新国立劇場 シェイクスピア、ダークコメディ交互上演の一つ目の作品『尺には尺を』が開幕

2023.10.19
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舞台

『尺には尺を』舞台写真(右から)岡本健一、ソニン  (撮影:引地信彦)


シェイクスピア、ダークコメディ交互上演のうち一つ目の『尺には尺を』が2023年10月18日(水)に開幕した。

シェイクスピアの戯曲のなかでは上演回数もそれほど多くはなく、登場人物も屈折したキャラクターが多く、"ダークコメディ(暗い喜劇)"と呼ばれる『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』。この二作は同時期に執筆されたと推測され、悲劇とも喜劇ともつかない、その結末から「問題劇」とも分類される。シェイクスピア作品の中では、数少ない、女性が物語の主軸となる、

先陣を切って初日を迎えた『尺には尺を』は、岡本健一演じる「アンジェロ」とソニン演じる「イザベラ」の激しい攻防と、それぞれの葛藤に客席は熱気に包まれた。観劇後には、権力、ハラスメントなど400年以上前に書かれたとは思えぬ、シェイクスピア戯曲の驚くべき同時代性と、波紋を呼ぶその結末について、観客同士で語らう姿が見受けられたという。

翌10月19日には、交互上演のもう一つの演目『終わりよければすべてよし』が開幕する。

公演情報

新国立劇場 2023/2024シーズン
シェイクスピア、ダークコメディ交互上演

『尺には尺を』 Measure for Measure
『終わりよければすべてよし』 All's Well That Ends Well

■会場:新国立劇場 中劇場
■公演期間:2023年10月18日(水)~11月19日(日)
■料金:S席8,800円 A席6,600円 B席3,300円 *2作品通し券(S席のみ)15,800円
*通し券は新国立劇場ボックスオフィス(電話か窓口)での受付となります(Webボックスオフィスでの販売はございません)。日程の組み合わせは自由です。

 
■出演:
岡本健一、浦井健治、中嶋朋子、ソニン、
立川三貴、吉村 直、木下浩之、那須佐代子、勝部演之、
小長谷勝彦、下総源太朗、藤木久美子、川辺邦弘、亀田佳明、
永田江里、内藤裕志、須藤瑞己、福士永大、宮津侑生

 
■スタッフ:
【作】ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】小田島雄志
【演出】鵜山 仁
【美術】乘峯雅寛
【照明】服部 基
【音響】上田好生
【衣裳】前田文子
【ヘアメイク】馮 啓孝
【演出助手】中嶋彩乃
【舞台監督】北条 孝

 
■公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/play/shakespeare-dark-comedy/
 
『尺には尺を』と『終わりよければすべてよし』の二作品は、シェイクスピアの戯曲のなかでは上演回数もそれほど多くはなく、またどちらも、最初の全集では"喜劇"に分類されていますが、ストーリーもやや複雑で、登場人物も屈折したキャラクターが多く、"ダークコメディ(暗い喜劇)"と呼ばれています。また、この二作は時をおかず執筆されたと推測され、ストーリー的にも同じテーマを持つ、表裏一体のような戯曲であり、交互上演にこそ意味があると考えます。さらに、シェイクスピア作品の中では、数少ない、女性が物語の主軸となる作品でもあり、両作品とも登場人物たちは降りかかる困難に果敢に立ち向かい、世の理不尽を白日の下にさらします。そこで、2023/2024シーズンの開幕は、この二つの作品を交互上演する、という前代未聞の企画に挑みます。悲劇とも喜劇ともつかない、その結末から「問題劇」とも分類される、この二作品を交互に上演することで、現代劇かとも思わせる、シェイクスピアの鋭い視点と同時代性が浮かび上がることでしょう。
 
■あらすじ

『尺には尺を』
ウィーンの公爵ヴィンセンシオ(木下浩之)は、突然出立すると告げ、後事を代理アンジェロ(岡本健一)に託し旅に出る。だが実は、密かにウィーンに滞在したまま、アンジェロの統治を見届ける目的があった。というのも、ウィーンではこのところ風紀の乱れが著しく、謹厳実直なアンジェロが、法律に則りそれをどう処理するのか見定めようというのだ。そんな法律のなかに、結婚前の交渉を禁ずる姦淫罪があり、19年間一度も使われたことがなかった。アンジェロはその法律を行使し、婚姻前にジュリエット(永田江里)と関係を持ったクローディオ(浦井健治)に死刑の判決を下す。だがクローディオはジュリエットと正式な夫婦約束を交わしており、情状酌量の余地は十分にあったのだ。それを知ったクローディオの妹、修道尼見習いのイザベラ(ソニン)は、兄の助命嘆願のためアンジェロの元を訪れる。兄のために懸命に命乞いをするイザベラの美しい姿に、アンジェロの理性は失われ、自分に体を許せば兄の命は助ける、という提案をする。それを聞いたイザベラはアンジェロの偽善を告発すると告げるのだが、彼は一笑に付し、「誰がそれを信じる?お前の真実は、私の虚偽には勝てぬ」とイザベラに嘯く。クローディオの命は?イザベラの貞節は?すべてはアンジェロの裁量に委ねられる。

 
『終わりよければすべてよし』
ルシヨン伯爵夫人(那須佐代子)には一人息子バートラム(浦井健治)がいた。彼はフランス王(岡本健一)に召しだされ、故郷を後に、パリへと向かう。だが王は不治の病に蝕まれ、命は長くないと思われていた。もう一人、伯爵夫人の元には侍女として育てていたヘレナ(中嶋朋子)という娘がいて、その父は、先ごろ他界した高名な医師だった。彼はヘレナに、万病に効く薬の処方箋を残していた。そしてヘレナは、実は密かに、身分違いのバートラムのことを慕い、妻になりたいと願っていた。その想いを知った伯爵夫人は、ヘレナにバートラムを追ってパリへ向かうことを許す。パリに到着したヘレナは王に謁見し、亡父から託された薬で王の病を見事に治してみせる。王は感謝の印として、ヘレナに望みのものを褒美として与える約束をする。ヘレナはバートラムとの結婚を望むが、彼はそれを拒否し、自ら志願して、逃げるように戦地フィレンツェへ赴いてしまう。残された手紙には「私を父親とする子供を産めば、私を夫と呼ぶがいい。だがその時は決して来ないだろう。」と認められていた。ヘレナは単身、バートラムを追ってフィレンツェへと旅立つ。愛する彼と結ばれるために。
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