多様性を描くタイドラマ『Only Friends』出演俳優6人が揃って登場ーーファースト&カオタンの印象深いシーンは「タバコを吸いながらのキス」
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左からフォース、ブック、ファースト、カオタン、マーク、ニオ
友情と恋愛の境界線の曖昧さを見事に描き、視聴者に深い感情と共感を呼び起こしたタイBLドラマ『Only Friends』。ファースト・カナパン、カオタン・タナワット、フォース・ジーラチャポン、ブック・カシデット、ニオ・トライ、マーク・パキンら、才能あふれる6人の俳優が出演し、ドラマ内でのリアルな演技が注目を集めた。今回、『ONLY FRIENDS FAN MEETING IN JAPAN』のために来日した彼らに、ドラマの裏話や役作りについて話を伺った。
――まずはファンミーティングの開催、おめでとうございます!
一同:ありがとうございます!
ブック:「ドラマが成功したら、(役の)彼氏と一緒に色々なところに行けるね」と冗談でみんなと言っていたんですが、今日それが実現しました。
ニオ:ドラマ内では恋人同士になれなかった僕も、今は幸せです(笑)。
フォース:このドラマが受け入れられ、大好きな日本にまた来られたことが嬉しいです。
――素晴らしいドラマでした。このドラマの凄さは、さまざまな性的指向やジェンダーアイデンティティを持つ人々の経験や生活をリアルに描いた点にあると思います。演じられてみていかがでしたか?
カオタン:ありがとうございます。まさにその通りで、ゲイであることを周囲に受け入れられている彼らの物語はとてもリアルで、演じることにプレッシャーもありましたが挑戦すべき内容だと思いました。カミングアウトの先にある話、ゲイであることを友達も当たり前にわかっている中での話というか。だから彼らの心情をより近く感じるためにたくさんの話をし、関係を作っていきました。
ファースト:うん。関係性がとても重要なドラマでした。関係性の中で何が生まれるのかを描いているんですよね。どのキャラクターもどこかで繋がっているけれど、プラスな繋がりというより、どちらかというとマイナスな部分で繋がっていて、関係を築きながら繋がりが変化していく。その繊細な部分をどこまで演技で伝えられるのか不安でしたが、現場に入る前に監督やみんなと信頼関係を作れていたので安心して演じることができました。
ニオ:常にかわいい! というキャラクターがいなかった。みんなクセがあって、でもそれが人間らしいというか。愛し合って喧嘩して学校に行って(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
ニオ:撮影前のワークショップで、監督たちは僕たちの相性や化学反応も見ていたと思いますが、実際の僕たちのほうが想像よりすごいものを出していたと思います。
マーク:彼らの心情をより理解できるように沢山下調べをしました。時に怒り、時に傷つき、時に人を貶め、日々悩み成長していく彼らの姿は僕たちそのもの。ジョジョ監督が描こうとしている世界に少しでも近づきたいと思って演じていました。
フォース:BLドラマであり、同時にLGBTQのテーマを扱っている非常に挑戦的なドラマでした。台本を読んだときの衝撃が今でも忘れられません。激しいシーンが多いのにそれがすべて必然だと思えたし、何より面白かった。
ブック:あとは「許す」ことの難しさをリアルに描いています。許すことは難しいけれど、それでも許していくことを選択する。演じる僕たちにとっても大きな挑戦でした。
マーク、ニオ
―― 演技に関しては、どのような工夫をされましたか? ジョジョ監督、ニニュー監督の演出はどのようなものでしたか?
マーク:僕はニニュー監督と沢山話しをしました。(監督が他のインタビューで明かしていたように)僕が演じていたニックというキャラクターのモデルはニニュー監督なんです。つまり、監督が体験したことがこの物語のベースとなっているんです。どんな夢を持っていたのか、高校や大学時代はどのように過ごしていたのか、どうやって友情を築いてきたのかを本人から聞けるのはとてもラッキーだったし、僕とニオが取り組みやすいように何度も対話してくれました。まるで家族のような感覚です。
ニオ:演出に関しては、どちらかというと僕らの自由にやらせてもらっていました。パートナーのように協力しあい対応できるので、どんな課題も共有して演じられました。頭の中にイメージがあって、「こういう演技をしたい」と監督たちやマークに伝えると、よく聞いてくれたし、演出に取れ入れてくれることもありました。
カオタン:感情を吐露するシーンでは涙が止まらず、ジョジョ監督とニニュー監督にハグしてもらいました。それでも涙が止まらなかった。完全にレイとして生きていたんですね。忘れられない体験です。
フォース:ジョジョ監督とニニュー監督から演技のレクチャーを受けている時、最高に気分が良く、役者として満ち足りた気持ちになりました。とても幸せでした。視聴者に感情移入してもらうために、様々な工夫をしました。例えば、カメラワークや照明、音楽などを使って、シーンの雰囲気や登場人物の感情を表現しました。
ファースト:うんうん。車のヘッドライトだけしか当たっていないのに幸せを表現したかと思えば、楽しい会話のはずなのに「何かおかしい。これは何なの?」と違和感を抱かせる演出だったり。幸せだと思っていたけれど実際は違うのか? というような駆け引きを演じられて面白かったです。
フォース、ブック
――印象に残っているシーンをぜひ教えてください。
フォース:(ブック演じる)ミュウと喧嘩をするシーンです。これから2人愛し合うぞ! という時に、トップ(演:フォース)がボストン(ニオ)と寝ているのをすでに知っていたミュウが、その音声を流すシーン。あの時にミュウの人間性がより立体的になったし、ブックの演技が上手かったなあと思います。
ブック:僕もあのシーンのことは忘れられません。僕がフォースは上手いなあ、と思ったのは、似顔絵を描いた紙を燃やすシーンです。
ファースト:待って待って。2人で褒めあってる。印象に残っているシーンの話じゃないの?
一同:爆笑
ブック:だってそこが印象に残ってるんだもん(笑)。ミュウのむき出しの感情を見せられているのに、トップはなんとか冷静さを保とうとしていて、その表情がとても良かったんですよね。怒りと悲しみと後悔を表現できていたと思います。フォースはその日、怒られた犬みたいに1日中落ち込んでいましたけど(笑)。撮影後の彼の姿含め、僕はあのシーンが好きです。
ニオ:僕が一番楽しかったのはローラースケートのシーンです。ボストンにとって、ニックとの距離感はとても心地よかったんだろうなあと思えたし、演じていて僕自身快適な気持ちでした。幸せなシーンというわけではないけれど、僕はあの関係性がとても心地良かったし、最高にかわいかったと思います。
マーク:僕も同じ! あの撮影はとても楽しかった。
カオタン:あれは素敵だったよ。僕が印象に残っているシーンは、レイの部屋でサンド(ファースト)とタバコを吸いながらキスしているシーンです。
マーク:(両手をくっつけながら)チュ、チュ。キスシーンですよ。(ニオも一緒になってふざける)
カオタン、ファースト
――わかっていますよ(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
カオタン:キスを続ける2人の前でゆっくり動くタバコの煙が、彼らの喜びや切なさと重なり、とても美しいシーンになりました。煙の美しさ、若い2人の生の美しさ。このシーンは2人の感情を探る価値がありました。
ファースト:僕も同じです。タバコを吸いながらキスするシーンはとても好きです。
――偶然にも各カップルが同じシーンを選んでいるのが興味深いです。
ニオ:考えるのが面倒くさいわけじゃないですよ!
一同:ハハハハハ(大爆笑)!
――わかりました(笑)。お話を伺っていると、現場の雰囲気がとても良かったのだろうなと思いますが、実際はいかがでしたか?
カオタン:はい、その通りです。今年が一番楽しい年だったなあと思うくらい、心地良い最高の現場でした。現場の雰囲気を思い出すだけでとても幸せな気分になります。
ファースト:すでに知っていて興味のある友達と一緒に仕事ができるのはとても幸せなことです。それだけじゃなく、このドラマの現場は常に笑いが溢れていたんです。その雰囲気が楽しくて、毎日仕事に行きたいと感じさせてくれました。仕事がやりやすかったです。
マーク:ドラマの内容はヘビーだったけれど、現場はナーラック(タイ語で素敵などの意味)だったので、毎日が楽しくて仕方なかったです。
マーク、ニオ
――ドラマの各カップルは今、どうなっていると思いますか?
フォース:トップとミューは情熱的になっていそうな気がする。ボストンとニックは燃えるような友達関係を続けていそうですよね。サンドとレイは、そばに寄るとタバコの匂いが凄そう(笑)。
一同:ハハハ(笑)。
ブック:シーズン2がすぐできるね(笑)。トップとミューはお互いに怒ったり、ケンカしながら幸せになっていくと思います。ミュウはトップを許しましたが、彼が嘘をついたことはおそらく忘れない(笑)。
カオタン:すごく想像できる(笑)。
ファースト:サンドとレイは酔っぱらっているような、溺れているような関係から地に足がついて支えあえるパートナーになっている気がします。僕はボストンとニックの関係がとても好きだったんです。(ニオが演じる)ボストンは、長く付き合えば付き合うほど良さが出るキャラクターだろうなと思っています。ニオにぴったりのキャラクターです。
ニオ:「ニオが演じたからこそ良くなった」って、もっと大きな声で言って(笑)。
マーク:ハハハ(笑)。僕は実生活でもみんなを愛していますが、各キャラクターのことも深く愛しています。シーズン2があったらいいなと、ずっと思っています。みんなに会えないのがとても辛い。次に会えるのは……、『スターリンピック』(12月23日(土)に開催したGMMTVのイベント)?
カオタン:みんなとの信頼関係があったからこそ、今があるんだと強く思います。ファンミーティングのためのレッスンも楽しくて仕方なかった。久しぶりに会ったのに、つい昨日まで一緒に撮影していたような感覚に一瞬で戻れるんです。シーズン2があったらいいなと僕も思います。
フォース、ブック
――皆さんの中で、まだドラマが続いているのがとても嬉しいです。今回、時間があったらどんなところに行きたいですか?
ファースト:さっき、みんなとその話をしていたんですよ(笑)。
フォース:お刺身やしゃぶしゃぶをみんなで食べたいし、ショッピングもいいね、ってね。
マーク:すごくお金がかかることしかみんな言わなくて(笑)。
ニオ:お金がかからないように、僕がタイから持参したソースを使って食べてね!
一同:ハハハ(大爆笑)!
カオタン、ファースト
――それでは最後に、ファンの皆さんに一言お願いします。
マーク:いつも応援してくれてありがとうございます。このメンバーで日本に来ることができてとても嬉しいです。なによりファンの方がとてもかわいくて、幸せです。プレゼントや手紙もしっかりと受け取っています。とても感動しました。また会いに来られるよう、これからも頑張ります。
ニオ:日本のファンの皆さん、こんにちは。マークが言ったように、この国は僕たち全員が大好きな国なので、とても幸せです。先輩たちから日本のファンはとてもかわいいよ、と聞いていたので、一度は来てみたいと思っていましたし、日本の食べ物、天気、すべてが大好きです。僕たちを呼んでくれて本当にありがとうございます。
カオタン:いつも応援してくれて本当にありがとうございます。僕たちをサポートしてくれて、ありがとうございます。何度も日本に来ていますが、毎回新しい発見があります。日本の食べ物や文化も大好きです。何より日本のファンの皆さんのことが大好きです。
ファースト:僕たちのドラマを観てくれて、感想を聞かせてくれて、ありがとうございました。このメンバーで日本に来ることができてとても幸せです。みんなと一緒にずっといたいし、みんなもそう思ってくれていると嬉しいです。友達になりましょう。
ブック:また日本に戻ってくることができました。とても嬉しいです。この作品だけでなく、多くのシリーズをサポートしていただきありがとうございます。いつ来ても楽しいです。これからもよろしくお願いします。
フォース:日本のファンの皆さん、こんにちは。また日本に戻ってくることができて、6人全員がとても幸せです。温かい愛をありがとうございます。ファンの皆さんはとてもかわいいです。また日本に戻ってくることができるよう願っています。
インタビュー中も絶え間なく笑顔を見せ、冗談やジェスチャーで盛り上げてくれた6人。来日初日とは思えないほど、多くの話を惜しみなく聞かせてくれた。今後の彼らの活躍に期待したい。
取材・文=渋谷のりこ 撮影=大橋祐希