新国立劇場の2016年は「魔笛」でスタート
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新国立劇場「魔笛」の幻想的なクライマックス(2013年公演より)
盤石のキャスト、人気のプロダクションで贈るモーツァルトの傑作
新国立劇場の2016年は、モーツァルトの人気作「魔笛」から始まる。今月24日(日)に初日を控えた公演は、ミヒャエル・ハンペの演出による新国立劇場自慢のプロダクションの再演だ。「魔笛」は言わずと知れたモーツァルト最後のオペラ、序曲に「夜の女王のアリア」、「パ、パ、パの二重唱」などのきっと誰もが聴いたことのあるメロディにあふれた傑作である。
2013年の上演に続いて今回も全キャストに日本人歌手が揃い、常連が並ぶキャストはあたかも往年の名門歌劇場が誇った”カンパニー”のようなまとまりを感じさせもしよう。個別にキャストを見てみれば、昨年「後宮からの逃走」でコンスタンツェを好演した佐藤美枝子が人気の難役、夜の女王をどう聴かせてくれるかが注目される。また、昨年話題を呼んだ宮本亜門演出の東京二期会「魔笛」でも同役を演じた妻屋秀和(ザラストロ)、鈴木准(タミーノ)の二人が宮本亜門演出によるゲーム的世界観とは違う、幻想的な舞台でどんな演技を見せてくれるかもポイントだ。
夜の女王とパミーナ(新国立劇場「魔笛」2013年公演より)
今回の上演で指揮を務めるのはロベルト・パーテルノストロ。過去に東京二期会、藤原歌劇団の公演も指揮している彼は新国立劇場初登場となる。若きマーラーがかつて指揮した宮廷歌劇場につながるカッセル州立歌劇場のシェフを10年務めて「ニーベルングの指環」の録音も残している実績十分のマエストロだ。近年には、かつて音楽監督を務めたヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団とのブルックナーの交響曲全集で注目を集めた。今回の公演でピットに入る東京交響楽団のモーツァルトはもはや安心のブランド、オーストリアのカペルマイスターとの組合せは万全の演奏となるだろう。2016年の新国立劇場が盤石の「魔笛」で最高のスタートを切ることは疑いようもない。
(YouTube新国立劇場チャンネル/2013年上演より)
また、この公演中には気になるイベントも開催される。28日(木)の終演後に、飯守泰次郎新国立劇場オペラ芸術監督による2016/2017シーズン演目説明会も行われるのだ。「魔笛」ももちろんだが、飯守泰次郎体制となって三年めを迎える新国立劇場オペラが目指す未来にも注目しよう。なお、イベントについての詳しい案内は新国立劇場の公演関連ニュースを参照してほしい。
全二幕 ドイツ語上演/字幕付
■演出:ミヒャエル・ハンペ(再演演出 澤田康子)
■美術・衣裳:ヘニング・フォン・ギールケ
■照明:高沢立生
■管弦楽:東京交響楽団