花形俳優が共演する九月花形歌舞伎『新・水滸伝』初日が南座で賑々しく開幕 熱気あふれる公演レポートが公開
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九月花形歌舞伎『新・水滸伝』
2023年9月3日(日)京都・南座にて、九月花形歌舞伎『新・水滸伝』が開幕し、熱気あふれる初日の見どころとレポートが届いたので紹介する。
本公演は、中国四大奇書のひとつ「水滸伝」を下敷きに誕生した『新・水滸伝』。エンターテインメント満載、息つく暇なしのスピード感あふれる展開で、先月、東京・歌舞伎座で話題を呼んだ本作が南座に登場した。古典、新作ともに数々の大役を勤める中村隼人をはじめ、上方歌舞伎の次代を担う中村壱太郎、人気ドラマ出演で注目を集める市川笑三郎、市川猿弥ら、瑞々しい花形俳優陣が共演。宙乗りあり、立廻りあり、壮大なスケールで描く痛快娯楽大作となっている。
見どころとレポート
■第一幕
舞台は十二世紀初頭、中国・北宋の国。壮大な音楽と梁山泊軍が勢揃いする華やかな幕開けの後、かつて兵学校の教官をしていたが、数多の罪で牢に繋がれた天下一の悪党、林冲(中村隼人)は、梁山泊の晁蓋(市川中車)や李逵(中村福之助)により、助け出される。開幕早々、隼人演じる林冲が、襲い来る警護兵たちと軽やかな立廻りを繰り広げると、観客の視線は釘付けに。
ところ変わって、梁山泊。隣町・独龍岡や朝廷軍の奇襲を迎え撃つのは、女親分の姫虎(市川笑三郎)や、山賊あがりの王英(市川猿弥)たち。迫りくる敵に梁山泊軍が退散する中、王英は独龍岡軍の女戦士、青華(市川笑也)に一目ぼれしてしまう。その後、青華に心奪われた猿弥演じる王英と、仲間のお夜叉(中村壱太郎)は客席通路から登場。コミカルなやりとりに、客席からはたびたび笑いが起こる。
一方、酒浸りの日々を送る林冲の元に、かつての教え子で今は朝廷軍の兵士、彭玘(市川團子)がやってくるが、林冲は邪険に扱う。
そして王英は、お夜叉とともに青華に会うため独龍岡を訪れるが、あえなく捕まってしまう。二人が捕まったことを知った林冲は、一人独龍岡へ向かい、さらに、林冲の身の上を知った晁蓋や、燕青(市川寿猿)、時遷(嘉島典俊)、公孫勝(市川門之助)ら梁山泊の面々も、三人を助けるべく、出陣する。第一幕のラストでは、梁山泊軍が、テーマ曲を熱唱。耳に残る力強い楽曲に、客席も一体となり、梁山泊軍の行方を見守る。
■第二幕
敵対する高俅(浅野和之)、祝彪(市川青虎)らとの戦いが激化する中、林冲が張進(中村歌之助)にとどめを刺されそうになったところ、彭玘が身代わりとなる。彭玘演じる團子の迫真の演技に、観客は息をのむ。
そして、独龍岡軍との戦以来、心を改めた林冲。晁蓋の危機を知った林冲は「飛龍」と呼ばれる大凧にのり、助けに向かう。南座を勇壮に舞う宙乗りの場面では、観客から万雷の拍手が沸き起こった。
いよいよクライマックス。林冲と朝廷軍が直接対決となり、再び、隼人演じる林冲による激しい立廻りで手に汗握る展開が続く。やがて、朝廷軍を討ち果たした梁山泊一同は、心をひとつに、道なき道を進む決意をするのだった。
梁山泊の面々が勢揃いし、希望に満ち溢れたラストに客席からは大きな拍手が送られた。
本公演は9月24日(日)まで。(11日・19日は休演日)さらに、終演後、出演者によるアフタートークも実施される。南座の劇場空間に合わせ、さらにパワーアップした舞台に期待しよう。
※公演が終了しましたので舞台写真の掲載を取り下げました。
公演情報
『新・水滸伝』
会場:南座
午後の部 午後3時30分~
杉原邦生 演出
市川猿翁 スーパーバイザー
三代猿之助四十八撰の内
新・水滸伝(しん・すいこでん)
中村隼人宙乗り相勤め申し候
林冲:中村隼人
お夜叉:中村壱太郎
李逵:中村福之助
張進:中村歌之助
彭玘:市川團子
祝彪:市川青虎
燕青:市川寿猿
時遷:嘉島典俊
姫虎:市川笑三郎
青華:市川笑也
王英:市川猿弥
高俅:浅野和之
公孫勝:市川門之助
晁蓋:市川中車
【アフタートーク】
9月18日(月) 午前の部終演後
登壇者:市川中車、市川門之助、浅野和之、市川猿弥、市川笑也、市川笑三郎、市川寿猿 進行:市川青虎
9月21日(木) 午前の部終演後
登壇者:中村隼人、中村壱太郎、中村福之助、中村歌之助、市川團子、嘉島典俊 進行:市川青虎