新国立劇場初演 海洋国家ジェノヴァに渦巻く恩讐と愛を描く、ヴェルディ円熟の傑作『シモン・ボッカネグラ』を上演
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2023/2024 シーズン オペラ ジュゼッペ・ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』
2023年11月15日(水)~11月26日(日)新国立劇場 オペラパレスにて、2023/2024 シーズン オペラ ジュゼッペ・ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』が上演される。
ヴェルディ円熟の傑作と称される、『シモン・ボッカネグラ』が今回、新国立劇場に初登場する。14世紀に実在した初代ジェノヴァ総督シモン・ボッカネグラを題材とし、平民と貴族の抗争に、親子や恋人の愛とすれ違いが入り組むドラマが力強い音楽で一気に展開。そして、フィエスコの沈痛なアリア「引き裂かれた父の心は」、アメーリアのロマンツァ「暁に星と海はほほえみ」、シモンとアメーリアの二重唱、ガブリエーレのアリア「わが心に炎が燃える」、シモンのモノローグ「慰めてくれ、海のそよ風よ」、さらに緊迫した重唱や多彩な合唱と聴きどころも満載。元海賊で名総督となるシモン(バリトン)、貴族階級で厳格な性格の宿敵フィエスコ(バス)をはじめ、ヴェルディならではの男声低音キャラクターの魅力が凝縮され、上演には盤石の歌手陣を必要する作品でもある。
演出にあたるのは、長年オランダ国立オペラを率いて同歌劇場を変革し、18年からは最も刺激的な音楽祭エクサン・プロヴァンス音楽祭の総監督を務める、現代オペラ界屈指の演出家ピエール・オーディ。オーディが「人間の精神に迫る力強い彫刻」と絶大な信頼を寄せる現代アート界のスター、アニッシュ・カプーアとのコラボレーションとなる。オーディ演出×カプーア舞台美術のタッグは映像化もされている『パルジファル』、『ペレアスとメリザンド』に続くもの。『シモン・ボッカネグラ』で描かれるシモンの苦悩と解放、権力のはかなさ、感情や家族の絆のもろさに着目しているというオーディと、ヘルダーリンが描いた、エトナ山で人間の存在と死に思いを巡らせたエンペドクレスの姿をシモンに重ね、自然や人体への洞察を込めたというカプーアが生み出す、壮大で力強い世界に期待したい。
ピエール・オーディ (C) SarahWong
アニッシュ・カプーア
なお、本プロダクションはフィンランド国立歌劇場及びテアトロ・レアルとの共同制作で、新国立劇場での世界初演後にヘルシンキ、マドリードでの上演が予定されている。
指揮はイタリア・オペラへも情熱を注ぐ大野和士自らが当たる。シモンにはヴェルディ・バリトンとして世界を飛び回り、本年5月『リゴレット』で張りのある華やかな声と完璧な声楽テクニック、そして繊細にして段違いのスケールの表現でオペラパレスを熱狂させたロベルト・フロンターリが再び登場。宿敵フィエスコにはミラノ・スカラ座をはじめ著名劇場でバスの諸役を務め、新国立劇場では<オペラ夏の祭典>『トゥーランドット』ティムールで感動を誘ったリッカルド・ザネッラート、シモンを裏切るパオロに22年新国立劇場でのドン・ジョヴァンニ役のしなやかな表現で劇場中を魅了した実力派シモーネ・アルベルギーニと重厚な布陣。アメーリアにスター・ソプラノとして日本でもファンの多いイリーナ・ルング、そして恋人ガブリエーレには輝かしい声が持ち味のルチアーノ・ガンチが待望の登場を果たす。
ロベルト・フロンターリ
リッカルド・ザネッラート
シモーネ・アルベルギーニ
イリーナ・ルング
ルチアーノ・ガンチ
大野和士芸術監督からのメッセージ
大野和士
2023/2024シーズンの新制作としまして、現在エクサン・プロヴァンス音楽祭の総監督である演出家ピエール・オーディを迎え、ヴェルディの最後期の作品が生み出される先駆けとなった『シモン・ボッカネグラ』の新国立劇場初演を行います。主役のシモン・ボッカネグラにはロベルト・フロンターリ、娘アメーリアにはイリーナ・ルング、フィエスコには名バスのリッカルド・ザネッラート、アメーリアの恋人役のガブリエーレにはルチアーノ・ガンチほか、世界の第一線の歌手が揃い、貴族社会と平民社会、それとボッカネグラとアメーリアの間の親子の確執が、胸をえぐるような深い劇的な波となって皆さんの心に刻まれることでしょう。
14世紀の海洋国家ジェノヴァでは総督を巡り貴族と平民が激しく対立。元海賊のシモンは貴族のフィエスコの娘と恋仲になり娘をもうけるが、離別させられる。25年後、総督になったシモンは死んだと思っていた娘アメーリアとの再会を果たす。シモンに対立する貴族ガブリエーレを愛するアメーリアは、彼との愛を告白。シモンの腹心パオロも彼女との結婚を望むがシモンに拒まれ、野心に燃える彼はシモンに遅効性の毒を注ぐ。パオロの仕掛けた毒が回ったシモンはアメーリアの恋人のガブリエーレを新総督に推し息絶える。
公演情報
ジュゼッペ・ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』
プロローグ付き全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
Simon Boccanegra / Giuseppe Verdi
会場:新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間:約2時間45分(休憩含む)
【指揮】大野和士
【演出】ピエール・オーディ
【美術】アニッシュ・カプーア
【衣裳】ヴォイチェフ・ジエジッツ
【照明】ジャン・カルマン
【舞台監督】髙橋尚史
【シモン・ボッカネグラ】ロベルト・フロンターリ
【アメーリア(マリア・ボッカネグラ)】イリーナ・ルング
【ヤコポ・フィエスコ】リッカルド・ザネッラート
【ガブリエーレ・アドルノ】ルチアーノ・ガンチ
【パオロ・アルビアーニ】シモーネ・アルベルギーニ
【ピエトロ】須藤慎吾
【隊長】村上敏明
【侍女】鈴木涼子
【合唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【共同制作】フィンランド国立歌劇場、テアトロ・レアル
【前売り開始】 2023年9月9日(土) 10:00~
主催:公益財団法人新国立劇場運営財団、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
制作:新国立劇場
委託:令和5年度日本博2.0事業(委託型)