ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』3代目ビリー役に選ばれた4人(浅田良舞・石黒瑛土・井上宇一郎・春山嘉夢一)に初インタビュー
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(左から)浅田良舞・石黒瑛土・井上宇一郎・春山嘉夢一 (撮影:池上夢貢)
2024年7月より、ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』が、日本で3度目の幕を開ける。1980年代、イギリス北部の炭鉱町でバレエと出会い、どんな困難にも打ち勝って夢へと突き進む少年ビリー。その姿に胸を熱くし、勇気をもらい、「僕もビリーになりたい」という夢を抱いた少年たちがたくさんいた。そんな少年たちが集まり、2023年の4月から8カ月もの間、オーディション(兼ワークショップ)に参加。切磋琢磨した仲間たちの中から勝ち残り、見事、ビリー役に選ばれた4人の少年たちに、初めてインタビュー取材を体験してもらった。
今回のビリーたちは全員、「バレエ大好き」ボーイズ。とても仲がいい、がんばり屋さんたちだ。当然取材も和気あいあいの雰囲気の中で進行した。それぞれの個性が光る、初々しいビリーたちの声を、ここにお届けする。
浅田良舞(あさだ・りょうま) 11歳、東京都出身
石黒瑛土(いしぐろ・えいと) 11歳、群馬県出身
井上宇一郎(いのうえ・ういちろう) 13歳、東京都出身
春山嘉夢一(はるやま・かむい) 13歳、埼玉県出身
(※年齢は2024年1月19日現在)
■『ビリー・エリオット』との出会い
——合格おめでとうございます。皆さん、「ビリー・エリオットに決まりました」と言われたばかりだと思いますが、まずは、その時のことから教えていただけますか?
浅田良舞 すごく嬉しかったです。(合格する)自信はありました。
石黒瑛土 (合格を告げられて)最高でした(笑)。僕も自信がありました。
井上宇一郎 やっぱり、最っ高でした(笑)。今も実感が湧きません。(自信は)あったんですけど、50%くらいです。
春山嘉夢一 僕も(自信は)50%で、「ちょっとどうかなー?」みたいな(笑)。決まるまで、ずっとぞわぞわしていました。
——『ビリー・エリオット』という作品との出会いと、オーディションに参加した動機について教えてください。
浅田 僕の通っているバレエスタジオの先輩がビリーになったんです。(初演の)加藤航世くんと(再演の)利田太一くん。それを観て、「すごいなぁ」と思い、僕もああなりたいと思いました。
石黒 僕も初演と再演を観に行きました。初演では加藤航世くんのビリーを観たのですが、僕自身がまだすごく小さかった時のことで、あまりよくは覚えていません。でも再演の時は渡部出日寿くんのビリーを観て、とても印象に残ってます。感動して、僕もビリーを目指してみたくなりました。
井上 僕は母に勧められて、最初は「できない」と思ったのですが、舞台版のDVDを観たらビリーのエネルギーが伝わってきて、「僕もこういう風になりたいなぁ」と思うようになりました。
春山 僕は初演の時、お母さんに連れて行ってもらって。それまで僕はミュージカルというものを観たことがありませんでした。僕自身はあまり覚えていないのですが、(舞台を観て)うれし泣きをしたらしくて……。以来ずっと「ビリーになりたい」と思い続けて、今回のオーディションを受けてみました。
浅田良舞
■ビリー少年に共感すること
——皆さんそれぞれ、今まで何か習っていたことがあったら教えてください。
浅田 2歳からバレエ。でも実は、お母さんのお腹の中にいる時から、バレエの音楽が流れていたら踊ってた(笑)。他には、水泳とピアノに、英語、習字も習いました。
石黒 僕はバレエです。3歳から始めました。
井上 僕は、えええっと、その……(少々緊張気味)。
浅田 バレエ?
石黒 ピアノも?
井上 うん、そうなんだけど……。
春山 全部言えばいいんだよ。
石黒 13くらい習い事をしていたんだよね?
井上 3歳からバレエを習ってて、音楽系の習い事もしていました。他には、将棋と英語も。
春山 僕は、バレエを小学1年生の頃に始めました。他には、体操を幼稚園生から小学4年生ぐらいまで習っていました。最近は歌を、お父さんと一緒に歌っています。
——作品を見てビリー少年に共感したところはありますか?
浅田 芯の強いところが自分と一緒。何かをやっちゃダメって言われてもやっていたり。禁止されても自分が好きなことを一生懸命やるっていうところ。そこが似てます。そして踊ることも大好き。周りがすごく盛り上がってくれるので自分自身もいっそう楽しくなる。だからバレエをやっていると、すごく楽しいんです。でも、ピルエット(片足のつま先で立って回転する基本技)の左を自分の中で一度、禁止していたことがありました。というのも、左を回っていたら右が回れなくなってしまったから。それで左を禁止して、ずっと右だけ練習してたら、いつのまにか7回転が普通にできるようになった。
石黒・井上・春山 おおー(拍手)。
石黒 僕がビリーに共感できるのは、体が勝手に動くところですね。だからバレエでも、僕はバーレッスンでの決められた動きがあまり好きじゃなくて、センター(バーを離れてフロア中央で踊るセンター・レッスン)とかヴァリエーション(ソロの踊り)で、自由にダイナミックに踊るのが好きなんです。やっぱりバーレッスンって、地味っていうか、決められている感じがするから。
春山 まあ、それ(バーレッスン)もすごく大事なんだけどね。
石黒 うん……。
井上 で、僕が(ビリーに)共感したところは、えーっと……。 んん? 共感?
春山 難しいよね。
石黒 ビリーと自分が同じと思えるところ。納得がいくまで考えて。
井上 いっぱいあるんだよ。
石黒 その中のひとつを言えばいい。
春山 全部言ってみたら?
井上 全部言っていたら、10分くらいかかる。
春山 いいよ、いいよ。
井上 早起きできないとか。それでお父さんに叩き起こされるとか(笑)。あと、暇な時には、なんか踊ってる。頭の中になんか舞台があって、その舞台で踊ってる自分をイメージしながら、踊ってることはあります。 うん、とにかく踊るのが好きとか……。うーん、表現が難しい。
——「うまく言えません」ってビリーも言いますもんね(笑)。
石黒 あ、そこは一緒だね。そこ!(笑)
浅田・春山 そこだ、そこだ!(笑)
井上 そういうことをうまく答えられるようにと昨日、映画(『リトル・ダンサー』)を見たんです。2度目の鑑賞でした。映画だと……審査員の前で(ビリーが)勇気を持って踊るところが、いちばん印象に残っています。
春山 僕がビリーに共感できた点は、好きなことを諦めずにまっすぐやってて、夢を叶えるっていうところです。……これ、僕に似てるよね? 違うかな?(笑)。
石黒 いや、似てるよ。
春山 そう? 似てるよね、わかんないけど。うん、微妙だけど僕に似てると思います(笑)。
石黒瑛土
■長期オーディションの思い出
——昨年の4月から長期間にわたって皆さんが体験してきたオーディションですが、どんなことが印象深いですか?
浅田 バレエの自由演技。秋くらいに第二次ラウンドが終わってからのバレエレッスンで、レッスン後にバレエの自由演技というのをしていたんです。
井上 そう、自分で創って踊ったんだよね。
石黒・春山 (声を合わせて)良舞が創って!
浅田 今ここにいる子たちはしっかりバレエを踊ったのですが、たまに歩いてるだけの人もいて(笑)。
井上 バレエを踊らないんですよ。
石黒 自由に踊るっていうのかな。
春山 変なことをしている(笑)。でも、最後にポーズがあるんだよね。
浅田 その最後のポーズっていうのが決まってて。
全員 (ひとつひとつのポーズを思い出してやって見せながら)1、2、3、4、5、6。あとなんだっけ?
浅田 7!(ポーズを決める)。
春山 あ、そうだ、そうだ。で、アラセゴンターン(足を横に伸ばし回転する動き)で終わる。
浅田 その場で考えて、いろんなことをして。それがオーディションで一番楽しかった思い出です。
石黒 僕はオーディション期間中、いろいろな分野のすごい先生方から直接指導してもらえて、自分自身の成長を感じることができたことが一番ですね。練習の中で「これを頑張ろう」と思った自分の目標を、沢山達成することができました。
井上 僕は、みんなが賑やかで面白かったから、レッスンを楽しくできたことです。たとえば良舞が盛り上げてくれたのも良かったし。また、いろんな先生方から習いながら、いろいろな踊りができたことも良かったです。
春山 僕は、オーディションの最初の頃に全然できなかったことが、最後の頃には沢山できるようになっていたこととか、みんなと一緒に楽しみながらレッスンできたことが、いちばん印象に残っています。
——その一方で、自分の得意分野ではなくて苦労したことは? または、これから頑張らなきゃって思うことは?
浅田 歌です。
石黒 僕はまだ、やっぱりタップダンス。もっとうまくなりたいです。
春山 いや、うまいけどね。でもまあ、わかる。
井上 お芝居の部分で、自分の感情を引き出すように演じることが課題です。あと、アクロバットを綺麗にかっこよくできるように頑張りたい。
春山 僕の辛かったことは、みんなとはちょっとずれてるかもしれませんが、インフルエンザに罹って、ずっと寝ていないといけない時期がありました。それが悔しくて、ホントにもう辛かったです。(治って)またレッスンができるようになった時は、ものすごーく嬉しかった!
石黒 辛かったことだったら僕もありましたね。うまく行かないと、どうしても友達と比べてしまって、自分自身を責めたりしちゃう。でも振付補の前田清実先生から「人と比べるんじゃなく、自分自身のビリーを目指すように」と教えてもらい、乗り越えられた。
井上宇一郎
■自分ならではのビリーとは
——「自分自身のビリーを目指す」というのはみんなもそうだと思うんですけど、それぞれ、ほかのビリーと違う、「僕のビリーはこうだ」って思えるのは、どんなところですか?
浅田 ムードメーカーと、負けず嫌い、なところです。
石黒・井上・春山 そう、(良舞は)ムードメーカー!
浅田 みんなのピルエットの調子があまり良くなかったり、落ち込んでいる時、僕が自由演技をやって見せると、みんなが笑顔になって終われるんです。
井上 あれ、いいよねぇ。
浅田 みんなを笑顔にさせることが本当に楽しい。
石黒 僕のビリーは、迫力と笑顔に自信があります。実は僕ってまだ全然、基礎が綺麗じゃないんですよ。だからバレエの見栄えがよくない。スタイルもまだ普通だし。それでも舞台のお客様の印象に残れるようになりたいとは思っていて。もちろん綺麗にできるよう努力はしないといけないけれど、下手くそな失敗してもね、とりあえず迫力でカヴァーできるから(笑)。
井上 僕が自分を出せるのは……ちょっと良舞と一緒でいい? 負けず嫌いなところです(笑)。あとは、本番に強いところ!
春山 僕は、やっぱりビリーが好きだってところかな。ビリー愛の強さは誰にも負けない。
井上 いや、そこはみんな一緒だよ。
春山 そうだけどさ。うん。……はい。
浅田・石黒・井上 (笑)
春山 そんな僕だからこそ、お客様に希望を与えられるようなビリーを目指します。
石黒 それも一緒だし(笑)。
春山嘉夢一
■将来の夢
——お互いについて聞かせてください。自分以外の3人について、どんなキャラクターなのか、一言ずつコメントしてもらってもいいですか?
石黒 いやー、怖い、怖い、怖い。
浅田 瑛土は、ダイナミックで迫力があるところ。宇一郎はみんながよくわからないところからの発想力があって、独自の井上バレエを作ったりする。嘉夢一は明るく元気で、軽く盛り上げてくれるから、みんな嘉夢一といると楽しくなる。
春山 軽く? 軽くって?(笑)
石黒 良舞くんは、いろいろな踊りを覚えるのが早いです。嘉夢一くんはいつも真剣で、とても優しいです。宇一郎くんは王子様(笑)。
井上 なんだよ、それー。
浅田・春山 (爆笑)。
石黒 で、面白いんです。ちょっと怒られるかな、怒られるね(笑)。
井上 良舞は、みんなを盛り上げてくれて、大好き。瑛土は……。
石黒 しつこい(笑)。
井上 違うよー。瑛土は、いつも面白くて。最高です(笑)。嘉夢一はいつも明るくて元気で、場の雰囲気が良くなります。
春山 いつもみんなを盛り上げてくれるのが良舞。で、瑛土は、マジ面白くてカワイイ。
石黒 怖い!(笑)
春山 マジそう思ってまして(笑)。で、宇一郎は、真面目で頑張り屋さんな感じ。
井上 ありがとうございます(笑)。
——将来の夢は?
浅田 将来はバレエダンサーになりたい。どんな世界でも“良く舞う”バレエダンサーになりたいです。
石黒 “良舞”だけにね。うん、いいわ。
井上・春山 最高!
石黒 僕は常識を変えるバレエダンサーになりたいです。世界的に歴史に名を残す、悪い方じゃなくて良い方の。
浅田・井上・春山 (爆笑)。
井上 僕の将来の夢は、とにかくお客さんを楽しませるダンサーになることです。
春山 将来の夢。まず、今の段階では公演の成功ですね。で、その後はまだ考えていないんですけど、外国にバレエ留学とかしてみたいですね。
——最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。
浅田 観に来てくれたお客様全員に感動を与えられるようなビリーを演じたいです。ぜひ僕のビリーを観に来てください。
石黒 同世代の人たちに夢や希望を持ってもらいたいし、「すごいな!」って思ってほしいです。
井上 本番では、お客さんに元気になってもらえるよう、自分のエネルギーを出し切ります。
春山 「お客様に嘉夢一らしいビリーを見せられたらいいな」って思ってるので、応援よろしくお願いします。
——期待しています。どうもありがとうございました。楽しかったです。
取材・文=若林ゆり
写真撮影=池上夢貢
公演情報
<キャスト>
オープニング公演:2024年7月27日(土)~8月1日(木)
本公演:2024年8月2日(金)~10月26日(土)
【抽選先行】
全ビリーコンプリートS席セット券
最速プレオーダー
【抽選当落発表日】2月9日(金)
【先着先行】2月17日(土)10:00~3月10日(日)23:59
【一般発売】3月13日(水)11:00~
【Yシート】3月18日(月)17:00~3月24日(日)23:59
※B席は一般発売日(3月13日)からの販売になります。
※東京公演(10月公演)販売スケジュール詳細は追って発表いたします。
※会場内にて「撮影OK」のお知らせが表示されている時のみ撮影可能です。
※写真撮影は、お客様ご自身のお座席にてお願い申し上げます。お座席をご移動されての撮影は、ご遠慮くださいますようお願いいたします。
※フラッシュ撮影はご遠慮ください。
※内容は変更になる場合がございます。
8月29日(木)13:30(登壇者:鶴見辰吾×濱田めぐみ×吉田広大)
9月19日(木)13:30(登壇者:益岡徹×安蘭けい×西川大貴)
※対象公演回の
U-25:平日¥12,000/土日祝¥12,500