Dragon Ash『RUSH BALL 2023』ライブレポートーー盟友たちを迎えたトリに相応しい祝宴の夜「『RUSH BALL』はお前らのもんだ!」

2023.8.28
レポート
音楽

Dragon Ash 撮影=田浦ボン

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『RUSH BALL 2023』Dragon Ash

『RUSH BALL』25周年。その記念すべき2日目のトリを飾ったDragon Ashが放った最初の1曲は、長く抑圧され続けたエンタメシーンの逆襲の時を告げる「Entertain」だった。

「張り上げるギターフレーズ」というKj(Vo.Gt)の声を合図に、HIROKI(Gt)のギターが高く歪む。共にこれからもフェスシーンを牽引しよう! そんな決意にも聞こえるナンバーに、場内も大熱狂。続けて披露されたのは、ライブシーンという聖地の賛歌「百合の咲く場所で」。「『RUSH BALL』はお前らのもんだ!」というKjの一言に、場内から大きな歓声が沸き起こる。

Dragon Ash

1999年の初開催以来、Dragon Ashはもっとも多く『RUSH BALL』に出演しているバンドのひとつだ。当時は日本のフェスシーンの黎明期であり、まさにシーンを牽引するラウドなメンツが勢揃いした骨太なイベントだった。

そんな当時のムードに一気に連れ戻してくれたのが、ラッパ我リヤをフィーチャーした「Deep Impact feat. Rappagariya」だ。ステージに我リヤからMr.Qと山田マンの2MCを呼び込んで、BOTS(DJ)のターンテーブルとT$UYO$HIのベースが作り出す当時以上に濃密なR&Bグルーヴに乗せ、我リヤ+Kjの3MCが音楽シーンの次なる革命の始まりを歌う。

Mr.Q(ラッパ我リヤ)

山田マン(ラッパ我リヤ)

さらに「New Era」で新たな時代の到来を歌った後は、なんと、スケボーキングのボーカル、SHIGEOとSHUNを招き、「Episode 4」を披露。フィーチャリングやコラボの楽しさを日本のオーバーグラウンドに知らしめた面々の登場に、場内はたちまちパーティー気分に包まれていく。さらに下手のサイドステージでベースを鳴らすT$UYO$HIの姿も目撃できた「Fantasista」を投下し、オーディエンスの盛り上がりに追い討ちをかける。

Dragon Ash、SHIGEO&SHUN(スケボーキング)

「25年前から、Dragon Ashをずっと出演させてくれたGREENSの横井さんって人がこのフェスを作りました。外国のフェスみたいに、いろんな音楽を酒飲みながら観れるフェスが作りたいって言ってた横井さんが亡くなって。力竹っていう、横井さんのアシスタントをしてたショートパンツの頼りないやつがいて、今はその力竹がこのフェスをやってます。拍手!」

共に草創期を作り上げた仲間を讃えるKjの声に、オーディエンスからも賛辞の歓声と拍手が沸き起こる。そして続けて、「俺らとBRAHMANの時だけ異常にセキュリティが多いのは気になるけど、それだけ俺らのことを理解して、受け入れてくれてるってことだと思う」と、ジョークを交えてGREENSへの信頼を語った後、「ずっと昔から大事にしてる曲をやります」と告げ、バンドにとって転機となった大切な1曲「陽はまたのぼりくりかえす」を演奏。

Dragon Ash

2020年、多くのフェスが自粛を余儀なくされた中、会場のある泉大津市や地元の人たちの協力のもと、『RUSH BALL』は開催する道を選択した。来場者数を半分以下に絞り、声を出すことはもちろん、それぞれの立ち位置さえ定められた厳しい条件下での開催だった。批判の声もあっただろう。それでも、模索しながらも前に進むことを選んだイベントの記念すべきその25周年の夜にDragon Ashが選んだ1曲は、<飛べるのに飛ばないよりはいい>と歌う、前に進む決意の曲だった。

「みんなのいちばんは何ですか?」

最後に披露されたのは、そう問いかけて始まった「ROCK BAND」。この日ATMCに出演した山嵐のSATOSHI、そしてKO-JI ZERO THREEを迎え、'90年代、ライブハウスで生まれた衝動と決意と永遠の夢を力強く歌い綴る。

『RUSH BALL』はそんな彼らの思いを乗せて始まったロックイベントだ。そして、まだまだ夢の途中にあるバンドマンたちと共に、ここからまた新たなNew Eraへと突入していく。

Dragon Ash、SATOSHI(山嵐)、KO-JI ZERO THREE

Dragon Ash

取材・文=早川加奈子 撮影=田浦ボン

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