舞台『HIDEYOSHI』オフィシャルインタビュー 足立英昭と栗田学武、佐藤弘樹が出演への意気込みを語る
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(左から)足立英昭、栗田学武 (C)株式会社Allen
2023年12月7日(木)より公開予定の舞台『HIDEYOSHI』。本作は劇団アレン座の座付劇作家・演出家である鈴木茉美が自身の同名作品をフルリメイクしたアクションエンターテインメント作品である。上演に先駆け、主演の足立英昭と脇を固める豪華出演陣・栗田学武(劇団アレン座)、佐藤弘樹に本作出演への意気込みを語ってもらった。
前半は足立と栗田の対談を、後半は佐藤の単独インタビューの様子をお届けする。
足立英昭「全員を輝かせられるように導ける人が僕の中の理想の座長像」
ーー本作への出演が決定した当時の心境をお聞かせください。
足立英昭(以下、足立):実はエチュード舞台『いい人間の教科書。』(2023年、以下、イイショ)の出演の際に軽くお話をいただいていて。ただその時点ではどんな役どころとなるかまでは決まっていなかったんです。主演で舞台に立たせていただくことが決定したのは今年の8月ごろでした。主演となると責任重大だなと。
これまで僕自身も脇で、主演を立たせるための経験を何度もしてきました。主演・主人公がうまく動けば脇役の存在も立ってくるというのは理解しているので、僕が真ん中でフラフラしてしまったら周りのみんなが方向性を見失うため、弱音を吐くのは 8月までにしようと考えていました(笑)。
9月に入った今(取材時)は常に意識の3分の1は本作に向いています。主演自体が約3年ぶり、僕自身も今年で30歳になるということもあって、「自分はどこまでやれるのだろう」という、役者力への挑戦にもなる作品だと思います。それぐらいの覚悟を持いないといけない。
栗田学武(以下、栗田):僕は出演するか否か、という状況が長く続いていました。舞台『大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-』(2023年、以下、ろまたん 2023 )の千穐楽で発表されたんです。配役自体はまだ現時点では明かされてはいません。
(左から)足立英昭、栗田学武 (C)株式会社Allen
ーー台本がまだ配られていないと伺いました。
栗田:初演の公演が済んでいるので台本自体は基本的には出来上がっているんです。だけど、演出・脚本の鈴木茉美さんの意向でまだ演者には渡していないんです。茉美さんの稽古って一緒に作っていく部分が多くて。事前に台本を渡してしまうと僕たち演者は読み込んで来てしまうんですよね。
足立:なるほどね。僕は現場で拾っていくタイプで、台本はあくまで覚えるためのテキストとしか思っていなくって。やっていくうちに他の役のセリフも覚えていったりして。「あの人のこのセリフって、こういう意味も含んでいるんじゃないのかな」っていうのをやっていくうちに見つけていったりするんです。そして最終的に自分の役についての…、どういう人物でどういう場所なのか、どういう時間が流れているのかを設定していく。そういったディテールを茉美さんと一緒に作っていけたらと思います。
ーー鈴木茉美さんの印象や今作で挑戦したいことは?
足立:素直に物語へ向かわせてくださるんですよね。こねくり回さない。結局こねくり回したところで、元をたどると「結局こうじゃん」ってことが多かったりするんですよね。イイショのときは台本なし、ろまたん 2023 のときは台本ありと、二通りの演出を経験させてもらって、どちらも無理なくやらせていただきました。僕の中で考える時間を設けてくれるし、最後には納得できるところに着地をさせてくださいます。役者側の意見や、芝居で出てきた感情、その時湧き上がったことなどを真摯に聞いてくれる方なんです。脚本家脳と演出家脳を併せ持つ方だからすごくやりやすいなと。
足立英昭 (C)株式会社Allen
栗田:稽古が楽しいもんね。
足立:そうだね、クリエイトしていくって感じ。あくまでも台本は骨組み、というか設計図のようで、そこからどういうふうに建てていくのかはその場でどんどん変わっていくんだよね。
栗田:僕は過去、何回も茉美さんの稽古を見てきているけれど、毎回違うんです。だから今回の『HIDEYOSHI』はどうなっていくのか、どういうふうに稽古が進むのか予想できない。去年12月の『点滅』という舞台では全部のセリフを茉美さんの楽譜通りにやったんです。そんなふうに毎回違う作り方をするからこそ、今回もとても楽しみ。
足立:稽古中にみんなで一緒に「楽しい」って思いたいね。はじめましての方もいらっしゃるから相乗効果でみんなが楽しく、ご機嫌に芝居へ取り組めるようになったら発言だってしやすくなるし。そこを今回の自分モットーにしてやっていこうと思います。
栗田:茉美さんの想像を越えてみたいのよね。
足立:「こういうのもあるのね」っていうのはあるけど、越えるってことはなかなかないよね。一緒に新しい発見をしていくのがいいのかな。
栗田:たまに役者さんでさ、脚本家や演出家の手を離れたレベルで演技をする人がいるやん?
足立:うーん、それにはそれで時間が必要なんだろうなとも思うよ。そうなったらね、いいなとは思う。だけど茉美さんの稽古では離れること(必要)はないと思う。
(左から)足立英昭、栗田学武 (C)株式会社Allen
ーー足立さんと栗田さんのお互いの印象は? 共演してみてイメージが変わったことはあったり?
足立:栗(栗田)さんはね、最初の印象からずっと変わらないんだよね。優しくて影があって、腹の底の底をみせない人。褒められたい人なんだなっていうのは…、(笑)。
栗田:いたるところに出てるやろ?(笑)
足立:そうそう。だからあんまり褒めないようにしてるんだけど。
栗田:褒めてくれよ!
一同:(笑)。
栗田:僕は最初ヒデ(足立)が怖かった。役者としてなんとなく知っていたこともあって、「気難しいのかな?」とか勝手に思ってた。好き嫌いがはっきりしていることをイイショの稽古の序盤に聞いたから「俺、嫌われたら終わるわ」って思ってたのよね。だけどイイショって腹を見せ合う舞台で、稽古場や本番で気負うことなくぶつかったからこそ打ち解けられたように感じます。あと役者として単純に羨ましいなと思う部分がすごく多い。器用だし、感情を出すすべがすごく上手で、嘘をつかない。僕は逆に感情を押し殺してきたタイプだから、ガッと表に感情を出せるところが羨ましくって。
ーーろまたん 2023 で思い出に残っていることは?
足立:ろまたんは楽しかったね。結構繊細なことやってたもんね。
栗田:二人のシーンでさ、千穐楽の日に先輩から「違うよ、そうじゃないんだよ」と激励をもらって、答えが見えないまま舞台に上がったんだよね。
栗田学武 (C)株式会社Allen
足立:あれね〜(笑)。僕が言うのもあれだけど、師匠(山口馬木也)曰く、「あれ(激励)を経験できないままの俳優もいる」っていったから、経験できて良かったなって思うよ。
栗田:そうね、みんながみんなできることじゃないし、役者同士で共有するってことも得難いよね。だから、そんなヒデと3回目の共演ができてめちゃめちゃ嬉しい。
足立:まだ(自分たちが)出会って1年経ってないじゃない? 言い方はあれかも知れないけど“腐れ縁”のようなものを感じるんだよね。栗さんに対して「なんだこいつ」って思うときもあるのよ。でもやっぱり楽しいって気持ちが大きいし、追い込まれて良い化学反応が起きて、それが積み重なったとき安心感にも繋がったし。不思議な感覚だね。
ーー共演者の皆さんについてお聞かせください。
足立:さっきお話したように、今回は僕がしっかりと立たないと他のキャストも立たなくなるから、誰が気になるって言うよりかは全員を背負っていかないと、と僕は勝手に思っています。皆が評価されるためにはまず僕が輝いていかないと。
栗田:僕はですね、來河(來河侑希)さんが殺陣舞台に出るというのが…、もう、めちゃめちゃ久しぶりだなぁと(笑)。あの人、実はめっちゃ動けるんです。
足立:あ! そうそう、他の人からもそれ、聞いた!
栗田:來河さんの殺陣姿は一観客として楽しみなんです。
(左から)足立英昭、栗田学武 (C)株式会社Allen
ーー改めて最後にファンの皆様へメッセージを。
栗田:本作が 2023 年最後の観劇になる方も多いのではないでしょうか。僕が茉美さんと來河さんと出会う前の作品です。そこに出演させていただけることがとても嬉しいです。この作品がみなさんにとって1年を締め括るにふさわしいものとなるように、そしてヒデという座長を輝かせられるように全身全霊で挑みます。どうぞよろしくお願い致します。
足立:僕自身30代初の主演となり 2023 年最後の舞台です。純粋に面白い作品を作ることができたらいいなと思います。全員が全員を輝かせ合えるように導ける人物が僕の中での理想の座長像です。勘違いをしてはいけないのは、たまたま今回主人公をやらせていただくのが僕で、その物語の主人公がその役だったっていうだけなんです。それぞれの役柄や役者の生き様は作品の中にそれぞれ必ず生まれているので、それらを観客の皆さまに注目していただけるように作っていきます。自分にたっぷりと負荷をかけて、命を削る覚悟で挑んでまいります。よろしくお願いします。
佐藤弘樹「好き勝手できそうな配役なので、稽古が楽しみ」
ーー本作への出演が決定した当時の心境をお聞かせください。
アレン座さんとは今年のはじめにイイショでご一緒をさせていただきました。そちらは即興で演技をする特殊な舞台でした。今回は過去の公演をリメイクした作品ということで、こちらもとても楽しそうだなと。
僕は歴史ものなのかな? と思っていたのですが、どうやら蓋を開けてみるとタイムスリップものということで、どういうふうに出来上がっていくのか気になっています。
佐藤弘樹
ーー鈴木さんの印象や今作で挑戦したいことは?
イイショの稽古中はずっと相談をさせていただきながら作り上げていきました。一つひとつの相談に対して非常に丁寧に向き合ってくださる演出家さんだなぁと。イイショは台本がない作品だったのですが、今作はすでに物語が組み上がっている状態からのスタートなので、どういう稽古になるか期待が高まっています。また、女性の演出家さんとご一緒する機会があまりなかったので、その点も楽しみです。
ーー気になるキャストは?
今年の7月に僕がゲスト出演させていただいた演目に出ていた橋本真一くん。その前から朗読劇でもご一緒もさせていただいていたのですが、しっかりと共演するのは今回が初なんです。歌がすごくお上手だということは元々知っていたのですが、どういう演技をされるのか気になりますね。
ーー本作は殺陣シーンがあるようですが、ご経験は?
あるにはありますね。殺陣の絡みもやったことがあります。西洋の剣や銃を使うことはあったんですけれど、日本刀でやるのは久しぶりです。殺陣振り付けも楽しみです。
佐藤弘樹
ーー劇団アレン座の印象は?
外部の舞台も含めると、來河さん以外、劇団員のみなさんと共演経験があるんです。今回ついに來河さんとご一緒できて嬉しいです。劇団員が別々の舞台で活動していても、それぞれからアレンの劇団員の色々な話が聞けるんです。濃いエピソードとかも(笑)。きっとすごく強い絆と関係性が築けている劇団なんだろうなといつも感じています。アレン座の舞台自体も周りからの評判がすごくいいんですよ?
ーー改めて最後にファンの皆様へメッセージを。
追加キャストもどんどん発表されて、総勢23名でお送りする舞台『HIDEYOSHI』、楽しみにしていただけたら幸いです。男女含めてこの人数で作る舞台は僕自身本当に久しぶりです。今日(この取材日に)は僕の配役を知ることができたのですが、とても好き勝手できそうな役なので、稽古が楽しみです。ぜひお誘い合わせのうえご来場ください。お待ちしております。
文:ナスエリカ
公演情報
日程:2023年12月7日(木)〜 12月10日(日)
会場:シアターサンモール
作・演出:鈴木茉美
出演:
足立英昭 橋本真一 栗田学武(劇団アレン座) 佐藤弘樹 森田晋平
葉月ひまり 原章子 桜彩 馬渕香那 伊藤静流 玉代勢幸大
赤名竜乃介 / 來河侑希(劇団アレン座)
SS席 9,500円(税込) S席 7,500円(税込)
A席 6,500円(税込) 学割席 4,500円(税込)
舞台公式HP http://allen-co.com/HIDEYOSHI2023/
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