サバシスター『RUSH BALL 2023』ライブレポートーーオーセンティックなロックンロールを鳴らすナイスなガールたち

『RUSH BALL 2023』サバシスター

「Ca Va（サバ）？」という歌声が響く登場SE。こういうシンプルなユーモアは良いなあと微笑みながら、もちろん登場するはサバシスター。ギター&ボーカルのなちがステージのお立ち台に上り、足を挙げてポーズを取ると、観客たちから「可愛い……」と声が漏れる。まだ音を鳴らしていない状況で、ここまで可愛らしさを発揮できるバンドは珍しい。赤白ラグランも可愛らしいなちだが、1曲目「ナイスなガール」からして抜群のキュートさが感じられる。

スケボーを盗まれて作った「スケボー泥棒！」からもキュートさが伝わってくるが、何よりも楽曲がオーセンティックなロックンロールだから聴き応えがある。そして、3曲目では冒頭2曲とはまた違う魅力があった。

サバシスターの仲間として年季の入ったプレーリードッグのぬいぐるみ、しげちゃんが紹介される。ドラムのごうけが小さな頃から一緒に育ってきたぬいぐるみ。みんなの心の中にもいるといって歌われた「しげちゃん」だが、まっすぐ沁みるスローバラッド。なちの泣きのギターもとてつもなく沁みる。バンドの振れ幅を感じさせてくれた。

代表曲「ジャージ」では自然にハンドクラップも起きる。「タイムセール逃してくれ」の前には、毎日しんどいことを踏まえた上で「なんとか生きていきましょう」となちがつぶやく。この手のMCは熱苦しくなったりするが、フラットライト平熱な感じは誠に良かった。

ラストナンバー「サバシスター's THEME」。ギターを下げたままハンドマイク姿でお立ち台に上がって足踏みをしたり、ステージを降りて観客エリアギリギリまでいったり、よりグッと感情が入る。古き良きロックンロールの誠実さが、そこにはあった。

取材・文＝鈴木淳史　撮影＝河上良

＞次のページ……ライブ写真&セットリスト掲載！