるのだけはやめてくれ」って。

久本　WAHAHAの稽古場は青山にあるじゃないですか。あそこに決まる前、私たちもいろんな物件を見に行ってて。

柴田　そんな時に青山の物件を見つけてきて。

久本　そこで喰さんが間髪入れずに「青山だ！」「ええ～!?　いいんですか～!?」って。
 

柴田　地下なんだけど、広かったからね。

大久保　その話、初めて聞きました。僕らはそこに途中から参加させてもらって19年経ちましたけど、最近縁を感じますよね。先輩方とこうやって出会ったのも縁だし、若い子が入ってくるのも縁だし。そういうのは大事にしたいなってこの3年間で改めて思ってますね。

柴田　たしかに縁だよね。だって、親よりも長く付き合ってたりもするからね。
 

――では、最後にお誘いの言葉をお願いします。
 

大久保　３年間お待たせした分、すごいエネルギーで最高の舞台を見せたいと思うので、ぜひいらしてください。よろしくお願いします！
 

久本　いよいよWAHAHAが３年ぶりに戻ってまいりますので、私たちのやりたいこと言いたいことをドーン！とぶつけます！　見！な！い！と！損！す！る！か！ら！　よろしくお願いします！
 

柴田　WAHAHAの芝居はヨソにはないですから！　ここでしか見れない私たちと遊びに来てください！　絶対おもしろいですから、見ないと後悔しますよ！
 

喰　「スター・ウォーズ」の新作は12月公開、WAHAHA本舗の新作は来年の５月。「スター・ウォーズ」を観た人は絶対に来るように。３部作の意味がわかりますから（笑）。
 

――それもヒントになってるんですね！　話を聞いてるだけでワクワクしてきます。
 

久本　まだ何にも決まってないですよ！
 

――そう！　具体的な内容をうかがってるわけじゃないのに、みなさんのテンションに触れてるだけでアガってきます。
 

久本　あ～、うれしい！　まあ、うちらも今日久しぶりに集まってるからうれしいんですよ。

大久保　それは本当にありますね。

柴田　このままバァ～っと飲みに行きたいよね！



[取材・文＝ 阿刀 “DA” 大志]