橋本祥平、梅津瑞樹ら1日限定のプレ公演『伝説のリトルバスケットボール団』、半年後の本公演に向けて始動(キャストコメントあり)
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ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』ゲネプロ写真 撮影=松本裕美
ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』は、韓国で大絶賛されたミュージカル作品。高校生たちのリトルバスケをテーマに、笑って泣けるストーリーと美しく心躍る音楽が魅力の本作。これより約半年後の2024年2月15日(木)〜25日(日)に東京、3月2日(土)〜3日(日)に大阪にて上演予定の本公演を前に、7月27日(木)にタワーホール船堀にて1日限りの『プレ公演』が行われた。今回の記事はゲネプロ公演を見た記者が、感動した見どころポイントを3つ挙げて紹介する。
スヒョン役 橋本祥平
見どころポイントその1「キャスト」
主人公のいじめられっ子高校生・スヒョンを演じるのは橋本祥平。3人の幽霊たちやバスケットボールとの出会いで、捨てようと思っていた彼の人生は変化していく。
ダイン役 梅津瑞樹
また、数学が得意なダイン(梅津瑞樹)、バスケットボールが得意なスンウ(糸川耀士郎)、ムードメーカーなジフン(吉高志音)ら3人は成仏できていない幽霊という役柄。暗くて陰湿な幽霊ではなく、明るくひょうきんな性格の高校生としての印象が強い。3人の姿が見えるスヒョンに「願いを叶えてくれ」と交渉し、たまに憑依して周囲を驚かせることに。
スンウ役 糸川耀士郎
さらに、弱小バスケットボールチームに所属している、他人に興味がないサンテ(太田将熙)。スンウが憑依したスヒョンとの対決で彼の心も動き始める。そしてそのコーチ・ジョンウ(平野良)は情熱はあるものの多少くすぶっているようで……。
ジフン役 吉高志音
殺陣やアクションを、映像的に魅せる能力を必要とする2.5次元舞台に多く参加している6人のキャスト陣は、身体の使い方も超一流。バスケットボールなど激しい運動の動きが入ったダンス、そして心の高ぶりから喉を震わせる歌唱、どれをとっても素晴らしく、すんなりと物語に入っていける。さらにキャスト6名は、上記以外にも何人かの役を兼ねて何度も舞台に登場する。
見どころポイントその2「泣けるストーリー」
サンテ役 太田将熙
私たちに馴染み深いスポーツのひとつでもあるバスケットボール。今年は国民的大人気映画『スラムダンク』の上映もあり、バスケットボールへの熱が高まっている。そしてこのスポーツは「学生時代」や「青春」の強烈なイメージが存在する。そんなアツくて眩しい青空を思わせる学生の青春とは真逆に、スヒョンは「死んでしまいたい」と思うくらい追い詰められていた。そんな時に出会った3人の幽霊たちに翻弄されながら、バスケットボールというチーム競技に打ち込むこととなり……。
くすっと笑えるコミカルなシーンや楽しくなる音楽・振付があり、スポ根要素ともいえる、手に汗握る練習風景や試合が繰り広げられ、「チームの絆」や「スポーツは良いものだ」と思わせてくれる。
ジョンウ役 平野良
新鮮に物語を味わってほしいため、ネタバレとなる部分の明言はしないが「3人の幽霊たちの真実」、「スヒョンとチームメイト」……これらが語られる時、溢れる涙を押さえることは出来なかった。登場人物が少なくストーリー把握も難しくないので、予習せずに初見で見ても全く問題のない作品ではあるが、タオルを忘れずに持っていくことをオススメする。
見どころポイントその3「生バンド」
感情の波をさらに大きいものにしてくれるのが音楽だ。今回は舞台の上、セット後ろから4人の出演者が生バンドで演奏を奏でている。役者の生の演技に合わせて音楽も生で演奏しており、なんとも贅沢な空間になっている。生きた演劇に、生きた音を味わえる、なかなか珍しいおもしろい試みだ。
本公演を前に数回のみ行う「プレビュー公演」という形態は比較的珍しいが、海外の舞台ではよくあることだそうだ。まずは本作をより多くの人に知ってもらうための公演とのこと。プレビュー公演は、
梅津瑞樹「脇や生足を出す衣装は今後ないかも」
ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』ゲネプロ写真
――本作の見どころをお願いします。
スヒョン役 橋本祥平:안녕하세요 (アンニョンハセヨ)。キャストが6人しかおりません。出ていないシーンは後ろでばたばた着替えて、すぐ舞台に出て行って。そんな約2時間をキャストは常にフルで動いている状態です。僕たちはバスケ経験者だけではなく初心者もおり、稽古が始まる前から事前練習としてバスケと向き合ってきました。その成果を届けられたらと思います。スポ根ならではの爽快感のある作品です。
ダイン役 梅津瑞樹:안녕하세요 (アンニョンハセヨ)。僕ら幽霊組は10代で亡くなっているという設定があります。僕は年齢が30歳。こうして脇や生足を出す衣装を着ることは今後はあまりないかもしれません。でも心から10代に戻って駆けずり回ります。最終的にはかなり切ないです。当時10代の頃の友達が「今はどうしているかな」と思い出すくらい、良い物語です。ぜひ楽しみにしていただければと思います。
スンウ役 糸川耀士郎:사랑해요(サランヘヨ)。キャストの人数は少ないのですが、個性豊かなキャラクターがたくさん出てきます。ここに居るキャストもすごく素晴らしい方ばかり。これぞ日本版の『伝説のリトルバスケットボール団』というものをお見せできればと思っています。
ジフン役 吉高志音:稽古の中でバスケットボールの練習もしてきました。部活やスポーツでしか共有できない絆だったり、青春のワンカットだったり、そういうキラキラしたところをみなさんにお届けできたらと思います。
サンテ役 太田将熙:明るくて楽しくていい曲が多いです。韓国はエンタメのレベルがすごく高いと思っていて。その中で日本の6人で、そして生バンドが付いて曲を歌わせてもらうという、光栄なことをさせていただきます。物語は切ない部分もありますが、あまり重たいお芝居をせずテンポ良く進んでいきます。観終わった後に「あの時のアイツらどうしているかな」と、少しでも友達のことを考えられる作品になっているのでは。亡くなった人の方が先に進んでいて、逆に生きている人の時間の方が止まっていたり、残された側がずっとその場に留まってしまうことがあります。これを見て自分ももう一歩進みたいなと思っていただきたいです。
ジョンウ役 平野良:처음 뵙겠습니다(チョウム ペッケッスムニダ)。生バンドで演奏される韓国特有の軽快な音楽に乗せて、青春の爽やかではじける感じとか、ライブの音ならではで飛んでくる感じとかが魅力です。10代の頃を思い出したというコメントもありましたが、僕は10代の頃はもう思い出せないくらい昔です。僕はコーチという役柄なので、同じ舞台上に立っていてもこの5人が歌って踊ってお芝居している姿を見ると、それだけでなぜか胸が熱くなります。「青春」は「青い春」と書きますが、もっと言ってもいいんじゃないかな。「スカイブルー・スプリング」ですかね! 以上です。
一同:ハハハ(笑)。
ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』ゲネプロ写真
――今回はプレビュー公演で、来年2月に本公演を迎える特殊な形です。この取り組みをどのように捉えていますか。
橋本:約一か月間稽古しました。プレビュー公演にお客様が来てくださる以上、今ある全力が出せるように稽古を進んできました。僕らは胸を張ってここに立っています。
梅津:プレビュー公演をやること自体が珍しいのですが、シンプルにドキドキはしますね。なおかつ来年に待っている本公演に向けて、これを覚えていなければならないという……! そのころにはより進化したものを届けられるようにしたいと思っています。
糸川:バスケの練習も一か月やりました。半年後にはみんなのバスケの腕が格段に上がっていると思います!
平野:バスケ経験者で、一番うまいと言われてるからそうやって(ハードルを上げる)!
吉高:僕も経験者なので、一緒にシュート練習もしてきました。今だからこそできるフレッシュさをお届けできたらと思います。
太田:今回顔合わせのときに、プロデューサーさんからメッセージをもらいました。韓国のオリジナルミュージカルを持ってくることになって、すごく良い作品なんだけどまだ日本での知名度が少ない。だから今回のプレビュー公演という形をとることになったそうです。ブロードウェイなどでもプレビュー公演はやっていて、その出来次第で本公演の有無が決まるそうなのですが、僕たちは有難いことに来年上演させていただくことが決まっています。この一日でしっかり良い作品を出して、「来年もっといっぱいみたいな」と口コミが増えたらいいなと思います。
平野:プレビュー公演をやる意味はそれのみだよね。我々への評価にもなるわけだ。一日ですが、肩を張りすぎず出発点として、この延長線上に本公演があるものとして初日に臨みたいと思います。
ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』ゲネプロ写真
――(媒体質問)バスケット練習でのエピソードがありましたらお願いします。特にバスケットには糸川耀士郎ありと言われる糸川さんですが。
糸川:そうですねー! でも気付いたのが、バスケに携わりすぎて上手くなっちゃっているということ。(太田が演じる)サンテは序盤あまりバスケが上手ではないキャラクターで、一人でバスケをしているシーンがある。でもめちゃめちゃハンドリング上手くなっちゃってるよね。
橋本:でも稽古が終わって、無意識にボールを持ってシュート練習する癖がみんなついてたよね。
――平野さんも練習をしましたか?
平野:しました。僕は生まれてこの方バスケットをやったことがなくて。
太田:え? そうだったんですか……?
平野:小学校以来だ。
太田:やってるじゃん!
平野:20年ぶりくらいだよ! 左手のドリブルもできない状態だったのが、ようやくこのレベルまで上手くなりました。場当たりをやってるなかで8割は外してます。スタッフさんにもシュートを心配されてました(苦笑)。
ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』ゲネプロ写真
――最後に2月の本公演への意気込みをお願いします。
平野:プレビュー公演の後、半年くらい空きますが、その間にも考えさせられることが多い作品です。来年はこの公演にプラスして、もっとシュッとしたものになるんじゃないかなと期待しています。冬でも「汗かいちゃったな」というくらい熱い公演にしていきたいです。
太田:よりよい作品にするのはもちろんですが、今日本の映画『スラムダンク』が韓国でもヒットしている中、逆に韓国発の『リトルバスケ』を(日本に)普及出来たらいいなと思います。またいろんな国でこの作品が続いていくように頑張りたいです。
吉高:本公演まであと半年になります。ここで感じたものを『リトルバスケ』にぶつけて、また体力ももっとつけます。キラキラしたフレッシュな青春バスケのエネルギーをぶつけられたらと思っております。
糸川:すごく良い作品、良いキャストの皆さんが揃っています。まずはプレビュー公演を頑張って、お客様の「『リトルバスケ』すごくおもしろかったよ!」という口コミがいっぱい広まって、本公演に繋がってくれたら嬉しいなと思います。まずはプレ公演を頑張ります。
梅津:半年という期間は長いようですごくあっという間だと思います。ゲネプロとプレビュー公演を含めて3公演を演じて見えるものがあると思いますが、続きがすぐにないんですよね。役作りだってもしかしたら半年の間でガラッと変わるかもしれない。また来年は来年でゼロから演劇を作る気持ちで頑張りたいです。
橋本:改めて、この素敵な物語に生きれることが幸せです。プレビュー公演は来年につながる素敵な一日にできたらと思っております。僕らの使命としてはできるだけたくさんの人にこの素敵な物語を伝えること。そのために全力で頑張って、来年またすごく多くの方が来ていただけるような公演にしたいです。明日は今の全力を出しますが、そこから来年に向けて伸び代もまだまだあると思いますので、そういうところも含めて楽しみにしてくださると嬉しいです。
ミュージカル『伝説のリトルバスケットボール団』ゲネプロ写真
取材・文・撮影=松本裕美