MIYAVI、ソロデビュー20周年記念ライブで示した未来ーージャパンツアー大阪公演で「やっぱり日本はアツい!」と歓喜

2023.9.17
レポート
音楽

MIYAVI『“20th&Beyond”JAPAN Tour 2023』 撮影=Hoshina Ogawa

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MIYAVI『“20th&Beyond”JAPAN Tour 2023』2023.9.1(FRI)大阪・GORILLA HALL OSAKA

9月1日(金)、大阪・GORILLA HALL OSAKAにてMIYAVIのライブツアー『“20th&Beyond”JAPAN Tour 2023』の大阪公演が開催された。本公演はソロデビュー20周年を記念して行われたもので、9月18日(月)にはソロデビューライブを開催した記念すべき地でもある、東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催される。この日は、ミュージシャンとしてのキャリア20年の集大成を体感できるとあって、会場にはたくさんのファンが駆けつけていた。

ステージが暗転した瞬間、客席から割れんばかりの歓声が聞こえる。オープニング映像にアニメーションが流れ、そこには宇宙からきたギターヒーロー”MIYAVI”の姿が映し出される。映像の終わりとともに、ギターを手にしたMIYAVIがステージに姿を現し、真っ赤な照明の元でギターをかき鳴らした瞬間、会場の熱量が一気に高まる。この日のMIYAVIの衣装は全身黒で、ドレッシーだけどシックな出で立ち。足を高く蹴り上げ、ギターをかき鳴らし、歌い叫ぶ姿は雄々しく、ふとした表情や動きには艶やかさもあって、一瞬の隙さえも目が離せない。

この日のサポートドラムはお馴染みのboboと、2人だけのライブが中心に。これまでにDJやコーラス、ダンサーなどパフォーマーを入れてのステージを展開してきたが、ギターと歌、楽曲をシンプルに堪能できる2人だけのステージは演者も観客もなんとも言えない緊張感があり、それが何とも心地よい。打ち鳴らすMIYAVIのギター、boboの軽快で正確無比なドラムのビート、抜群の相性で次々に楽曲を展開していく。

「もっといこうぜ!」の煽りから「Ahead Of The Light」へ。エネルギッシュなスラップギターのリフ、アグレッシブなダンスチューンにフロアが大きく揺れる。困難を乗り越え、前へ前へと突き進む……、そんな想いを乗せたリリックがサウンドに後押しされ、観客の心を鷲掴みしていく。ステージはさらにダイナミックな楽曲が続くが、「そんなもんですか!?」とMIYAVIが手をこまねいて、観客をさらに昂らせていく。むしろ彼自身がいまこの瞬間を一番楽しんでいるようで、仰け反りながらギターをかき鳴らし、ステージを左右へかけ走りながらも、満面の笑みでプレイを続けていく。

MCでは今回のソロデビュー20周年を記念した公演については「いっぱいギターを弾く」「一生懸命歌う」「喋りすぎない」の3つのテーマを設けたと語り、一日をとことん楽しもうと声をかける。が、地元大阪でのステージということもあってか「大阪に帰ってこれてうれしい」と、MCは自然と長くなり、和やかな雰囲気で大盛り上がり。会場のGORILLA HALL OSAKAでのステージは初めてだというMIYAVIは、ライブハウスのネーミングや楽屋の雰囲気について、さらに十三 FANDANGO(現・堺FANDANGO)や梅田バナナホールといった、過去にステージに立った大阪のライブハウスについて思い出を語る。

ライブ中盤はさきほどまでのアットホームさから一転。「Secret」からギタリストとしての妙なる音をとことん鳴らしていく。ファンキーに、ジャジーにスリリングに、楽曲ごとに様々な顔を見せる生命力溢れるライブパフォーマンスに引きこまれ、時間はあっという間に過ぎ去っていく。セレクトした楽曲も久しぶりにパフォーマンスする楽曲も多く、観客はイントロが流れるだけで歓喜の声を上げることもしばしば。

さらに、「Under The Same Sky」ではアコースティックライブも披露。スペシャルゲストにキーボードの櫻田泰啓を招き、じっくりと丁寧に言葉を届ける歌を聴かせる。丸い月に似た照明が灯るなか、ゆったりとした空間でのパフォーマンスに観客も穏やかな表情でじっとMIYAVIを見つめる。ステージとフロアの距離が近いこともあって「あんま見んといて」と照れが出るシーンもあったが、美しいギターの旋律、表現豊かな歌唱に魅入ってしまうのは仕方がない。

ソロデビューから20年ともなると披露したい楽曲は山ほどあるが、「過去、未来の自分を見て。未来を感じられるようなセットに」と、「君に願いを」では観客も一緒になって歌い、心情をひとつにしていく。MIYAVI自身が語る「未来」をファンと共に作り上げていく、その想いが、その姿が見えるようだ。過去から現在、未来へ繋がるステージは賑やかだけど華もあって、bobo、櫻田泰啓の卓越したビート、音色も重なり、唯一無二の音空間が広がっていく。

その後も初期の楽曲やCM曲として話題となった楽曲など、多彩なナンバーを次々に披露。そのどれもがギタリストとしての進化はもちろん、シンガーとしての魅力も感じられるものばかり。ギターを唸らせ、グルーヴを高め、目をかっ開いて渾身のプレイを見せ続ける彼に、観客の熱量も大きく比例していく。高揚感は高まるばかりで、本編ラスト「Horizon」まで、観客と一体となったまま情熱的なステージで駆け抜けていった。


アンコールでは「ライブができるのはみんなのおかげ。集まれる喜び、音楽ができることの素晴らしさ、人と人との繋がりを感じられる」と、改めてファンへ感謝の気持ちを伝え、ゆっくりではあるものの新しいアルバムを制作中だと次へのステージに向けた言葉を送るMIYAVI。今夏、世界中でライブを展開してきた彼だが、「やっぱり日本はアツい!」と感嘆の声を上げる。

「ファンのみんなと同じ時代、同じ人生をともに歩み、成長している関係性は美しい。キャリアを重ねる中で例え失敗しても、応援してくれるファンの顔が思い出せる。世界中どこにいても待っててくれる、その存在が心強い」と語った。アンコール4曲を含む全23曲のステージを駆け抜けた。



先述の通り、9月18日(月)には東京・LINE CUBE SHIBUYAでの公演が控えている。さらに、その後は海外でのいくつかのステージも決定。ほかにも、国際市民賞の受賞や、アメリカ・ロサンゼルスで行われた昨年の公演の模様がライブBlue-rayとして発売されるなど、その活躍の幅はさらに広がるばかり。”侍ギタリスト”のこれからの活躍に注目を続けたい。

取材・文=黒田奈保子 撮影=Hoshina Ogawa

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