林遣都主演、倉持裕の書下ろし新作心理サスペンス『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』の上演が決定
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『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』
2024年4月13日(土)~5月6日(月)本多劇場にてM&Oplaysプロデュース倉持裕新作公演『帰れない男~慰留と斡旋の攻防~』の上演が決定した。東京公演後は、愛知、島根、富山、大阪、宮城と全国へ巡演する。
本作は、ある出来事をきっかけに、不思議な屋敷に誘い込まれた主人公がその屋敷の主人と若妻に翻弄され、もてなしを受けるうちに、本来の自分を見失ってゆく様を描くサスペンスとして企画された倉持裕の新作。主演を務めるのは、現在公演中の音楽劇『浅草キッド』やTBS系日曜劇場「VIVANT」、さらには、主演を務めるU-NEXTのオリジナルドラマ「MALICE」など話題の作品に次々と出演する林遣都。林は2016年にBunkamuraシアターコクーンで行った倉持裕演出のM&Oplaysプロデュース『家族の基礎』で初舞台を果たしている。
共演には、TBS日曜劇場「マイファミリー」、フジテレビ木曜劇場「silent」、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」などに出演し話題となり、倉持とは初顔合わせの藤間爽子。PARCO劇場開場50周年記念シリーズ舞台『ひげよ、さらば』や今年12月22日(金)に公開を控える第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品映画『PERFECT DAYS』に出演する個性派俳優柄本時生。映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』や『夜を走る』や、テレビドラマNHK連続テレビ小説「「舞いあがれ!」」やテレビ東京ドラマ25「宮本から君へ」などに出演の新名基浩。作、演出を岩松了が務める舞台『青空は後悔の証し』、舞台赤堀雅秋演出『蜘蛛巣城』、ドラマはNHK土曜ドラマ「64」やTBS火曜ドラマ「マイ・セカンド・アオハル」、2024年1月公開映画『サイレント・ラブ』などに出演の佐藤直子。作、演出を野田秀樹が務める舞台『兎、波を走る』、映画『お前の罪を自白しろ』、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などに出演する山崎一など魅力的なキャスト陣が集結した。
作・演出の倉持裕と主演の林遣都のコメントが到着した。
作・演出:倉持裕
最近、現実離れした話に興味が向いています。抽象的とか幻想的とか、あるいはもっととっつきやすく、ファンタジーなどと表現される話です。もともとそうした作風でデビューしたので、そこに戻って来た感じです。
舞台に出現する不可解な世界は、たいてい主人公の精神から発生していて、すると自ずと、そんな風に世界を丸ごと構築してしまうような、強い精神力の持ち主に見える俳優が必要になってきます。そこで、それには林遣都がぴったりだと思いました。
あの頑なな目。直進が似合う身体――。僕が彼に感じる魅力は、2016年の自作『家族の基礎』に出演して頂いた時から変わっていません。着実にキャリアを積み重ねてきたことで、その特徴はより濃くなっていると感じ、今回、再びご一緒できることが楽しみです。
今作は、内田百閒の作品から着想を得たので、昔の文学作品の香りが少し漂うかもしれません。
主演:林遣都
僕はM&Oplaysさんプロデュースの『家族の基礎』という作品で初めて舞台に立たせていただきました。刺激に満ちた 稽古場での日々、本番の緊張感、必死に喰らいつき沢山の喜びと感動を味わえたことを今でも鮮明に覚えています。
僕が演劇に惹かれていったのは倉持さんが演出の初舞台がとにかく楽しかったからであることは間違いありません。
あれから7年が経ち、倉持さんの新作にこういった形で参加できることを大変嬉しく思います。
タイトル、もう面白いですよね。 珠玉の台詞、心躍る脚本、心待ちにしています。嬉しいです。楽しみです。皆様もお楽しみに。
ストーリー
思い返すと、その屋敷は確かに立派な門構えではあったが、迷子になるほど中が広大だったとは、男は思いもしなかった。
男は、気まぐれに親切にした若い女に招かれそこへ来た。最初、女はこの屋敷の女中かと思っていたら、実は主人の女房だった。年の離れた亭主を持つと、若くともこんなアンバランスなムードを身にまとうようになるのかと、男は勝手に納得する。
屋敷の中は薄暗い上、廊下も恐ろしく長く、部屋の数も分からなかった。
数日経って、友人が連れ戻しに来たが、男は「帰ろうにも出口にたどり着けないんだ」などと困った顔をする。
中庭を挟んだ向かいの広間で、夜ごと催される誰かの宴。その幻想的に揺らめく人影をぼんやり眺める女に、男は次第に惹かれていく。男を躊躇させるのは、留守がちで、まるで自分の妻を斡旋するかのような、主人の謎の振る舞い。
引き留めるわけではないが、時折、何やら共謀をほのめかすような女と、その主人との間で、男は次第に正気を失っていく……