記録よりも記憶を残した、福岡『TRIANGLE 2024』最終日ーーSIX LOUNGE、ハルカミライ、ホルモン、The BONEZら12組が集結
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写真=『TRIANGLE 2024』オフィシャル提供
『TRIANGLE 2024』2024.4.9(MON)福岡・シーサイドももち海浜公園地行浜ビーチ内特設ステージ
『TRIANGLE 2024』もいよいよ最終日。会場は朝からあいにくの雨となったが、観客はみな色とりどりの雨具を着用して会場へ。雨の野外フェスは足元がぬかるんで気分が下がりがちになるけれど、砂浜が広がる会場はぬかるみもなく、むしろ歩きやすくて快適。MCの長岡大雅(KBCアナウンサー)も「最高の一日に! 最終日、思い残すことなく全部をここに置いていってほしい」と、雨で冷えた体を温めるべく、この日もヘドバン体操からスタート。3日間イベントに参加する観客のため、全日内容を変えて挑んでいたという彼。凄まじい『TRIANGLE』愛に触れ、早々に観客の気分も上がる。
ジ・エンプティ
身も心も温まったところで、トップバッターは福岡・久留米市出身のジ・エンプティ。「今日も絶好調で行くぜ!」と、「おやすみレイディ」から芯の太いビートを観客にブツけていく。「そっちのほうはまだ寝とるとか!?」と煽れば、ステージを右へ左へと駆け抜け観客に檄を飛ばし、直球のロックンロールサウンドを響かせる。実はイベントの設営から参加していたという彼ら。地元バンドマンたちの憧れだった『TRIANGLE』への出演、大好きなバンドと同じステージに立てていることに感激しつつも、怖気ずいたり、憧れだけで終わらせるわけもなく。全力フルスイングのパフォーマンスでイベントの豪快な幕開けを見事に担ってくれた。
KOTORI
ライブを観るたびに新しい印象を持たせてくれるKOTORIは、この日もサウンドチェックから胸をすく爽快なバンドサウンドを響かせていた。「1995」の音の弾み、「トーキョーナイトダイブ」のじわりと染みこむ音。曇天の雨模様にぴたりとハマる楽曲が続いていく。「雨でしか見せられない伝説がある!」と、「RED」ではじっくりと熱を上げつつ、一瞬で高揚する音の感情に魅せられ、フロアからは感嘆の声が沸く。雨足は強まる一方だけど、不思議と空は明るくて、そこに響く「素晴らしい世界」はバンドサウンドだけじゃなく、時間や空間すべてがしっかりと印象に残っていて、KOTORIの確かな存在感を感じとることができた。
SHADOWS
とにかく出音のデカさに圧倒されたSHADOWS。「好きにやってくれ! 遊び倒すぜ!」と叫んだ途端、「Justify」からガッツリとした重低音と、高速のギターリフが響く。腹を指すようなビートの鋭利さ、高速でまくしたてていくリリック。雨足が弱くなったと思ったら、今度は強風が吹きすさび、バンドのキレがさらに加速していく。「朝っぱらから最高! また来年も再来年もこの景色が見られますように」と嬉々として語りつつ、「Fail」などで極悪なバンドサウンドに特大のサークルピットを次々に生み出していく。ラスト「All I Want」の頃には、突き上げた拳の先には晴れた空が!
coldrain
雨が降り出したとき、出演者や観客の誰もが思っていたのは「coldrainが来るから……」。そんな皮肉もなんのその、天気予報では降水確率90%を叩き出しているというのに、気付けば空は見事な晴天に! 大喜びの観客はレインウエアを脱ぎ捨て、1曲目「Vena」から大暴れ! ハイ&ローを使い分けたボーカル、重厚なドラムのビート、唸るベース、じわじわと煽るギターのリフ、どれも大好物と言わんばかりに、オーディエンスは前へ前へと詰め掛けていく。「まだまだイケるっしょ! 3日目、なんて言い訳いらないから!」と「MAYDAY」では凶悪&妖艶なサウンドが休む暇なく押し寄せてくる。「お前らの笑顔を奪って一番しんどい時間にします!」とPaleduskのKAITOを呼び込んでの「The Revelation」など、怒涛の音の波は終わりが見えそうにない。
FOMARE
続くFOMAREは「Frozen」からシンプルなリリックに軽快なビートを響かせ、多幸感いっぱいの空間を生み出していく。気付けば会場みんなで大合唱となった「愛する人」や「SONG」など、熱い眼差しで演奏する3人の姿に心奪われる。念願叶って初出演となった今年、ビーチを目の前にしてのライブに気分が高まり、「もっともっとライブハウスみたいなグルーヴ作りませんか」と、「Continue」で濃厚でタイトなビートで観客の気持ちを揺さぶっていく。ライブのたびにまるで地元のように歓迎してくれる『TRIANGLE』チーム、そして集まってくれた観客に感謝の思いを語り、もっと成長した姿を見てほしいと「優しさでありますように」を丁寧に、五感で記憶に残すように演奏し、確かな軌跡を残していった。
九州DJ大作戦
イベント中盤は「九州DJ大作戦」。これまで全国各地で被災地支援活動を行ってきたMAN WITH A MISSIONのTokyo Tanaka(Vo)とのコラボステージだ。会場内ではTokyo Tanakaが中心となって立ち上げた災害支援プロジェクト『CONNECT』の特設ブースで写真展示やトークショーなども実施。今年1月に起きた能登半島地震の被災地支援など、毎年全国各地で発生している災害、そしてその支援について「考える」キッカケになればと企画されたものだ。もちろん、まずは音楽を楽しむことが大前提。
九州DJ大作戦
Tokyo TanakaによるDJや卓真(10-FEET/TAKUMA)によるソロライブなど、『TRIANGLE』ならではのステージを展開。卓真は「みんな支えていこ。どこで災害が起こるかわからんし。困っているところを困ってないところが助けられたらいいな」と「蜃気楼」を披露。さらにTokyo Tanakaと「青空(THE BLUE HEARTS)」をセッションするなど、ここでしか観られないステージに観客は大喜びだ。
Crossfaith
イベント後半、Crossfaithはさきほどまでのアットホームな雰囲気はどこへやら。「ZERO」から重厚なサウンドで会場を混沌へと突き落とすライブで観客を圧倒! Koie(Vo)のデスボイスが轟き、ビーチには巨大なウォールオブデスが発生し、ダイブする観客をなぎ倒すようなドエスなライブが繰り広げられていく。「Countdown To Hell」では中指を立て、「死のうか! 福岡」と声をかければ、観客は狂喜乱舞の大暴れ。ラストの「Monolith」まで、曇天を晴らすような剛毅なステージングで駆け抜けていく。
ROTTENGRAFFTY
「殺す気でかかってこい!」、ROTTENGRAFFTYは「ハレルヤ」から一切の妥協を許さない質実剛健なパフォーマンスで観客とぶつかり合う。静と動、陰と陽を思わせるツインボーカルが観客の興奮を煽る。「何回も言うてるけど、そんなんで殺せるんか! クソガキ!!」などと暴言も吐くけど、それは新曲「Blown in the Reborn」でも感じる、バンドの覚悟があってこそ。「余力も後悔も残すな!」という言葉に煽られこの日一番の大量のダイバーが発生。ここからさらに、セキュリティスタッフ泣かせのステージが続いていく。
The BONEZ
The BONEZは「バンドとお前らは繋がってる!」と、「Love Song」から本能で躍りたくなるご機嫌なリズムをぶつけていく。楽しいけれど無理強いしない、でも乗ったら最後、ジェットコースターみたいに急降下を続けるアトラクションを体験している気分だ。「We Are The BONEZ」では観客と息ぴったりで歌い踊ったり、一体感の増したライブは時間が進むほどに心が晴れやかになり、バンドと観客との共鳴を報せるように会場に大きな拍手が鳴り響く。
マキシマム ザ ホルモン 撮影=浜野カズシ
2005年の出演以来、2度目の登場となったマキシマム ザ ホルモン。戦友でもある主催・首藤氏との繋がりを語りつつ、「19年分の『TRIANGLE』への想い。有り余る想いはオレたちにもお前たちにもあるはず! 全部解放できるか!」と、「恋のアメリカ」などキラーチューンを連投し、錯乱寸前なハイテンションなパフォーマンスで観客を魅了。真正面から受けるにはあまりにも激しすぎる重厚感たっぷりなリズム、殺傷能力高いギターに思わず体がよろめいてしまう。歓喜鼓舞し、次々にダイブ&モッシュを決め込む観客は雨も上がったというのに汗でずぶ濡れだ。
ハルカミライ
「海沿いのロックフェスは普段なら味わえない。普通じゃない日々を存分に、腹いっぱいにかきこんで帰りましょう!」と始めたハルカミライは「ファイト!!」「俺達が呼んでいる」など、ショートチューンを連発。一瞬も目が離せない、常に前傾姿勢なパフォーマンスに拳を突き上げ呼応していく観客たち。大合唱となった「世界を終わらせて」では観客の声の大きさに驚きつつ、その喜びを倍にして音で返していく。「『TRIANGLE』、三角の意味はオレとオマエとロックだよ!」という言葉通りに、バンドとたくさんの観客という関係ではなく、一対一のぶつかり合いを思わせるパフォーマンスに観客も無我夢中に。
SIX LOUNGE
大トリは大分発のSIX LOUNGEだ。ギラつく赤い照明の下で鳴らす「ナイトタイマー」はとにかくカッコ良い。「LULU」のガツガツと鳴らす剛毅なドラムのビート、テクニカルなベースライン、泣き叫ぶような感情的なギター、すべての音に観客は大喜びで応えていく。色香と甘い暴力を混ぜ込んだようなロックンロールサウンドは聴くほどに心はもちろん、視線も奪われてしまう。「いろんな人への感謝は後で言いますんで。この最高の時間をオレに満喫させてください!」と繰り出した、「メリールー」では抜群のグッドメロディを響かせ、観客と最高の笑顔でシンガロングをキメる。
SIX LOUNGE
SIX LOUNGE
アンコールでは「来年はトリは勘弁! 緊張して身がもたん」と、大トリのステージを前に、かなり緊張していたと吐露するメンバーたち。それでも「SWEET LITTLE SISTER」でご機嫌な音を鳴らし、3日間に亘って繰り広げられてきた『TRIANGLE 2024』を見事に締めてくれた。
SIX LOUNGE
5年ぶりにシーサイドももち海浜公園のビーチに帰ってきた『TRIANGLE』。砂浜の感触、波音や海風の匂いは何も変わっていない。また来年も同じ場所で、たくさんの素晴らしい音楽に触れられる日がくることを願いたい。
取材・文=黒田奈保子 写真=『TRIANGLE 2024』
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