「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24」オープニングを飾るのはロイヤル・オペラ《ラインの黄金》~壮大な世界観を強烈な演出で描き出す衝撃作

2023.12.14
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「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24」ロイヤル・オペラ《ラインの黄金》 ©2023 ROH

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【動画】ロイヤル・オペラ《ラインの黄金》予告映像


英国はロンドンのコヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)で上演された、ロイヤル・オペラ、ロイヤル・バレエ団による世界最高峰のオペラとバレエを、特別映像を交えてスクリーンで体験できる人気シリーズ「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」。ライブでの観劇の魅力とは一味違う、映画館の大スクリーンと迫力ある音響で、日本にいながらにして最高峰のオペラとバレエの公演を堪能できる、至福のひとときが味わえる。今シーズンは「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24」として、全8作品<バレエ4作品/オペラ4作品>が届けられる。そのオープニングを飾るのが、ロイヤル・オペラ《ラインの黄金》。2023年12月15日(金)~12月21日(木)、TOHOシネマズ 日本橋ほか にて1週間限定で全国公開となる。本記事では、井内美香氏(音楽ジャーナリスト/オペラ・キュレーター)による解説とともに、本作の見どころを紹介する。

Das Rheingold © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

ロイヤル・オペラ・ハウスが4年かけて上演する、ワーグナーの四部作『ニーベルングの指環』の序章となる《ラインの黄金》がついに幕を開ける。世界を支配する力を持った黄金の指環を巡り、神族と人間、地底のニーベルング族が繰り広げる、愛と憎しみと裏切りのドラマだ。

Rose Knox-Peeble (Erda) Christopher Purves (Alberich) Sean Panikkar (Loge) © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

今回の新制作で演出を務めたのは、世界的な人気演出家のバリー・コスキー。井内氏はコスキーについて「インタビューなどで“僕はユダヤのゲイのカンガルー”と自らを形容していることからも分かるように、人間の本質を痛烈な表現で観客に突きつける演出が持ち味」とコメント。

Solomon Howard (Fafner) Christopher Maltman (Wotan) © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

本作で描かれる、神々の傲慢から世界が滅亡の危機に陥るというストーリーはさまざまな解釈が可能であるが、コスキーはとびきりの大胆なアイデアによって、観るものの想像をはるかに超える舞台を創り上げる。「コスキー演出は『指環』の世界を、今の人間社会が地球を破壊している様子に見事に重ねているのである」と井内氏が語るように、社会風刺を効かせているような演出にも注目だ。

Insung Sim (Fasolt) Solomon Howard (Fafner) Rose Knox-Peebles (Erda) Christopher Maltman (Wotan) © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

音楽監督は、英国ロイヤル・オペラで2002年以来音楽監督を務め、今シーズンがラストとなるアントニオ・パッパーノ。かつてないほどにパワフルな指揮で本作の強烈な世界観を彩っている。

Sean Panikkar (Loge) Christopher Maltman (Wotan) © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

井内氏は「次作以降にも重要となるライトモチーフ(物語のさまざまな事象を示す音楽的なモチーフ)群が巧みに鳴らされるのを聴くと、今後の展開への期待に胸がワクワクする」と2作目以降への繋がりを感じさせる音楽表現に期待を寄せている。

Katharina Konradi (Woglinde) Niamh O’Sullivan (Wellgunde) Marvic Monreal (Flosshilde) Christopher Purves (Alberich) © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

ロイヤル・オペラ・ハウスで幕を開けた本作は大評判となり、「キャストは弱い歌手が見つからず全員が素晴らしい出来栄えで、パッパーノ指揮はワーグナーの壮大さと緻密さの両方を見事に表現した」(ガーディアン紙)、「バリー・コスキー演出の《ラインの黄金》は不気味で、鮮やかで、強烈だ」(ニューヨーク・タイムズ紙)、「《ラインの黄金》が、アントニオ・パッパーノの指揮で開幕し、物語性の高い、起伏ある演奏が空前絶後の賛辞を受けた」(音楽の友誌)……といった絶賛のコメントが世界中のジャーナリストから寄せられている。

Das Rheingold © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

ワーグナーの壮大な世界観を強烈な演出で描き出した衝撃作だけに、これはなんとしても見逃せない。

The Gods © 2023 ROH (Photo by Monika Rittershaus)

※井内美香氏(音楽ジャーナリスト/オペラ・キュレーター)《ラインの黄金》解説全文は下記URLにて閲覧可能です。

■井内美香氏(音楽ジャーナリスト/オペラ・キュレーター)《ラインの黄金》解説全文はコチラ

上映情報

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2023/24
ロイヤル・オペラ
《ラインの黄金》全1幕

Das Rheingold
 
【公開期間】2023年12月15日(金)~12月21日(木)
【公開劇場】
北海道 札幌シネマフロンティア
宮城 フォーラム仙台
東京 TOHOシネマズ日本橋
東京 イオンシネマ シアタス調布
千葉 TOHOシネマズ流山おおたかの森
神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜)
愛知 ミッドランドシネマ
京都 イオンシネマ京都桂川
大阪 大阪ステーションシティシネマ
兵庫 TOHOシネマズ西宮OS
福岡 中洲大洋映画劇場
【上映時間】2時間57分(予定)

 
【音楽・台本】リヒャルト・ワーグナー
【指揮】アントニオ・パッパーノ
【演出】バリー・コスキー
【美術】ルーフス・デイドヴィスス
【衣装】ヴィクトリア・ベーア
【照明】アレッサンドロ・カルレッティ
【演奏】ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
 
【キャスト】
ヴォータン:クリストファー・モルトマン
アルベリヒ:クリストファー・パーヴェス
ローゲ:ショーン・パニッカー
フリッカ:マリーナ・プルデンスカヤ
フライア:キアンドラ・ハワース
エルダ(の声):ウィープケ・レームクール
ドンナー:コスタス・スモリギナス
フロー:ロドリック・ディクソン
ミーメ:ブレントン・ライアン
ファーゾルト:インスン・シム
ファーフナー:ソロマン・ハワード
ヴォークリンデ:カタリナ・コンラディ
ヴェルグンデ:ニアフ・オサリバン
フロスヒルデ:マーヴィック・モンレアル
エルダ(俳優):ローズ・ノックス=ピーブルス

 
【STORY】ライン河の乙女たちが〈ラインの黄金〉守っているところにアルベリヒがやってくる。醜い容姿をかえりみずに乙女たちに迫って手ひどく拒絶されたアルベリヒは怒り、「愛を諦めた男のみがラインの黄金から指環を作り世界を支配できる」と知ってラインの黄金を奪い去る。神々の長ヴォータンは妻フリッカの願いでもあったヴァルハラ城を建設するために巨人族に約束した支払いができず、彼らは借金のカタに豊穣の女神フライアを連れ去る。ヴォータンは火の神ローゲの入れ知恵で地底の国を支配しているアルベリヒをだまして指環を奪うが、指環の呪いを避けるようにという大地と知恵の神エルダの助言で指環を手放す。神々は完成した城に入場していく。
 
【公式サイト】http://tohotowa.co.jp/roh/
【配給】東宝東和
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